春風亭昇吉 - ちょい読みインタビュー
春風亭昇吉

噺家には新聞が欠かせない?
「ちょい読み」で新しい発見も


 落語家のことを「噺家(はなしか)」と言うことがあります。この「噺」という字は「口に新しい」と書きますけど、これニュースってことですよ。落語では、マクラといって本編にうまくつなぐための世間話を最初に必ずやりますし、現代の噺家がオリジナルで作る新作落語も世相に敏感でなくっちゃ書けませんから、噺家には新聞が欠かせません!……と言いたいところですが、師匠の春風亭昇太が新聞を読んでいるのを見たことがないんです。あの人は城や歴史のマニアックな本ばかり。しっかりしてくださいよぉ、師匠!
 新聞は社説と経済記事がおもしろい。そう言うと、みなさん「えー!」ってなりますけど、たとえば今年の夏は猛暑の予報が外れ、8月の関東はお盆ぐらいまで長雨で涼しくなりましたよね。すると「日照不足で野菜高騰」「アイスメーカー1割減産」みたいな記事が出ます。中でも「雨のおかげで百貨店が訪日外国人でにぎわう」という記事は新鮮でした。気象予報士の資格を持っているので、気温25度以上だとアイスクリームが売れ、30度以上になるとかき氷やラクトアイスが売れるようになるといった企業経済学的な話には強い方ですが、この記事は訪日ブームと長雨が生み出した今夏を象徴する内容で、新しい気づきがありました。こんなふうに、新聞は「ちょい読み」をするだけでネットでは得られない知識や新しい切り口に出会えるので、やっぱり楽しいですよ。スマホのまとめサイトもいいけど、もう片方の手で朝日新聞デジタルを見ながら、比べて読むのもおもしろいかも。
春風亭昇吉

社説の100字要約と
リマインドで国語力アップ


東大出身の落語家という奇抜さからか、よく勉強法を聞かれるのですが、受験生におすすめしたいのは「社説を100字に要約してみる」こと。社説は「今、重要なテーマは何か? 問題はどこか?ソリューションは?」をはっきり主張しているので国語力アップにはもってこいです。そして要約した内容を、電車やバスの待ち時間に「何が書いてあったっけ?」とリマインドしてみることも大事。ここで2~3日分を思い出せないようじゃダメですよ!1つの社説を10~15分かけてもいいのでインプットしながら読む。そしてリマインドの時間も作れば、ぜったい身になりますから。ちょっと難しいなぁっていう高校生や中学生には、天声人語がおすすめ。これ、落語みたいなものです。最初にマクラで「最近こんなことがあって…」と始まって、本題があって、最後に上手なオチをつける-これは落語の構造そのもの。柔らかいネタで勝負している日も多いので、ふらりと寄席に行くような感覚で読んでみては?