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(講談社のモーニング編集部=出典:朝日新聞)

みなさん、こんにちは! マグロ部編集部です。

大学3年生の就活シーズンが近づいてきましたね。準備を進めだすと気になるのが、「採用担当者って学生に何を求めているんだろう?」ということではないでしょうか。講談社の人事部副部長、山崎英文さんにホンネを聞いたインタビューの後編です。

(前回までのあらすじ)求める人材像や面接の裏側について「作家さんの前に連れて行けるか」「マニュアル学生はもったいない」「面接は加点方式」と語る山崎さん。では、当の山崎さんはどんな就活をして、どんなキャリアを送ってきたのか。そしていま、学生がやるべきこととはーー。

志望動機で差別化。「本の価値は、型落ちしないこと」

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(インタビューにこたえる講談社の山崎英文・人事部副部長)

――山崎さんご自身は、面接のときに点数をとれる自己PRがあったのですか。

何を隠そう、僕は大学時代、アルバイトもサークル活動もしませんでした。何もしないでとりあえずうちと大学を往復して、だらだらしていました。ただ出版社は本当に入りたくて志望していた業界だったので、入って何がしたいかは具体的に言えたし、なぜ出版社志望だったかは少しは突っ込んだ言い方ができたかなと思います。

――覚えていますか?

出版志望の人はよく「本が好きだから」と言うんですが、それは当たり前です。

本という商品、本をつくるということにどうして魅力を感じたのかというと、僕は文系の人間なんで、普通に会社に入ったら営業の仕事をやることになるのかなとイメージしたんですよね。

でも、こんなことを言うのはあまり良くないんですが、ぶっちゃけて言うと、当時の自分は「営業の仕事はやりたくない」と思っていました。そもそも向いてないし、つきあい悪いし口も悪いしわがままだし人相も悪いしという感じで。自分が営業マンとして活躍する像はまったく思い描けなかった。

そこで「どうせなら売る側じゃなくてつくる側に回りたい」、「文系の人間でものをつくれるって何の仕事があるんだろう」と思ったときに、部屋に雑誌や本がうずたかく積まれてあった。バイトもサークル活動もしていないので、雑誌とか本とかを暇つぶしで読んでたんですね。「これだったら自分も作れるじゃん」と思って出版業界を志望ました。

文系の人間でもものづくりができる、というところをさらにつきつめていくと、本という商品って面白くて、家電製品とか自動車とかってどんどん型落ちして市場からなくなるじゃないですか。

もちろん中古車とかビンテージという形では残りますが、現役の商品としては型落ちになって市場からなくなる。でも本屋さんにいくと、当たり前のように今はこの世にいない作家の本も新品の商品として売られている。それが明治や大正どころじゃなくて、江戸時代だったり、枕草子なんていつの時代ですかっていう感じで残っている。

これって現役の商品なんだなって考えたんです。自分は作者にはなれないけれども、編集の立場でそういう本をてがけることができたら、自分の仕事が、自分が死んだ後でも色んな人の生活に影響を与え続けることができるかなと思った。

当時はここまで詐欺師のように流暢にはしゃべれないんですが、こういったことをつたないながらも伝えました。

――それが先ほど(前編で)言っていた、「やりたいことの価値を伝えられる」ということですね。

たぶんそこでは他の学生さんとは明確に差別化できたと思うんです。それが良かったか悪かったかはさておき、こういうことを言う講談社の志望者はたぶんほかにいなかったんじゃないかな。ということを話すと、そういう志望動機がすごく増えるのかなと思うんですが、僕が見たらひとめでわかるんで。

――文芸誌がいいとか、書籍をつくりたいとか、希望のジャンルはあったんですか。

正直、わりとなんでも良かったです。自分が読者としての感覚を持ちえない女性ファッション誌とか、女性コミックは、つくる側としてはイメージできないけれども、自分が読者になりうるものであれば、フィクション、ノンフィクション問わずやってみたいですと言いました。

せっかく講談社という総合出版社に入れていろんなジャンルを手がけられる機会があるのなら、そのスケールメリットをいかさない手はないと思いました。

編集者のやりがい。「自分の魅力が試される」

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(画像はイメージです)

――入社後はどんな担当をしてきたのですか。

基本的にはマンガ編集です。

ヤングマガジンから始まり、漫画のほかに記事ページとか、表紙巻頭のグラビアとかもやらせていただいて、ひととおり雑誌編集をさせてもらいました。そこには8年いて、次は4年間、デジタル関係の部署にいました。その後、モーニングを6年。

2011年から今の部署、当時は人材開発部という採用と研修に特化した部署があり、そこで採用担当の副部長になりました。去年、組織が変わって人事部になり、採用担当の副部長を続けています。

――漫画編集者のやりがいは。

作家さんは講談社の社員だからといってぜんぜん信用してくれないんです。この人は自分にとっていい編集者なのかどうかを必ずシビアに見ますね。最初のうちは打ち合わせで何か言ってもぜんぜん受け付けてくれなかったりします。

一方、この人は実はすごくいい担当だなとか、この人のセンスは意外にいいぞとか、この人のために頑張ろうとか思ってもらえると、そこからすごくいい仕事が一緒にできるんです。

講談社の社員だからつきあうんじゃなくて、いち編集者として信用できるから自分はあなたと仕事しますよ、とみてくれるのがやりがいですね。全部自分の頑張り、自分の能力、自分の魅力が試されているので。

担当が変わるときが作家さんからの通知表をもらうときだと僕は思っているんですが、「次の人って誰ですか」とあっさり聞かれるとがっかりしちゃうんですよね。そうじゃなくて、「ほんと困るな」とか、「君がいなくなったら僕は描けなくなっちゃうよ」と言ってくださる作家さんもいて、それはリップサービスも多分にあるとは思うんですが、リップサービスでもそう言ってくれると、頑張った甲斐があったなと思いますね。

――つくったものをより良いものにしてくれる編集者がいいと。

そうですね。作家さんってものすごく能力も才能もある人たちなんですが、だからと言ってそういう人たちもいきなりぼんと完成した原稿を出せるかというとそうではなくて。編集者が読者の視点からみた感想をきちんと言葉にして作家さんに伝えて、それを作家さんがどう受け止めて解釈して、取り入れるところは取り入れる、切り捨てるところは切り捨てるということだと思うんですね。

あとは作家さんはフリーランスで、我々はある程度雇用が守られているサラリーマンなので、作品が失敗すると我々は別の作品を担当としてあてがわれるし、場合によってはほかの部署で仕事が回ってくるんですが、作家さんの場合は連載が終わったり作品が失敗したりするのは、一時的かも知れないですが仕事がなくなることなんです。

その不平等はすごく緊張感になりました。

学生は何をすべきか。「就活はすごいラッキーな期間」

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(画像はイメージです)

――なるほど、ありがとうございます。講談社の採用規模とスケジュールについても教えてください。

17年卒は、ESを提出した学生さんが2500人いて、22人を採用しました。編集が14人、営業が6人、校閲が2人です。

2月にESを配布し、4月末に締め切り、1カ月後に筆記。6月アタマから7月アタマにかけて面接でした。18年卒も同様の採用人数、採用スケジュールを考えています。

――インターンシップはやっていないとのことですが、学生さんとの接点はいつから持つのでしょうか。

2月からは質問会という形で人事部員と内定者を囲んで頂いて、一方的に学生さんが質問してもらうことをやります。

3月からは説明会も始めます。現場の社員がきて話をして、課題を出してワークしてもらう。漫画のキャッチコピー考えてみましょうとか、小説の宣伝文句考えてみましょうとか、インタビューの企画を考えるとか、本の売り伸ばしのプロモーションを考えるとか。できるだけ、出てきた社員が普段やっている仕事のほんの一部でも体験してもらえればと思ってやっています。

週刊現代の社員がくると、編集現場で実際につかっている企画の起案用紙をコピーしてつかってもらったりとか、女性誌のラフコンテも台紙のコピーで書いてもらったりとか。

――貴重な経験になりますね。それまでの期間、学生は何をすればいいでしょうか。

学生さんによく聞かれる質問ですね。いま何をすべきか。でもやっておいて良かったか、やらなくてよかったかはその人が一定の地点にたどり着いて振り返ってわかることです。だから少なくとも言えるのは、目の前に転がっていることを片っ端からやれるだけやるのがいいんじゃないかなと思います。

たとえば興味が無い業界でも説明会に足を運んで、どういう会社なのか、どういう業界なのかを知るだけでも価値があると思うんです。

あとはなぜ出版志望なのかは、出版社のこと、出版業界のことだけ考えても一方向からの見方でしかありません。

たとえば金融や商社、メーカーなど、他業界を知って比較することで、もっと出版ということが立体的に見えてくるんじゃないかと思います。出版社は、世の中のありとあらゆることに興味をめぐらすのが仕事なわけで、世の中のいろんなことに視野を広げることが大事です。

就活の期間はすごいラッキーな期間だと思うんです。就活生だというだけで、いろんな企業のいろんな社会人が忙しい時間を割いて会ってくれて、仕事の説明までしてもらえる。就活生だからということでいろいろな経験を積める、絶好の機会だと思いますよ。

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