東大に進んだ子どもたちには、
いつも新聞を見せていました。

主婦/佐藤亮子さん

PROFILE

大分県生まれ。津田塾大学英文学科卒業。
私立高校で英語教師を2年務めた後、結婚して専業主婦に。
長男・次男・三男に続き、末子の長女も2017年に東京大学理科Ⅲ類に進学。
独自の子育て法、勉強法が注目され、現在は「佐藤ママ」の愛称でメディア出演するほか、
進学塾などで講演活動も行う。著著に『決定版・受験は母親が9割』(朝日新聞出版)など。

写真 佐藤亮子

四字熟語をスポーツ欄で発見。新聞を実例集に学習意欲がアップ!?

三男一女がそろって東京大学理科Ⅲ類(医学部)に進みました。

彼らが小さい頃から、とことん勉強をサポートしてきましたが、その中で新聞はよく活用していましたね。教科書で触れる知識をリアルなものとして理解するのに、新聞が適しているからです。

きっかけは、長男が小学4年生の頃。四字熟語を習い始めたのですが、なかなか覚えられないんです。「『我田引水』とか、本当に使うの?」と言って。

ある時、私が新聞のスポーツ欄にその言葉を見つけたので、「ほら、ここに載っているよ」と教えると、「本当に使うんだ!」と大興奮。 教科書でしか目にしない言葉が、私がいつも読んでいる新聞の、しかも親しみやすいスポーツ欄に出ているのが、目からウロコだったようです。以来、私が新聞で難しい熟語やことわざなどを見つけては、毎日2~3個ずつ赤ペンでチェック。記事の内容を伝えたうえで、「こんなふうに使われているよ」と教えていました。

ほかにも、国連やユネスコについて授業で習ったら、その関連記事を「ここだけ読んでみて」と見せたり。高校生になると、社会問題の記事を読んでもらって、「どう思う?」と問いかけることもよくありました。例えば、病気腎移植。病気の治療のために摘出された腎臓を、悪い部分を取り除いて別の人に移植することについて、親子で考え、議論しましたね。

写真 佐藤亮子

忙しい日々の楽しみは投稿欄。人生の悲喜こもごもを味わった

なぜ普段から子どもたちに新聞に触れさせていたかというと、社会を知ってほしいから。自分たちはどんな時代を生きているのか、未来をどう考えるべきか。自分の意見を持ち、語れる大人になってほしいと思いました。

新聞の効果か、子どもたちには早くから「自分は社会の一員だ」という意識が育ったようです。選挙権を得るのを楽しみにしていましたし、大人になった今も、「一票を通じて、自分の意志を表したい」と話していますよ。

新聞がいいのは、個々の記事がわかりやすく短くまとまっていること。気になる記事だけピックアップすれば、子どもが読むにも負担がないですし、私自身、子育てで忙しかった頃は、塾の送り迎え途中の待ち時間などに、よく「ちょい読み」していました。

特に楽しみにしていたのは、投稿欄です。年齢も境遇もさまざまな人の暮らしや人生が詰まっているので、読みながら思わず泣いたり、笑ったり。子どもたちには「ママ、どうしたの!?」なんて驚かれましたけど(笑)。

今、子育て中のお母さん方にも、「ちょい読み」をおすすめしたいですね。親が読まないと子どもも読みませんし、子どもの勉強に活用するだけでなく、自分の人生を豊かにするヒントもきっと見つかるはずですよ。