スペシャルインタビュー 東大首席弁護士 山口真由さん

大学受験
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繰り返し読み 合格の極意

「東大首席弁護士が教える 超速『7回読み』勉強法」の著者で弁護士の山口真由さんに、受験勉強の取り組み方や新聞の活用方法についてうかがいました。教科書や参考書を繰り返し読むことが重要で、必要な情報がしっかり盛り込まれている新聞記事を読むことは読解力向上につながるとアドバイスしています。

——読むことに重点を置いて勉強するようになったきっかけは何ですか。

母に本を読み聞かせしてもらうなど、幼いころから活字にすごく慣れ親しんできました。それが長じて、勉強には読むのが一番自分に合っていると思うようになったんです。

——読むことのメリットとは?

「読む」ほうが「聞く」より、情報量を多く得られることです。1回の授業で聞くことができる情報量は3、4ページ。同じ時間なら、読むほうが、情報が早く得られて、理解しやすいと思います。

——最近は活字離れが進んでいます。読むことへの抵抗感をどうやって減らしていけばいいでしょうか。

いまは、いきなり勉強の本を読むという人が多いのかなと思います。そうなると読むことは勉強に自然と結び付いてしまい、苦手意識ができてしまっているのではないでしょうか。小説やライトノベルみたいなものなど、興味があると思うものから読み始めてもいいのかなって思います。

——受験を控えて時間があまりない高校生はどうすればいいですか。

読むのが苦手な人は、読んで理解ができないから自分はダメだと思っているんだと思います。私は、最初読んだときに理解ができなくても何とも思わないんです。基本的に7回読んでいたので、1回目読んだときに理解できなくても、そんなものかなと思うだけです。受験勉強での「読む」は繰り返す必要があるので、1回目は字面を眺めるだけでもいい。軽い気持ちで読んだら、読むことに対する苦手意識がなくなるんじゃないかなと思います。

——書かれている内容を理解するには、どこかでギアを入れないといけませんよね。

3回目ぐらいまでは流して読みます。ギアを入れるのは4、5回目。そこで理解度がグンと上がります。6、7回目はほとんど確認という作業になっています。理解が早い人は1回目を流して2回目にギアを入れることができるかもしれないし、ゆっくりな人はもっと後でギアを入れるというのでもいいかもしれないですね。

——7回読みをする時、本に付箋を貼ったり、印を付けたりしますか。

まったくしないんです。ラインも引かないです。付箋とかラインを意識すると、読むのがつらくなってしまいます。ラインは、ちゃんとポイントのところに引かなきゃと思って、ストレスになってしまうんです。3回目ぐらいまではどこが重要かわからずに、文章を読んでいるんですけど、4、5回目ぐらいでギアを入れた後は、ここが大事というポイントのようなものはゆっくり読んで、それ以外のところはサラサラと読みます。

——受験の時に、新聞を活用しましたか。

三つの目的で活用しました。一つ目は時事ニュースをチェックすること。天声人語など、新聞から問題が出ることがありますね。二つ目は読解力の訓練。入試問題って、数学であれ社会であれ、読解力が必須なことが多いと思うんですね。問題文には、どこでだれが何をどうしたという情報がきちんと入っているんですけど、それをケアレスで読み飛ばしたり、思い込んでしまったりということが多くて、読解でつまずくことが多いんですね。必要な情報をきちんと入れている問題文の文章って、新聞記事と似ていると思います。新聞を読むことで読解力は訓練されたかなと思います。三つ目は息抜きですね。受験勉強の時には小説とか一切読んじゃいけないということに決めたんですけど、新聞は必要と思って読んでいました。新聞には小説も毎日載っているし、社会面などで面白い記事を読むと、その時間は息抜きになったんですよね。毎朝、ご飯を食べながら読むことが多かったですね。

——新聞は読むだけでいいのか疑問に思う受験生もいると思います。要点をまとめたり、書き写したりすることは必要ないでしょうか。

ただ読むだけでいいと思います。まとめノートと書き写しはできるならそれに越したことはないと思いますが、やらなくなると思います(笑)。まず時間がかかりますよね。疲れていて、勉強しなくてはいけないとなると、まとめや書き写しが嫌な作業に分類されてしまうと思います。そうなると新聞を読むことすらしなくなります。新聞記事を覚えたほうがいいと思ったら、同じ記事を何回も読めばいいんです。どうしてもこの記事を残しておきたいと思ったら、ピリピリッと破いてためておくのがいいと思います。いまだったら、携帯でパシャッとしておけばいいですね。「新聞」というフォルダを作ってボンボン投げ込むほうが、ずっと生産的だと思います。

——著書のなかで、図を多用した本を読んでわかったつもりになっていて実はわかっていなかったという「ファインマン効果」に注意しなければならないと言われています。文字だらけのものを読むのは苦しいことじゃないでしょうか。

文字だらけのものを読むことのほうが、自分の頭で理解するにはずっといいと思います。図はわかりやすさを重視するあまり、単純化しすぎて、情報を省いていることが多くあると思うんですね。新聞はいかに文字が多くても、文字できちんと説明してくれているというのはすごくいいことです。読んで覚えて、それを文字で書くことで、答案を書くという作業をするわけですから。受験は最終的に自分の文字で説明しなければいけないですよね。社会の答案に、突然、図を書いてそれでいい、ということにはならないと思うので(笑)。

——受験勉強を頑張ったことは、いま、どのように役立っていますか。

努力をして、一つのことを成し遂げるというのはどういうことかというのが身にしみてわかったというのはよかったなと思います。努力すればするほど伸びていって楽しいなと思うこともあったんですけど、必ず伸び悩む時があるんですよね。それを抜ければ、ポンと伸びます。そして、完成目前のところでもう1回落ち込むんですね。努力しても伸びないばかりか、以前より下がったように思うことがあります。でも、そのスランプを抜けたら、必ずゴールにいくという、自分の「成長曲線」がわかったんです。社会に出てからも大事なのは、努力しても伸びなくなった時に、やめずに続けられるかどうかだなって思います。

——受験勉強の成果がなかなか出ずに悩んでいる人にアドバイスを。

一つの目標を持って長い時間をかけて達成するというのは、人生最初のプロジェクトだったんだと思います。自分で目標を立ててそれに向けて予定を細分化し、プロジェクトを前に進めていくことは大事な訓練になりました。受験勉強はつらいと思いますけど、社会に船出していくための準備期間として、すごく貴重な得難い経験をしていると思います。だから、つらいときは必ず自分に負荷がかかっていて、必ず自分が伸びていると思って、頑張ってほしいです。

聞き手・神農大輔(朝日新聞社)、写真提供・cakes

山口 真由(やまぐち・まゆ)
1983年生まれ。札幌市出身。筑波大学附属高校から東京大学文科1類に現役合格。大学3年次に司法試験、4年次に国家公務員1種試験に合格。2006年に東大法学部を首席で卒業後、財務省に入り、08年退官。弁護士に転じ、16年ハーバード・ロースクール卒業。主に企業法務を担当するかたわら、勉強法に関する本を多数出版している。「東大首席弁護士が教える 超速『7回読み』勉強法」(PHP研究所)はベストセラーとなり、中国・台湾・韓国でも翻訳出版された。
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