まずは2段落目まで読んでみてください。それでつまらなかったら僕の負けです。

担当記者に聞く、「ちょい読み」/天声人語

天声人語は603文字。
毎日の「ちょい読み」にぴったりです。

論説委員/有田哲文

    PROFILE

    1965年新潟県生まれ。週刊誌編集者を経て、1990年から朝日新聞記者。
    鹿児島支局、西部本社社会部、政治部、経済部、ヨーロッパ総局などで取材にあたる。
    金融国会、郵政選挙、欧州債務危機などに遭遇した。
    著書に「ユーロ連鎖危機」、共著に「ゆうちょ銀行」。
    趣味は剣道とフォークソング。

    「天声人語」とは?

    新聞の1面は、その日もっとも重要な記事が集まるページ。天声人語は朝日新聞朝刊1面で1世紀以上掲載されている看板コラムです。月曜日から日曜日まで毎日掲載しています。

    写真 有田哲文

    603文字、6段落、署名がない、変わった存在

    天声人語は、1面に毎日掲載されている時事コラムです。ニュースと同時に、季節の話題や旬の話題も入っていきます。そのときあったニュースに即して、違う切り口で書く、603文字、6段落とルールがあるのが特徴です。また、今ではほとんどの記事に署名があるのに対して、署名がないのは変わった存在ですね。通常の記事と違って、見出しもありません。連載開始は1904年。タイトルが変わったこともありますが、1世紀以上続く歴史あるコラムです。私は2016年4月から担当しています。天声人語の筆者は私と山中季広・論説委員の2人です。2名の「天声人語子」が1週間交代で書いています。お互いどう書いているかは書き上がった原稿からしかわからないんですよ。

    写真 有田哲文

    朝、テーマを決めてどう着地するかわからないことも

    テーマや切り口は、そのときそのとき、その日暮らしで考えています。毎日掲載される欄を2名で担当しているので大変ですね。ただ、書き溜めることはないです。「こういうテーマをいつかやりたいな」と思って、それに向けて勉強することはありますが、書き上げることは直前の瞬発力にかけています。実は、書き溜める余裕が無いというのも本音……。朝、テーマを決めて、どう着地するかわからないこともありますよ。夜に書き終わり、家に帰って次のテーマを考え、次の朝に新聞を読み、テーマはどうしようかと考え、夜に書き上げる。この繰り返しです。

    書くときには、「書きたいこと」「書くべきこと」「書けること」この3つを闘わせます。書きたいと思っても、それを支える材料を持っているか、納得させられることなのかが重要。本で読んだことがあるか、取材したことがあるか、書けるけど面白いか、などを考えます。掲載後に妻や同僚に意見を聞いたり、読者の方からのお便りを読んだりもしますね。

    写真 有田哲文

    「ちょい読み」でも思わぬ発見がきっとある

    今日は1面を読む。明日は3面を読む。そんな「ちょい読み」の楽しみ方もあるのではないでしょうか。予期していない、考えもしていないものに出会える、それが新聞の強み。思わぬ発見があるかもしれないし、つながりがあるかもしれない。それを楽しんでもらえるといいですね。

    天声人語は603文字と短いので毎日の「ちょい読み」にも適していると思います。まずは2段落目まで読んでみてください。それでつまらなかったら僕の負けです。書くときに意識するのは、どんな表現をすれば多くの人に届くかということ。だから、大人の方だけでなくお子さんにも読んでいただけると思います。天声人語で取り上げた出来事を別の記事でも読んで、ほかの見方も出来るんだと思っていただけるといいですね。

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    「天声人語」を切り抜いてノートにスクラップ。見開きページの原稿用紙に書き写しましょう。

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