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35歳といえば、ある程度のキャリアを積んでいる年齢。そこそこの待遇で、そこそこの裁量があり、「会社は居心地がいい」と感じている人もいるかもしれません。一方で、「このままでいいのだろうか」と、現状に疑問を持ち、転職や起業など新たな挑戦を試みる人も多いことでしょう。

しかし、嫁に反対され新たな挑戦を断念してしまう人も世の中にはいるようです。こうした「嫁ブロック」を突破し、人生を切り開くにはどうすればいいのでしょうか。今回は35歳で起業したエッセンス株式会社の代表取締役米田瑛紀氏にその問いをぶつけてみました。

米田瑛紀(よねだ えいき)
1996年、大学卒業後に地元広島で人材ビジネスの会社に就職。売上を5倍にするなど企業の拡大に貢献し、取締役ゼネラルマネージャーに着任。2000年、営業アウトソーシング専門の会社に創業メンバーとしてジョイン。9年間で20億円の売上を上げる会社に育てる。2009年、強みである「人と人を結びつけること」で企業の経営課題を解決するビジネスモデルでエッセンス株式会社を設立。ビジネスのプロと成長企業とのマッチングを通じて、企業の経営課題解決や求職者の幸せな転職に貢献。プロフェッショナルのマッチング事業「プロパートナーズ」、他社留学研修サービス「ナナサン」など、独自サービスを展開中。

信頼関係があれば「嫁ブロック」は防げる

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----本日はよろしくお願いいたします。今回は「35歳を過ぎてから嫁ブロックを突破する方法」というテーマでお話しを伺いたいと思います。さっそくですが、米田さんご自身も35歳で起業されたんですよね。そのときの奥さんの反応っていかがでしたか?

米田:うちは「嫁ブロック」はなかったですね。もともと妻は経営者の娘だったので、違和感はなかったんだと思います。結婚する前から「いつか起業する」と彼女に伝えていましたし。起業を決めたときは、「やっと決めたのね。思いっきりやりなさい」という感じでした。ただ、起業した翌年に妻が妊娠したので、相当苦労はかけたと思います。一番お金がなかった時期だったので。

----起業するときに奥さんのご両親から反対はされませんでしたか?

米田:妻の両親も僕の両親も、ブロックしませんでしたね。「もし会社がうまくいかなくても、実家と田んぼがある。あなただったら、どんなことがあっても家族を食べさせていけるでしょ」みたいな感じでした。

----米田さんはこれまで転職支援などの人材サービスで5000名以上の人と会ってきたと聞いています。その中で、「嫁ブロック」にあって挑戦を断念した方もいたと思うのですが、そんな方々にどんなアドバイスをしてきましたか?

米田:「最低限稼がないといけない年収を奥さんと握った方がいい」と、伝えてきました。生活に必要な最低限の年収は稼げることを奥さんに伝えた上で、「こんな想いで、こんなことがしたいから、理解してほしい」と話すようにアドバイスしています。たとえ挑戦によって年収が下がったとしても、「ちゃんと成果を出して這い上がるから信じてくれ」と奥さんに言い切れる。そんな関係性を奥さんとつくることが大切だと思います。「そこまで言うなら頑張って」と奥さんに言わせるかどうかも、転職活動や起業準備の一環なんです。

------プレゼン力やコミュニケーション力が求められますね。

米田:そうですね。逆に奥さんを納得させるプレゼン力がなければ、企業もその人を採用したいと思わないし、起業しても協力者を募ることができないと思うんです。だから、「嫁ブロック」されているような人に会うと、「営業やマネジメントは厳しいだろうな」と思ってしまいます。ただ、本当に奥さんが強くって、そんな奥さんが大好きで、逆らえないっていうケースもありますけど。その場合は、「奥さんの望むフィールドの中で、あなたが挑戦したいことを探して」としか言えないですね。

----それがその人にとっての幸せなら仕方ないですよね。

米田:そうですね。人の幸せの尺度には踏み込めないので。でも、魂をかけて転職なり起業なりをするなら、「あなたがやりたいことを応援するから」って奥さんに言ってもらえる関係が健全だと思うんです。でも、奥さんとの間に圧倒的な主従関係があって、大手からベンチャーに転職するのをブロックされている人もたまに見かけます。

「嫁ブロック」で意志が揺らぐくらいなら、挑戦しない方がいい

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----「嫁ブロック」で挑戦を諦めるって、なんだか悲しいですね。

米田:そもそも、「嫁ブロック」されたことを理由に転職や起業を諦める人は、大体上手くいかないので挑戦しない方がいいと思います。むしろ「嫁ブロック」された方がいい。仮に起業したとしても、創業3年後の生存率は50%と言われています。嫁を説得するプレゼン力やコミュニケーション力がない人が挑戦しても、上手くいかないでしょう。

----奥さんと主従関係にある人は例外として、「嫁ブロック」にあう人に共通して言えることってあるんでしょうか?

米田:先ほども言ったように、「嫁ブロック」されている人の多くは奥さんと信頼関係を築けていない傾向にあります。説得力と自信がないから奥さんは安心できない。起業や転職の成功を確信していると思われていないんだと思います。ワクワクする理由や奥さんの不安を解消する根拠を示す力が弱いんです。

----米田さんは起業するときに自信はありましたか?

米田:自信はありましたけど、不安もありました。起業してから毎月お金が100万、200万って減っていくのはさすがに恐怖でしたね。事業計画上では8ヶ月目からトントンで、9ヶ月目から黒字になるはずだったのに、予定通りにいかなかったので。3ヶ月間、役員報酬がなかったときは、さすがに「自己破産するかも」って思いました。

でも、そのとき妻が言ってくれたんです。「もし上手くいかなかったら、夜の仕事をしてでも私が家族を食べさせていくから。あなたは好きなことを頑張って」、と。その言葉が今でも忘れられません。おかげで奮起しましたよ。「ここで逃げたら終わりだ」って。今でも妻には頭が上がりません。

一貫性を持っている人なら「嫁ブロック」を突破できる

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----これまでたくさんの人と企業をマッチングしてきた中で、「嫁ブロック」を突破している人たちを見てきたと思います。そのような人に共通していることってなんでしょうか?

米田:転職の話でいうと、ちゃんと一貫性を持っている人は成功していると思います。ブレることなく、深いレベルで歩んでいるかどうかが重要です。何度か転職していたとしても、ちゃんとした軸がある人は概ね上手くいっているケースが多いですね。逆に迷いながら「とりあえず早く就職したい」とか、「今が嫌でしょうがない」とか、「年収が上がるから」とか、「人に誘われたから」という理由で転職している人は上手くいかない。逃げで転職すると、逃げグセがつきますしね。

----今、学生起業したり、20代で起業したりする人が増えている中で、35歳で起業するってどうなんでしょう?30代になるとローンとか、子どもとか、20代に比べて背負うものが多くなって、リスクも増えると思うんです。米田さんは実際に35歳で起業していますが、この点に関してどうお考えですか?

米田:一長一短だと思います。35歳って、普通に働いていれば十数年のキャリアがあるので、融資を受けやすかったりします。人脈も情報もあった上で起業できるというプラスの面がある。一方で、下手に世の中のことを知ってしまっているから、昔の組織を踏襲してしまったり、経験がネガティブに作用してしまったりすることもあります。

----たしかに、経験が邪魔をすることはありますよね。私にも思い当たる節があります。最後になりますが、新たに挑戦をしたいと考えている35歳の方に、ご自身の経験を踏まえた上でのアドバイスをお願いします。

米田:「決めたら覚悟を持ってやりきろう」と言いたいですね。最初から正解がわかった変革行動なんて存在しません。自分が決めたのであれば、どんなルートを通ってでも正解にたどり着くことが大切。それが覚悟を持った挑戦だと思います。思ったら動く。恐れがあるなら、嫁にブロックされて諦めるなら、揺らぐのなら、起業や転職はやめた方がいいでしょう。ただ、これからの時代、会社は守ってくれないので、組織にしがみつくのもどうかと思いますけどね。

----とても勉強になりました。今日は貴重なお話、ありがとうございました!

(取材・執筆:田尻亨太)

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