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「将来の夢はなに?」
「何に興味があるの?」

この質問に頭を悩ませた経験、ありませんか。

「元学生起業家」で、現在「CROOZ株式会社で新規事業のプランナー」として活躍する細川大己(ほそかわだいき)さんにインタビュー。起業までの苦難から「やりたいことの見つけ方」を見出したようです。

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「起業って、なんかカッコイイ!」高校時代に抱いた、起業家への「憧れ」

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ー 本日はよろしくお願いします。細川さんは現在大学4年生で、起業と倒産を経て、就職されたと。

細川:はい。在学2年次に起業し1年半を経て、今年2月に解散し、現在はCROOZ株式会社で働いています。

CROOZは年商150億円の日本最大級のファストファッション通販サイト「SHOPLIST.com by CROOZ」を運営する会社なのですが、そこで僕は、今までSHOPLISTが培ってきたノウハウや資産を生かした新規事業の立ち上げにプランナーとして参画し、日々働いています。

ー (おお、できる人っていう感じ......!)なるほど、早速ですが一番気になるところを教えてください。起業したきっかけは?

細川:高校生のとき、テレビで『カンブリア宮殿』を観て、最年少上場されたリブセンスの村上太一さんを知りました。「一人ではできないことを仲間とともに成し遂げる起業家」という存在を知り、「起業ってカッコイイ!」という憧れを持ったのがきっかけです。

村上さんは早稲田大学在学中に起業されていたので、僕も在学中に一度起業してみたいと思い立ちました。

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ー へえ、きっかけは「憧れ」なんですね! ということは、「村上さんのようなキャリアで起業しよう」と目標を立てたんですね?

細川:いいえ。実は受験には成功しましたが、別の大学に進学しました。理由は単純で、受験会場で目の前の席にいた学生が「大学に入ったら何をしたらいいかわからない」って話をしていたのが聞こえて。それが世の中の当り前だとは思っていたのですが、自分が環境に流されやすい性格だと分かっていたので、このまま進学していいものかと不安になったんです。

最終的には、働きながら学べるような社会人大学に行くことにしました。自分の中で結構振り切った決断だったので、「ここでやらなきゃどうしようもない」という危機感が芽生えました。

漠然とした「憧れ」から始まり、と明確な「課題」にぶつかる。2つが重なって見えてきた起業への道筋

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ー 「危機感が芽生えた」とのことでしたが、そこからどんな行動を?

細川:入学してすぐ「農家でアルバイト」をしました。中学生の時に農業体験をした際、「高齢化問題」や「耕作放棄地」が多いことを知り、「日本の農業がヤバい、何かできないか」と感じて。実際に農家の元で解決策を見つけたいという好奇心から、千葉の農家で働くことにしました。

農作業をしたり、収穫し農協に持って行く準備などを手伝っていました。ところが自分が手を動かせば動かすほど、当初の問題は大きく感じて......。今の僕の実力では何も解決できないと挫折を感じ、何かその切り口となるような武器を手に入れたいと感じました。

ー なるほど......。その挫折はどう乗り越えようと?

細川:在学1年次にオンラインプログラミングスクールを運営する教育系ITスタートアップでインターンをすることにしたんです。

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ー な、なぜ!?農業からプログラミングって、全然違う分野では......。

細川:僕的には軸はズレていなくて、武器というか手段を探していました。そこで「プログラミングを手段として使えれば、何か解決できるのではないか」と思ったんです。「ひとつの農家では解決できない問題」に直面した悔しさもあり、ITの力で解決できたらって。村上さんがIT分野で起業していたこともあり、興味はありましたし、問題解決にもいろいろなやり方があると気付けたんです。

19歳で田舎の一軒家から起業!プロダクトは軌道に乗っても、1年半後、創業者間の問題で解散

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ー 農家でアルバイト、プログラミングスクールでのインターンを経て、起業?

細川:そうですね。僕が19歳のときでした。

当時、インターンシップと平行して定期的にVC(ベンチャーキャピタル)等が主催するビジネスコンテストに挑戦していました。ですが、最初は何を作っていけばいいのかわからなくて、上手く行かずに酷く落ち込んでばかりでした。

ある時、交流のある投資家の方と「動画、来てるよね」という話で盛り上がって。そこが作りたいものを見つけた転機でした。

当時、VineやMixChannelといった動画SNSが流行っていて、Ciscoの年次予測でも『2018年には世界のインターネットの全通信の75%が動画になる」と言われていました。「コミュニケーション手段の一つとしての動画がキテるな」と確信し、その動画領域に強い可能性を感じました。また、生活の基本である「衣食住」のうち、ユーザーとの接点の多い「食」の分野を選びました。

自分の考えたプランを元に仲間を始め、2014年の1月に仲間が集まり、やっとアプリの開発に着手できたんです。

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その後、2014年の9月に青梅の一軒家で起業、同時にアプリをリリースしました。押して離す動作だけで「計7秒のグルメ動画」を作れて、店舗の様子を伝えることができるSNS「Gocci(ごっち)」というアプリです。

ー 起業を実現できたポイントってありますか?

細川:起業すること自体は全く難しくないと思います。その上でスムーズに起業できたポイントは大きく3つあります。まずは仲間が集まったことです。Android、iOS、サーバーサイドの開発ができるプロダクトを作る最低限の人数が揃ったんです。

2つめは、アプリのベータ版の公開準備が整ったこと。そして、3つめはエンジェル投資が決まったことです。

ー「人・モノ(サービス)・金」が揃ったと。一番気になる「お金の問題」から教えてください。エンジェル投資はどのような経緯で決まったのでしょうか。

細川:そうですね、僕の場合は大学の教授に投資をしてもらいました。経緯としては、かつてサンマイクロシステムズ代表取締役、また日本シスコシステム代表取締役会長を務めた松本孝利教授に、会社の立ち上げやサービスについて相談していたんです。その流れでエンジェル投資をしていただきました。

お金の問題は難しいですよね。周りの学生起業家は、資本金を自分で用意したり、親から借りたりしています。様々なケースがあると思いますが、「投資」をしてもらいたいと考えているならば、「世界観をプロダクトとして見せられるようにする」か、「自分の言葉でしっかり伝えられるようにする」ことが達成できていないと、なかなか難しいと思います。

ーやっぱり大変なんですね......。もうひとつ、人が揃ったということでしたが、何人くらい? オフィスは借りたんですか?

細川:大学生5人です。当時は青梅の一軒家をオフィス兼自宅として借りて、生活を共にして開発していました。

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△青梅オフィスの周辺

ーへぇ、いいなぁ。青春そのものという感じで楽しそう!でも、なぜ青梅を?(笑)

細川:「オフィスであり、みんなで住める場所」を探していたら予算的に青梅になりました。僕らがいた場所は、東京だけど無人駅で、自然たっぷりです(笑)。一緒に住んでいたからこそ「会社運営&アプリ開発」ができたんだと思います。

ー いいですね〜、緑が多いと疲れた目も癒されそう。その後事業はいかがでしたか?

細川:そうですね、大手の新聞やWebメディア等で数回取り上げていただいて、アプリは数十万ダウンロード突破しました。また、大手製菓会社のビジネスコンテストで優勝し、半年ほどフィードバックをもらいながら一緒に事業創造をしました。

会社の設立半年後、VCより二度目の資金調達をして、オフィスを移転しました。渋谷の学生起業家が集まるコワーキングスペースです。

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△渋谷オフィス

この時、自分としても少しではありますが、手ごたえを感じつつあったのですが、今年の2月に倒産してしまいました。要は社長である僕自身が原因であり、特に仲間に対するコミュニケーションが足りなかったです。

ー 倒産してしまったのですね......原因が「コミュニケーション」というと。

細川:僕自身、前に出て引っ張っていくタイプではなくて。「友達として会話をしても、仕事に関してみんなに伝えることが足りない」からすれ違いが起きていたんです。

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ー 難しいですね。気づいた時には遅かった......と。振り返って、「起業家」はカッコイイものでしたか?

細川:うーん、それでいうと憧れていたようなカッコイイ仕事ではなかったし、少なくとも僕自身は出来なかったです。実際の社長は「なんでも屋」でした。僕の他はみんなエンジニアだったで、僕は自分のiOS開発に加えて営業も雑務もなんでもこなさなきゃいけなかった。起業家はみんなそうなんだと思います。

高校生のころは「憧れ」でしたが、ポーズをとってるだけじゃ務まらない。「これをやらなきゃ僕は死んでしまうんだ」くらいの強い思いが必要だと気付きました。

ー 倒産を経験して、次のステージとして現在の職場(CROOZ)を選んだのはなぜですか?

細川:ここでなら「前回の経験を次につなげる新たな挑戦」が出来ると思ったからです。

CROOZは、役員や若手起業家をメンターに招いたビジネスコンテストXYZ」や「BIZCAMP」などを日本全国各地で開催していて、学生起業家の輩出や育成に力を入れています。

そういう会社であれば、若手でも活躍できるチャンスの場をもらえるのではないかと考えました。

実際に、まだ僕は学生で入社したばかりにも関わらず新規事業を任せてもらっていて、日々やりがいを感じて仕事に取り組めています。

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ー なるほど、新たな挑戦のために「修行の場としてCROOZを選択した」と。今、起業家時代を振り返るとどうですか?

細川:いろんな方と仕事をしているので、今になって「あの時あれもできた、これもできた」と気付くことが多いです。

「(失敗含め)経験は次に繋げないと腐ってしまう」と思うので、現職で過去の経験を活かせてるのはとても幸せです。

やりたいことの見つけ方。「とにかくいろいろ飛び込む」、「自分を掘り下げる」、そして言葉にする

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ー 細川さんは「やりたいこと」を次々見つけてますよね。「やりたいこと」を探すことに悩んだ経験はありますか?

細川:ありますよ。起業を目指した時も「何」をしたいか決めるのに時間かかりました。

ー 細川さんの「やりたいこと」の探し方は?

細川:僕は2つあると思っています。1つ目は「とにかくいろいろ飛び込む」こと。少しでも興味を持ったことはまずやってみることです。挑戦したら、好き嫌いや得意不得意が判断できると思います。

もう1つは「とにかく自分の中から出してみる」ことです。

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ー 自分の中から出す、とは?

細川:たとえばプロダクトを自分で作って形にしてみた上で、身の回りの誰でもいいから人の目に晒すことです。誰かに見える形にしないと、誰も評価してくれない。10点や20点の出来でもいいから形にすることが大事です。自分が100点だと思っていたものでも、周りの評価では30点ということもわかりますし(笑)。

僕自身、形にしても「伝わらない」、「判断できない」と言われて悔しい思いをすることは今も沢山ありますが......「自分が甘かったんだ」と反省して持ち帰って、また挑戦する。そうすることで初めていいものができていくんだと思います。

ー 周囲の意見を聞いて軸がぶれることもありませんか?

細川:そこは注意したいところですね(笑)。それも心がけ次第で、聞き過ぎても聞かな過ぎてもいけないと思います。

ー ところで、細川さんがこの先したいことって何ですか?

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細川:「起業家時代の反省」と「今のCROOZで事業の作り方をしっかり勉強」した上で、もう一度「起業」に挑戦してすごい世界観を持ったいいプロダクトを作りたいです。英語の『work』って、「仕事」と「作品」って意味があって、僕の中では「最高の仕事は最高のプロダクト作り」というのがしっくりきていて、常に作品を生み出す側に携わっていたいと思っています。

「やりたいことが見つからない」人は、小さいことを意識するところから

なんてことのない、「フツーの大学生」が起業に挑戦。周りのみんなと何が違ったのか。それはきっと、自分の中に芽生えた「小さな気付き」としっかり向き合ったから。最後に彼は「とにかくいろいろ飛び込む」ことが大切と話しました。「それがなかなか難しいよ!」という方もいると思いますが、行動してみないと次の新しい自分に出会うことはありません。

やりたいことを見つけることが難しかったら、「やりたくないこと」に注目してみるのもいいかもしれません。でも一度、自分自身とじっくり対話してみましょう。誰だってきっと「小さな気付き」はあるはずです。

(執筆:渡辺彩香 編集:富澤友則)

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