1面に、まったく違う言葉と文体を持ち込むところに面白みがあると思います。

担当記者に聞く、「ちょい読み」/折々のことば

朝に「ちょい読み」。
言葉をその日一日、心の片隅に置いてみる。

記者/西岡一正

    PROFILE

    徳島県生まれ。ゆったりした学生生活を過ごして、1982年朝日新聞入社。出版局で「アサヒカメラ」「アサヒグラフ」などの編集部に在籍。2001年に編集局学芸部(現・文化くらし報道部)に異動。「中年新米記者」として読書、ファッション、美術などを担当。現在はシニアスタッフ3年目。主担当は美術、「折々のことば」は連載開始時からサブ担当。
    趣味やオフの過ごし方はルアーフィッシング、水泳。時間ができれば料理を身につけたい。

    「折々のことば」とは?

    「折々のことば」は、2015年4月から始まった朝日新聞朝刊1面のコラム。哲学者の鷲田清一さんが、古来の金言からツイッターのつぶやきまで、さまざまな「ことば」を紹介し、思索をめぐらせます。

    写真 西岡一正

    文化的要素を持つ朝刊1面の小さなコラム

    「折々のことば」は2015年から始まった1面のコラム。それ以前にも1面には小さなコラムがいくつか連載されていました。1979年から2007年までの29年間は、詩や俳句など短詩型文学を取り上げた「折々のうた」。草花の植生、歴史、それにちなんだ文学作品などを紹介する「花おりおり」。そして、写真を用いながら動物の生態などを解説する「けさの鳥」。「折々のことば」は文化的な内容のコラムというところを受け継いでいます。

    哲学者・鷲田清一さんが古今東西さまざまな言葉を取り上げ、紹介した想いをつづっています。報道媒体である新聞の、特に1面は政治や経済、社会の話題が多くなりますが、そういう紙面に全く違う言葉遣いや文体を持ち込むところに面白みがあると思います。私自身、1面に掲載されている文化的なコラムが好きで読んでいたので、まさか担当することになるとは思っていませんでしたね。

    写真 西岡一正

    思いがけない言葉との出会い名言集とは違う存在

    「折々のことば」の魅力は、いわゆる名言だけでなく市井(しせい)の人の言葉など、思いがけない言葉に出会えること。鷲田さんもこうおっしゃっています。「取り上げることが多いのは、ひとひねりある、普通とは違う物の見方をしている言葉です。問題を考えるときに補助線になるような言葉、『今までそんな風に考えたこともなかった』というような言葉を探しています。なぜこの言葉に惹かれたのだろうと考えながら書いています。意味だけでなく、口調やリズム、音の響きにじんとくることがあるんです」。

    今まで知らなかった言葉、知っていたけれど意味を知らなかった言葉。言葉を知ると同時により深く読み込み、考えるきっかけになればいいなと思っています。古い言葉や海外の言葉であっても、鷲田さんが今の文脈の中で選んで書かれているので、今の時代、我々の暮らしにつながる部分がきっとあるはずです。さまざまな人の言葉を知り、さまざまな考え方があることを知れば、寛容な心を養うのにいいのではないかと思います。

    写真 西岡一正

    朝の「ちょい読み」で心のスイッチを切り替える

    新聞記事とは、それこそラーメン食べながらでもわかる内容にと心がけます。しかし「折々のことば」はニュースや報道とは性格の違うコラム。読者が朝刊で読んで「あれ?」と心にひっかかるようなものになるといいな、と思っています。その日一日とか数日間、心の片隅に留めておき、あるときふっと心に浮かべて「そういうことか」「ひょっとしてこういうことかも」と思ってもらえることを期待しています。

    鷲田さんもこうおっしゃっています。「言葉は旧友や恩師と同じで、出会った頃と、50年つき合ってきた後とでは魅力を感じるところや関係の意味が全然変わってくる。本当に大切な言葉ほど、触れた人との関係の中で深化していきます。」小さなコラムなので、時間のない朝にも1分ほどで気楽に読めます。ぜひ、気になる言葉、お気に入りの言葉を見つけてください。

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