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接待、会社の飲み、合コン、サークルの飲み会、飲んだあとのラーメン、やめられないタバコ、忙しさを理由にしなくなった運動...。こうした不摂生な20代を過ごしてきた30代の方は多いのではないでしょうか。たしかに20代の頃はよかったかもしれません。しかし、30代に突入してもこうした不摂生を続けていると、50代、60代になってから一気にツケが回ってくる恐れも。軽い糖尿病程度ならまだしも、高血圧、高血糖、脂質異常症を軽くみていると心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などを引き起こし、最悪死に至るリスクもあります。

そうならないためには、30代のうちから健康を意識した生活習慣を心がけることが大切。そこで今回は、管理栄養士の森由香子さんに、30代から意識すべき食習慣について伺いました。

森 由香子(もり ゆかこ)
管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士
東京農業大学農学部栄養学科卒業 大学院(人間生活科学専攻、健康-栄養科学専修)在学中。クリニックにて栄養指導、食事記録の栄養分析、食事管理業務に従事。フランス料理の三國清三シェフとともに病院食や院内レストランのメニュー開発、料理本制作の経験をもつ。管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士の立場からバランスのとれた食事やアンチエイジングの重要性を提唱している。

習慣1:忙しくても「1日3食」は食べる

2.png ----本日はよろしくお願いいたします。僕自身、20代に不摂生をしてきたタイプで、30代に突入してから健康診断でちょくちょく引っかかるようになったんです。それでちょっと危機感を感じていて。今回は、僕みたいな30代が食生活で気をつけるべきポイントを教えていただければと思います。

森由香子さん(以下、森):健康診断で引っかかったんですか。大丈夫ですか(笑)。私が管理栄養士として、いつもみなさんにアドバイスしていることは、「1日3食とりましょう」。ということです。

----そうなんですね。専門家によっては1日2食でいいという人もいると思うのですが、なぜ森さんは1日3食をオススメしているんですか?

:1日3食とらないと必要な栄養素を補えないんです。「じゃあ、サプリでもいいじゃん」って思うかもしれませんが、サプリだけでは栄養バランスが偏ってしまうので、やっぱり食品でバランスよく栄養をとるのが理想ですよね。

----僕も忙しいとついドラッグストアで売っているケールの粉みたいなのを飲んで野菜をとった気になってしまうんですけど、やっぱり食品で栄養をとったほうがいいんですね。

:補助的にサプリを使うのはいいんですけど、それが主役になってしまうとよくないですね。市販の野菜ジュースも結局、生野菜に比べると加熱殺菌しているので熱に弱いビタミン類が少なかったりすることがあります。野菜ジュースに頼ってばかりいると、カラダに必要な栄養素が不足、糖質過剰摂取を招く恐れもありますので、やっぱり食品できちっと栄養をとってほしいと思います。

習慣2:自分にあった摂取カロリーをとる

3.png ----僕は最近カロリーを気にしていて、1食500キロカロリー以内に抑えようかと思っているんですけど、それもあまりよくないんですか?

:勝手に自分で摂取カロリーを決めるのはよくないですね。1日に必要な摂取カロリーを導きだす公式がちゃんとあるので、まずは自分に必要なエネルギーを計算して把握することが大切です。

<1日に必要なエネルギーの摂取量を求める公式>
標準体重(kg)※1×身体活動量(kcal/kg)※2=1日のエネルギー摂取量(kcal)

※1:標準体重
身長(m)×身長(m)×22=標準体重

※2:身体活動量の目安
・デスクワークが多い仕事→25〜30kcal/kg
・立ち仕事が多い仕事=30〜35kcal/kg
・力仕事が多い仕事=35kcal/kg以上

----この式は覚えておくと便利ですね。

:あと、体格指数を示すBMI(Body Mass Index)も気にしたほうがいいです。BMIは22が理想的。決して20未満にする必要はないと思っていますが、22を超えている人はできるだけ22に近づける努力をしたほうがいいと思います。BMIは次の公式で求めることができるので、こちらもぜひ覚えてくださいね。

<体格指数BMIを求める公式>
体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))=BMI

習慣3:主食・主菜・副菜を組み合わせた食事をとる

4.png ----他に、気をつけるべきポイントはありますか?

:主食・主菜・副菜を組み合わせたバランスのよい食事をとることです。主食は、ご飯・パン・麺類など、炭水化物の供給源。主菜は、肉や魚介類・卵・豆腐などのたんぱく源。副菜は、野菜・海藻・きのこなど、ビタミン・ミネラル源になります。

とくに野菜は大切なので、必ず毎食とる習慣をつけてください。野菜は1日350g以上とるといいと言われているので、1食120gはとらないと足りません。120gの野菜の目安は、生野菜なら両手いっぱいになる程度。加熱した野菜なら片手にのる程度の量が目安です。

生活習慣病で栄養指導にこられる方には、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事と1日350g以上、毎食120g以上の野菜をとるようにアドバイスします。でも、30代でまだ健康な人がこうした食生活になっていないとしたら、中高年になってから生活習慣病を発症する可能性が否定できませんので、シフトしたっていいわけです。若いうちから食生活を意識していれば、生活習慣病になりにくいし、老けにくい体になるので。とにかく、健康と若さを保つには、栄養バランスのとれた食事が一番だと思います。

習慣4:コンビニでは幕内弁当にサラダをつける

5.png ----とは言っても毎食野菜を食べたり、主菜・副菜をとったりするのって難しい気がしているのですが...。忙しい人はどうしたらいいのでしょうか?

:毎食自炊できなくても、コンビニやスーパーでバランスのいい食材は買えますよ。幕内弁当にサラダをつけたり、ヨーグルトをつけたりするだけでも違いますし、平日に買い出しに行く時間がなければ、週末にスーパーで買いだめしてもいいわけですから。

冷凍の野菜を買って、冷凍庫に保存しておいて、スープにしてもいいですし、きゅうり・トマト・レタスなら、洗うだけで簡単に食べられます。とにかく、「これさえ食べれば大丈夫」という唯一無二の食品はないので、偏りなくいろんなものを食べることが大切だと思います。

----僕、ひたすらトマトやニンニクばかり食べていました...。

:そういった健康法をオススメする人もいますけど、それだと栄養が偏ってしまいます。忙しいとなかなかバランスのとれた食事がとれないと思いますが、知識として知っているのと知らないのとでは、全然違いますからね。

あとは、やる気の問題。栄養バランスのとれた食事を続けることは、英会話の勉強と一緒だと思うんです。毎日コツコツ続けないと、英語力もなかなか身につかない。「この教材なら話せるようになるかな」って思って始めても、結局続けられなくて次の新しい教材を購入し、「今度こそ!」となる。それと同じで、知識として知っていても実際に続けて実践していかなければ、健康習慣が身につきません。地道な努力が必要なので、できないといってあきらめて安易なダイエット法(単品ダイエットなど)に飛びつかずに、ぜひ強い意思を持ってバランスのとれた食習慣を続けてほしいと思います。

30代は積極的に副菜を食べよう!

6.png ----最後にこれから健康な食習慣を意識したい30代にアドバイスをお願いします。

:厚生労働省が発表した「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べることが、「ほとんど毎日」の男性(30-39歳)は37.9%、女性(30-39歳)で42.8%であることがわかります。

全世代の平均は男性47.6%、女性52.7%なので、30代はバランスのいい食事がとれていない傾向にあるんです。「主食・主菜・副菜のうち、食べられていないものは?」というアンケートでも、30代の男性87.5%が「副菜」と回答していて、全世代の中でも最も副菜がとれていないことがわかります。

また、外食を利用している頻度も、男女ともに30代は20代に次いで高く、持ち帰り弁当・惣菜を利用する頻度は、30代の男性が全世代の中で最も高いという調査結果が出ています。

だからこそ、「30代こそ、副菜をとろう」と言いたいですね。とはいえ、個人の努力では限界があると思うので、もっと簡単にバランスのとれた食事がとれるお店が増えるといいですね。公的機関が格安料金で栄養バランスのとれた定食が食べられるような施設を用意するとか。政府が推進している「健康日本21」など、健康を促進するとりくみもありますけど、栄養・食生活の面で、もっと加速していいと思っています。

あと、私がよく思うのは「"バランスのとれた食事をしている人ってかっこいい"という風潮が広まってほしい」、ということです。ジャンクなものを食べている人ってダサい。バランスよくいろんなものを食べる人がイケてる。そんな考えの人が増えれば、QOLの高い高齢者が増えていくんじゃないかと思います。

----今日は貴重なお話をいただきありがとうございます!僕も今日からバランスのいい食生活を続けていきたいと思います。

(取材・執筆:田尻 亨太)

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