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みなさんは普段、何をしている時が一番楽しいと感じますか?ゲームをしているとき?あるいは、絵を描いているとき?好きな部活に熱中している時?多くはないと思いますけど、勉強をしている時?

では、ちょっと質問を変えてみます。

"今、好きなこと"を、将来の仕事にできると思いますか?自分が熱中できるもので食べていける自信はありますか?

自信を持って首を縦に振れた人、心の中で強くうなずけた人、決して多くないと思います。一度、自分の周りを見回してみてください。きっと、生き生きと仕事をしている大人が少ないからだと思います。そう、 "好き"を仕事に出来る人は、ごくわずか。

プロ野球選手になりたいと思って甲子園に出場したとしても、プロとして野球が出来る人は一握りなのです。

「ちょっとプロ野球の話だと極端じゃ?」と思うかもしれませんが、実は美術大学に通う生徒もそうなのです。好きな分野を学びに行ったはずの美大生は、卒業後、就職できないことが多いのが現状です。実際に、その就職率は47%。一般的な総合大が平均90%以上と考えると、約半分です。

ただ、そんな厳しい状況の中、クリエイティブという好きなことを仕事にしている人も、もちろんいます。今回お話を伺った後藤あゆみさんもその1人。美大出身の後藤さんは、現在クリエイターの支援という新しい分野で活躍をしています。

就職率47%という環境の中から、後藤さんはどのように仕事に出会ったのでしょうか?そもそも、クリエイティブな仕事をしながら、クリエイターの支援をするということはどういうことなのでしょうか?

後藤あゆみ流、好きな仕事で生きていく方法、夢を叶える方法、スタートです。

「私って必要とされてない...?」クリエイターを目指す学生が就活でぶつかる壁

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本日はよろしくお願いします。ところで後藤さん、もしかしてポケモンGOやりながら来ました(笑)?取材日はポケモンGOリリース当日。

後藤:え!!!??バレてましたか??そうです(笑)あ、ギリギリの到着になって申し訳ないです。。。

大丈夫です、私もやりながら来ましたから(笑)。さて、本題に入りますが、後藤さんって今、どんな仕事をしてるんですか?

後藤:現在はフリーランスで、「クリエイター支援」をテーマに仕事をしています。

クリエイター支援?初めて聞きましたが、具体的にはどういうことでしょうか?

後藤:私は自分で職種を、この仕事自体を創ってしまったので(笑)。

例えば、「はたらくビビビット」というメディアの運営です。ここではクリエイティブを仕事にして生きていくためのノウハウや、あらゆる業界でクリエイターとして活躍している人のインタビューなど、クリエイターのキャリアに関する情報を提供しています。

他には、デザイナーなどのクリエイターの力を必要としている会社に、クリエイター紹介や提案をしたり、企業のデザイン組織のPRやブランディングをしたり。最近は、最先端技術を使ったサービスやモバイルゲームを提供しているDeNAのデザイン組織で、デザイン広報を担っています。要は、社内で働くクリエイターの活躍を発信したり、クリエイターを集めてイベントを行ったり、デザイン組織のイメージをつくるブランディングのお仕事をしているんです。

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ー学校で講義を行った様子

後は、学校で講義やワークショップもしています。クリエイター職に就くためのポートフォリオの作り方を教えたり、クリエイターのキャリアって、どんなものがあるかという紹介をしたり。全体的に若手クリエイターに向けて、働き方の紹介や仕事作りをしています。

ここでちょっと質問が変わるのですが。後藤さんの話を聞くと、日本ではデザイナーなどのクリエイターのニーズがすごくあるようですが、どうして現状は、クリエイターが不足しているんですか?

後藤:需要のある仕事に美大生が興味を持っていないことがひとつ課題です。あと、美大に行こうとする時点で、親に反対されてしまう子とかが多いから、日本のクリエイターの母数が増えないんですよ。

おおお、それはなぜですか...

後藤:就職率の低さですね。実際のところ、美大生の就職率は47%くらいです。経済学部とかがある一般の4年制大学の場合は、就職率が倍の98%を超えるところもあります。私も美大出身ですけど、学生時代の友人の半分以上、いまなにをしているのか分からない状況です。

ただ、就職できなかった子たちの中にも、学生生活をまじめに送っていて、スキルがある子も多いんです。

ある程度のスキルがある子も多い、しかし就職できない...なぜなのでしょうか?

後藤:まず、仕事の探し方を知らない子が多いですね。企業をよく知らないから、どこで募集しているのか分からない。自身のスキルとマッチングする仕事がなんなのかも分かっていない。

でも、彼らが苦戦するのも無理はなくて。というのも、新卒のクリエイター職って、募集が見つけづらいんですよね。企業の情報がまとまっていないことも多いですし、美術系専門の採用イベントとかも最近、出始めたばかりでまだまだ少ないし。

そもそも、就職、いや就活自体の環境が整っていないんですね。

後藤:そうなんです。だから、総合大の就活イベントに行っても、クリエイティブの仕事の説明がなくて、「働く場所がない」という絶望感に襲われることが多いんです。私もそうでした。

ひたすら負け続けた学生時代。あきらめ続けて見えてきた、自分の強み

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ー学生時代、作品を作っている様子

ちなみに、後藤さんはどのような学生生活を送っていたのですか?

後藤:私も美大出身なので、ひたすら作品を作っていました。当時は、映像作家になりたかったり、現代アーティストになりたかったり、ファッションデザイナー、アートディレクター(視覚的表現に対して責任を持つ人、制作チームのリーダー)って感じで、なりたいものがコロコロと変わっていました(笑)。

- 結構、転がりましたね(笑)

後藤:とにかく、何かの分野でトップになりたいと思っていて。だから、全部一度は挑戦してから辞めています。

挑戦したのに、辞めちゃうんですか?

後藤:そうですね。学生時代、私の周りには競い合う友達がたくさんいて。よくコンペ(=同じテーマを複数人で競い合って優秀なものを決める大会)とかもかぶったんですよ。でも、友達の方がズバ抜けて才能あるなーって感じることが多くて。例えば、映像作家を目指していたとき、私は曲に合わせて細かい動きを作ることが苦手でした。でも、友人はズバ抜けてうまくて。あ、その人は今、Perfumeの仕事してます。

ーすご!!

後藤:なので、「私がどんなに頑張っても友達のスキルには届かないから、別のことやろう」って、いい意味であきらめがつくんです。わたしの場合、こだわりがないから。とにかく、何でもいいからトップになりたくて(笑)。

映像でトップに立ちたい

同期に負ける

じゃあ、今度はデザインだ!

同期に負ける

って感じで、、今の企画職にたどり着きました。

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ー後藤さんの学生時代の作品

(笑)。勝てないって経験を、つまりたくさん負けてきたから、自分の殻を破れたんですね。

後藤:そうですね。後は、ロールモデル(=お手本になる人)をたくさん持っていました。学生時代は、先輩とか、かなり身近で活躍している人。その人のスキルを吸収するために一緒に活動をして、吸収して、学ぶことがなくなったら、別の人のところで別のことを学ぶ。計画的にやっていたので、「お前ってドライだよな~」って言われることもしばしば(笑)

(笑)

とにかくたくさんのことに挑戦して、失敗して、自分に合わないと思ったら切り替える。これを学生時代は繰り返していましたね。その時の夢とか、成功したいって気持ちを一番大事にしていたので。切り替え早い性格もあって、ちょうど良かったです。

センスだけではなく行動力。それが、クリエイティブの世界で活躍できる条件

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先ほど、美大生の就職率の話がありましたが、就職に成功している子もいるわけですよね?

後藤:いますいます!仕事上、よく学生に会うのですが、活動できている子は、行動が早いですね。

TwitterとかFacebookを活用しまくって、1年生から動き出しています。例えば、地方に住んでいても、東京でイベントがあれば行くとか。将来なるかはわからないけど、「UIデザイナーの需要が高い」という情報をキャッチしたから、とにかくUIのスキルを付けようとか。早い段階からアンテナを張れている子は就職もかなりうまく行っています。

あと、ロールモデルがいる子も強いですね。目標の人、すでに活躍している人の過去のブログやインタビュー記事をひたすら読んで、その人と同じことをやっています。私自身も、ロールモデルの人が過去のブログで学生時代にしていたことを真似していました。そして、違うなと思ったら、別の人に切り替える。これを繰り返すうちに、スキルも人脈もどんどんついてきました。

そういう行動力のある子は、やっぱりデザインの仕事がしたいって意思も強いんですか?

後藤:もちろん、デザインへの意思が強い子は多いです。でも、元は「パッケージデザインをやりたい!」って人が、いつの間にか「ビジネス系とか投資をやってみたい!」ってなる子も多いですね。

ビジネスに投資?!だいぶ職種が違いますね!

後藤:そうなんです(笑)。後は、将来起業して、デザイナーとして仕事がしたいから、今はスタートアップ(急成長を義務づけられた企業のこと)でITサービスを作れる会社に行きたいという子とか。あんまりデザインという枠にとらわれずに仕事を選んでいる子が多くなったと思います。会社をつくることや、ビジネスをつくることがクリエイティブだと捉えているんだと思います。

挑戦して、いち早く自分の才能に気づく ー後藤あゆみ流【夢を叶える方法】

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後藤さんの今の夢ってなんですか?

後藤:いま、自分がPRに携わっている組織業界ナンバー1のクリエイティブ組織にしたいですね。後は、クリエイターのプラットフォームも作りたいですね!死ぬまでに自分の美術館も作りたいです!

プラットフォーム、というと?

後藤:たとえば、LINEのクリエイターズスタンプ。あれって、みんなが気軽にスタンプを売って、それで人気が出ると、それだけで食べられるようになった人達がいますよね。それと同じように、クリエイターが表現したり、発信したりできるプラットフォームを作りたいですね。そこで仕事を得て、食べられるクリエイターが増えるように。

クリエイターになりたいと考えている人にとって、すごく必要な場ですね!では最後に。クリエイター志望の学生に対して、後藤さん流の夢を叶える方法を教えてください!

後藤:私の場合、まだ夢半ばなので、近づき方、という感じではありますが。

早い段階で自分の才能に気づく取り組みをしてほしいですね。そのためには、「情報のアンテナを高く張って、実際にやってみる」を繰り返すことが、夢に近づく方法かと思っています。

というのも、実際にやってみたら、自分には向いてないケースが意外とよくあるんです。そのまま仮に就職できたら、最初はラッキーだけど、いずれはハッピーではない

だから、それに早く気付いて、また次のことを試すことが大切です。そうすることでスキルも身に付くし、自分の本当にやりたいことも明確になります。とにかく繰り返して自身の本当の才能に気づくことが夢に近づくことの近道かなと思いますね。

自分が動かないと、自分の本当の才能や、向き不向きって見えてこないんですね!本日はありがとうございました!

(書き手:濵田七海 編集:後藤亮輔)

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