201711brain_main.png
精一杯働いているつもりでも、ただがむしゃらに降りかかってきた仕事をこなしているだけでは生産性は上がりません。むしろ、気づかぬうちに非効率的な仕事の進め方に陥っているケースも多々あります。

では、仕事の生産性を高め、創造的な仕事に集中する時間を捻出するにはどうすればいいのでしょうか。その問いに迫るために、行動科学に基づいて研究する、マッキンゼーのシニアアドバイザー、キャロライン・ウェッブ氏の著書最高の自分を引き出す 脳が喜ぶ仕事術から、生産性を高める仕事の方法についてご紹介します。

脳を喜ばせる3つの仕事術

201711brain2.png

ぎっしり詰まったスケジュール、次々と降りかかってくるタスク...。マルチタスクを整理し、生産性を高めるためには、「脳が喜ぶ仕組み」を知ることが重要です。キャロライン・ウェッブ氏の著書『最高の自分を引き出す 脳が喜ぶ仕事術』の中では、職場で生産性を高めるために知っておくべき情報を多く掲載しています。

今回は、そのごく一部である、「①フィルターを選ぶ」「②シングルタスクを続ける」「③休憩時間を設定する」を紹介します。

①自分を取り巻く状況を良くするために「フィルターを選ぶ」

201711brain3.png

「苦手な人がいて会議が憂鬱だ」といったケースは職場ではよくあること。しかし、苦手な人に意識が向いてしまうと会議をつまらないものと感じてしまい、意義のない時間を過ごしてしまいます。

そこで、まず知っておきたいのは、脳は自分が注意すると決めたもの以外に注意を向けることはないということ。その内容を示す「ゴリラの肺のエピソード」を引用します。

【ゴリラの肺のエピソード】
ハーバード大学ビジュアル・アテンション・ラボの心理学者であるトラフトン・ドリューらは、経験豊かな放射線科医に肺の画像を見せ、異常な点を探させた。画像は本物で、結節があるものも含まれていたが、最後の1枚はゴリラの肺の写真だった。ところが、医師の83%がゴリラの肺であることに気づかなかった。画像に写っている肺の結節は通常の48倍であったのにも関わらずだ。
...(中略)...
無視したとか、忘れたとかいうわけではない。単に脳が意識的にゴリラを認めなかったのだ。言い換えるなら、ゴリラの肺を探そうとしていなかったために見なかったのである。
(引用:前掲書P.28)

このように、脳は自分があると思わないことは気づきません。「人間以外の肺の画像はないだろう」という先入観があるからです。しかし、これらの画像には動物の肺も存在すると意識できれば、少なくとも人間の肺ではないことは簡単に見破ることができるのです。

つまり、その日の優先順位や心配事、思い込みを常に確認できるようにすることで、気づくべきポイントを設定し、自分を取り巻く環境を少しでも良い方向に変えることができます。たとえば、「この会議で同僚の助言を得る」「部下と協力して仕事を進める」など狙いを定めることで、苦手な人にだけ意識を向けるのではなく、自分が達成すべきことを明確化し、会議全体を俯瞰して見ることができるのです。たったそれだけで、会議は有意義なものになるでしょう。

このように、先入観を外し、優先順位を明確にする作業を「フィルターを選ぶ」と表現します。

【フィルターを選ぶ】優先順位を明確にして自分を取り巻く状況を良くする方法
朝か寝る前、もしくは会議が始まる前など、タイミングを決めて以下の4つの項目を考えてみましょう。

●Aim(狙い)
成功のために最も大切なものは何か。そのために何が優先されるか?

(例)わたしにとって一番大事なのは、チームが新しいクライアントと良いスタートを切れるよう協調的な雰囲気を作り、全員が一緒に働くのを楽しみに思えるようにすること。

●Attitude(姿勢)
あなたの考えや気分を支配している心配事は何か。そうした心配事は、あなたの優先事項にとって助けになるだろうか。ならないのであれば、しばらく忘れることはできるだろうか?

(例)いまは気分も悪いし疲れている。それはどうしようもない。だが、苛立ちはとりあえず抑えて、チームを成功させることに集中しよう。

●Assumption(思い込み)
その思い込みは、どのようなネガティブな側面があるか。そうしたネガティブな側面にどう対応するか。どんな反証をみつけるだろうか?

(例)ビデオ会議だから、ろくでもないものになる。
<反証>実際にうまくいっていることに気づくようにする。機械に問題が起こっても、会議を軌道に戻す方法を見つけられるだろう。

●Attention(注意)
狙いと思い込みがわかった結果、自分の意識を一番に向けたいところはどこか。何に気づきたいと思っているか?

(例)みんなのアイデアの共通点を強調し、チームがうまくいく瞬間を見つけたい。会議に温かさを加えられるような瞬間を探し出そう。
(引用:前掲書P.32、P.38、P.41)

フィルターを選ぶことで、先入観や偏りなく、物事をポジティブに捉えられるようになります。また、もし物事が悪い方向に進んでしまっても、一度立ち返って本当にやるべきことについて確認することができるのです。

②効率を高めるために「シングルタスクを続ける」

201711brain4.png

次に紹介するのは、「シングルタスクを続ける」方法です。

電話をしながら書類を読んだり、インターネットを閲覧したり、昼食をとりながらメールの確認をしたりしている人も多いのではないでしょうか。こうしたマルチタスクが生産性を低下させることは、以下のように研究で明らかになっています。

「同時に2つ以上のことをしようとすると、仕事が遅くなるだけでなく間違いも増え、結局やり直しとなって、さらに時間がかかる。以前より忙しい気がするのに、でき上がる仕事は減り、質も落ちる。」(引用:前掲書P.74)

仕事の効率を高めるには、仕事を分類して、スケジュールを考え、どの時間帯にどの分類の作業を行うか決める必要があります。同じ作業をまとめてやることで、作業に費やす時間が減り、質が向上するのです。そこで、「シングルタスクを続ける」方法についてご紹介します。

【シングルタスクを続ける】脳が最高の状態で働く計画の立て方
どの時間帯がどの作業に最も適しているかは人によって違います。「夜型にしろ朝方にしろ、自分が最も調子がいい時間帯を知り、その時間帯に最も難しい作業をしよう。」(引用:前掲書P.80)

そのことを念頭に、以下の5つの手順で仕事を進めてみましょう。

1、仕事を分類する
今日はどんな作業をしなければならないか。その作業はどのように分類できるか。分類には次のようなものがあるだろう。
考える、あるいは創造的な仕事
メールやメッセージへの返答
資料を読んだり、調べたりする
会議(テレビ会議や対面)
個人的なプロジェクト
管理業務

2、作業をまとめる
似たような作業をまとめて(メール、電話、資料を読むなど)、脳のモードを常に切り替えなくていいようにする。

3、1日を時間帯で分ける
それぞれの作業に最も適した時間帯を決める。メールを処理する時間帯も1つか2つ作る。最も重要な仕事には、少し長めの集中できる時間帯を設定する。

4、集中を妨げるものを排除する
集中を妨げるものをなくせば、目の前の作業に集中できる。どの通知をオフにできるだろうか。特定のウェブサイトへの接続を遮断するアプリを使えるだろうか。

5、小さな報酬を準備しよう
シングルタスクに集中し続けたことに対する報酬を用意しよう。タイマーをセットしたり、記録をつけたりするのはどうだろうか。

(引用:前掲書P79、P.84)

シングルタスクで仕事を進めるとき、どの仕事にどれくらいの時間がかかるのか、自分で設定する必要があります。それにより、時間は有限であると認識し、短期的に集中できるようになるのです。

また、どうしても緊急で上司に呼ばれることもあるでしょう。その対処法は、自分がどのように1日の予定を立てているのか、なぜそういうやり方をしているのかを上司と話し合うこと。緊急時はどうするかお互いにルールを決めておくことで、双方のストレスを低減させることにつながります。

③脳の動きを最大化するために「休憩時間を設定する」

201711brain5.png

私たちの中で、多くの人が時計を見て「ああ、もうこんな時間だ、でも仕事は山積みだ」とげんなりした経験があるでしょう。そんなとき、もう一踏ん張りと仕事をするのではなく、疲れたときは、休憩することが一番です。

ここでは、休憩時間の取り入れ方について紹介します。

【休憩時間を設定する】目的意識と集中力を取り戻せる時間の立て方
きちんと休憩を取ることで、集中力を保ちながら時間をかけたい仕事に取り組むことができます。1日のスケジュールを立てるとき、必ず以下の項目を意識して盛り込みましょう。

●時間帯のあいだに短い休憩を入れる
たとえば、1時間ほどメールに対応したあと、会議に出席したり、創造的な作業に取り組んだりする前に、立ち上がって頭をすっきりさせる時間を数分間確保する。

●頭や身体をリフレッシュすることなく90分以上働き続けない
できれば、歩いたり、場所を変えたりして仕事をする。

(引用・参照:前掲書P.92)

意欲があっても、長時間働き続けて脳が疲れを感じることで、注意力は散漫し、思考力も落ちていきます。脳のパフォーマンスを維持することも仕事のうちと考えて、意識的に休憩を取りましょう。

脳を正しく理解し、活用することで、最高のパフォーマンスが発揮できる

朝起きたとき、「あの仕事は気が進まないな...」と思うこともあるでしょう。そんなとき、嫌だなという感情をそのままにしておくか、脳にフィルターをかけるかで、その日の生産性は大きく変わります。また、スケジュールを立てるときは、仕事内容によって時間帯を分け、あらかじめ休憩時間を確保しましょう。以上3つの方法を実行すれば、自ずと仕事の生産性は高まるでしょう。

『最高の自分を引き出す 脳が喜ぶ仕事術』の中では、人間関係を最大限に活用する方法や、思考力を養う方法、影響力を最大化する方法なども紹介されています。気になった方は手にとってみてはいかがでしょうか。なんとなく過ごす毎日にピリオドを打ち、自分の脳を最大限に活用する生き方を目指しませんか。

201711brain6.png
参考文献『最高の自分を引き出す 脳が喜ぶ仕事術』

photo by

この記事が気に入ったら

仕事もプライベートも、もっと「やり抜く」ためのメディア