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「就職したら、まずはとりあえずその会社で3年働け」

就活生ならば誰でもこの言葉を聞いたことがあるのでしょう。しかし、頑張って就活して入った会社でも、実際に働いてみると自分と合わないと感じてしまうこともあるはずです。確かに、すぐに会社を辞めてしまったのではその会社の本当の面白さに気づいていないだけかもしれませんし、3年間働くことで自分なりのやりがいを見つけられるかもしれません。

しかし、本当に「3年」働かなければいけないのでしょうか。もし、仕事が自分に合わないのならば、その3年間はとてつもなく長く、辛い時間になるかもしれません。

そこで、マグロ編集部は今回、大手企業に就職したにもかかわらず、3年以内に転職した先輩社会人にインタビューを実施。一般論に流されず、自分の道を進んだ方々の考えに迫りました。これから社会人になる大学生の皆さんにとっては、必読のインタビューかも?

【登場人物】

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Tさん(右):W大学卒。世界的に有名な某大手メーカーに入社後、新聞社に転職した先輩。

Hさん(左):O大学卒。第一志望の大手金融会社に入社。現在はベンチャー企業で働いている先輩。

40年後もその会社で働いているイメージができるかどうか

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--今日はお時間いただいてありがとうございます。まず、お二人が前職で入社した企業での勤務期間を教えてください。

Tさん:1年と4ヶ月です。

Hさん:3ヶ月です。

--Hさんは随分短いですね!?単刀直入にお伺いしますが、お二人とも、有名な企業に入社されたわけですが、すぐに辞めてしまった理由はなんですか?

Hさん会社と自分にギャップがあったからですかね。その時のお給料や、将来の安定性も大事なのですが、それよりも優先順位の高いものがあるんだってことがわかった。お金ももちろん重要ですが、実際に働いてみるとギャップを感じたんです。

--そのギャップというのは、実際の仕事内容が入社前のイメージと違ったということですか?

Hさん:いえ、仕事内容に不満は全くなかったですし、自分自身の問題です。会社に入る前は自分の好きなことと働くことを分けて考えていたのですが、実際に働いてみて、そうじゃないな、と。自分の価値観が変わったことを自覚したんです。

--Tさんが辞めた理由はなんだったのですか?

Tさん:僕の場合、もともとテレビ局に行きたかったという理由もあるのですが、その会社でやりたいこと、未来の「こうなりたい」という理想像を見つけられなかったのが大きいですね。

--「こうなりたい」と思う理想の上司がいなかった、ということですか?

Tさん:う〜ん。理想の上司がいなかったというよりも、40年後の自分をイメージした時にこれでいいのかなって。会社を見回した時、40年後にやりたい仕事がなかったんです。

--お二人とも、はじめから退職や転職をするつもりで入社したわけではないんですよね?

Tさん:もちろん、その会社に入れて嬉しかったです。世間的にも有名だし、第一志望ではなかったけど、第二志望くらいでしたからね。

Hさん:入社した以上、その会社でずっと続けていくものだと入る前は思ってました。だけど、よくよく考えてみると自分のキャリアの道筋が確定路線として見えてしまうって怖くないですか?自分のこの先の未来が見えてしまうってこんなに怖いものだとは思わなかったです。

Tさん:わかるわかる。

--その「道筋」とは?

Tさん:「入社何年目だと給与はこれくらい、課長クラスだとこれくらい、部長だと〜」といった具合に、内定式の段階で給与体系を説明されるんです。

Hさん:そこは大手の会社ではどこも似ているのかな?それを嬉しいことだと思う人と、「俺の人生が先まで見えてしまったな」とショックを受ける人と二分されると思います。僕は後者だったわけですが。

Tさん:お給料が良いとか、思ったより悪いとかではなくて、「見えている」という事自体に怖さがあるんです。

--自分はこれから見えている道筋をただ辿っていくだけなのだ、と

Hさん:入る前はそれが良いことだと思っていたんですけど、実際に、「人生の3分の1は働いている時間」と言われている中で、その時間を決まりきった未来に費やすのは勿体無い、果たして良いことなのかなって考えることがありまして。

Tさん:学生の時と社会人の時と、働いている時間の感覚ってこれでもかって位違うと思うんです。学生の時からアルバイトやインターンとして働いている人も多いけど、やっぱり学生の本分は学業だから、意識の違いがあるのかもしれない。 その意識の差が原因かわかりませんが、学生の時にやりたいと思っていたことが、会社に入ってから変わることは往々にして起こりうると思います。社会人になってからやりたいことが変わった人には、すぐに辞めるかどうかは別として、「転職」っていう選択肢が出てくるのかも。

Hさん:逆に、入社後に実業務を経験することで、自分のやりたいことはこの路線で間違ってなかったと感じる人もいるでしょうね。

周りの評価よりも、ずっと「やりたいこと」ができずにいる方が怖い

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--お二人共大手企業から転職されたわけですが、転職の際に周りからの反対は無かったですか?

Hさん:家族には全く反対されなくて、「自分の考えたとおりやればいいよ」と言ってもらえました。やりたいことをやろうとする姿勢を応援してくれる友達もいたし、もちろん勿体無いと反対する友達もいましたね。

Tさん:正直、他の人が反対してもあまり関係ないですよね(笑)

僕が転職するきっかけが、広告代理店に勤めている友達とご飯を食べに行った時なんです。友達は少し軽い人なのですが、学生の時からの長い付き合いです。僕は、その友達が仕事をバリバリやりつつも、ちゃんとプライベートも充実しているという話を聞いた時に、「あぁ、こいつは本当にやりたいことができているんだな」と気付かされました。友達が胸を張ってやりたいことができているのを見て、「ダメだ。安定ってなんだよ。なりたい自分になろう」と思って転職に踏み切ったんです。だから何も決まってなかったけど、とりあえず仕事を辞めました(笑)

Hさん:僕もとりあえず辞めました(笑)

--え、いきなりですか!?

Tさん:自分を追い込むためにって理由もあるけど、一刻も早く何か他の事をしたいって気持ちが強かったんですよね。

Hさん:僕もそんな感じです。

--お二人とも「やりたいこと」が当時の会社と合わなかった。それなら、学生の内に自分のやりたいことに気づいて、就活に備えることはできないのでしょうか?

二人:無理じゃない?(笑)

--では、やはり一度会社に入ってみるしかない?

Hさん一番近い方法としては、長期のインターンに参加することじゃないでしょうか。でも、それでも無理だと思います(笑)

Tさん:僕も無理かな、と思います。インターンは社員ではなくて、あくまでインターンなので。

--社会は甘くないですね。

Tさんその会社で40年働くかって聞かれた時にどう感じるかだと思います。

Hさん:実際に会社に入ってみて、仕事と自分のやりたいことにギャップが生じるのは避けられないことだと思います。だけど、よくよく考えてみれば、ギャップが避けられないからこそ、転職は「リスク」じゃなくて「チャンス」なんだと思う。

Tさん:まだまだ一般的にはネガティブに見られることもあるけど、転職はこれからもっと当たり前のことになっていくと思いますよ。

--転職すること自体に不安を感じませんでしたか?

Hさん:おそらく、不安を感じている人は、そのままその仕事を続けたほうがいい人なのかな、と思います。周りからいろいろ言われたり、転職が怖いと考えている人は、そもそも転職に向いていない気がします。

Tさん転職する人は、その会社に将来ずっといるほうが怖いんじゃないかな。周りの意見よりも、きっと「このままこの会社にいて後悔したくない」って思う気持ちの方が強いんだと思います。

就活は長いキャリアのほんの始まり。肩の力を抜こう。

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--では、最後になりますが、就活生に向けてアドバイスをお願いします。

Tさん:結局、自分のやりたいことをやるのが良いと思います。その時に大切なのが「自分のなりたい姿」です。ある人にはあると思いますが、おそらく無い人は無いでしょう。でも、そのやりたいことが入社後に変わることは往々にしてあります。その時に、今まで無かった人は見つけられるかもしれないし、今まであった人も、今度は違うことを見つけるかもしれない。

実際、自分がそうでした。実際に会社で働いてみて、自分で思っていたよりも大事なことを見つけました。 だから、今は行きたい業界がないという人でも、とりあえず就活を頑張ることで、ある程度満足できそうな会社に入るのがいいんじゃないでしょうか。その後で、やっぱり自分が仕事を通じて達成したいイメージとその企業での業務が食い違っていると気がついたならば、「転職」という手段に訴えればいいと思います。

Hさん:就活で上手くいかなかったら社会的に取り残されてしまうとか、それでその後の人生が失敗してしまうとか考えてしまう就活生も多いと思います。だから、就活がなかなか決まらない人が精神的に追い込まれてしまったりするんじゃないかな。でも、就活というのはあくまでも、これから始まる長いキャリアから見ると意外と小さいイベントなので、それが全てではありません。会社に入って、働きながら今後のキャリアを選択していくのもアリだと知っておいてほしいと思います。 もちろん真剣に就活をするべきですが、それが全てではないので、肩の力を抜いて就活してほしいです。

Tさん:すごい良いこと言った。あまり気負い過ぎないことが大事だと思いますよ。

Hさん:そんなに上手くいかないですからね(笑)第一志望のビッグな会社に入っても今はこうしてベンチャーで働いてるんですから(笑)

--本当に最後なので確認させてください。お二人とも3年以内で最初の会社を辞めて本当に後悔してないんですよね?

Tさん:全然してない。今の方がやりたいことがやれていると自信を持って言えます。

Hさん:僕も全然後悔してないです。

--今日は本当にありがとうございました。

心に余裕を持って就活に挑もう!

今回のインタビューを通して、先輩社会人の方々は、就活において「気負い過ぎないこと」、転職は「よりありふれた事になっていく」ことを就活生に知っていて欲しいと繰り返していました。 就活が本格的に始まると途端に忙しくなり、日々の面接などに追われて心の余裕が無くなっていってしまうかもしれません。しかし、心の余裕が無くなると、面接でも本来の自分の力を出し切ることができなくなってしまいます。

そんな時こそ、先輩方の言う通り、肩の力を抜くことが大切なのかもしれません。 これから就活を控えている学生は「気負い過ぎずに肩の力を抜く」ことを意識しておくと、納得できる就活を送れるかもしれませんよ。

(取材/執筆:鎌田 淳生 編集:加勢 犬)

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