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子育てや家庭の悩みが尽きないママたち。最近は、女性の働き方が多様化し、キャリア志向の女性が増えてはいますが、男性側には「仕事さえしていれば家庭のサポートはしなくてもいい」という価値観が依然として根強く残っているような風潮があります。そこで今回は、朝日新聞の子育て世代向けコンテンツ「MOM'S STAND(エムスタ)」の編集長大井田ひろみさんに、ママたちの本音と今の時代に求められる夫の姿勢をお伺いしました。

大井田ひろみ(おおいだひろみ)
早稲田大学を卒業後、2000年に朝日新聞社入社。奈良総局、さいたま総局、名古屋報道センター、東京社会部などを経てデジタル編集部へ。エムスタは2013年の立ち上げから携わり、2016年9月からエムスタ編集長。小学生の男の子の母。

※「MOM'S STAND(エムスタ)」について

子育て世代に開いたニューススタンド。生き方、思い、楽しみ......ママたちの声から「いま」を「子育て」という視点でみつめるメディアです。ニュースや流行っていることなど「いま起きていること」を親目線でみるとどうなのか、を伝えています。ニュースを他人事でなく自分事として届けるために、記者や投稿者たちの思いを出発点にしています。

書き手の個性を前面に出すメディアにしたかった

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----今日はよろしくお願いします。まずエムスタの概要やコンセプトについて教えてください。

大井田:エムスタは子育て世代、主に30〜40代の人たちに届けるために2013年9月にスタートしました。筆者はだいたい30〜40代の記者。子どもがいる人がほとんどです。エムスタではあえて筆者個人を前面に出し、個人の思いを出発点に取材を始めることを大切にしています。だから取材の出発点はモヤモヤしていてもいいと思っています。

実体験に基づくものって、思い入れが強いですよね。やっぱり自分が本当に思って書いたことの方が伝わりやすいので。展開としては朝日新聞デジタルと、あとは紙面で月1回出しています。毎月第一土曜の朝刊ですね。

それとは別にこの3年くらいはリアルイベントも開催しています。そこで実際に読者の方たちと会って、「今こんな悩みがあるんだ」といったリアルな声を聞いて、それを次の企画に活かしています。「実際に読んでくださっているのはどんな方なんだろう」と思っていましたし、読者のことを知っていたほうが作る側も嬉しいんですよ。読者の顔が浮かぶので「あの人のために頑張ろう」って思えるし。新聞では特に、子育てをめぐる問題や大変さに関する取材が多かったですが、少しでも解決につながるような、楽しい場をつくりたいという思いもあります。

----記者の方々は基本的に朝日新聞の社員ですか?

大井田:そうですね。みんな朝日新聞の記者です。デジタル編集部、社会部、文化くらし報道部、スポーツ部など、いろんな部の記者がいます。

----「これだけは外さないようにしよう」という編集方針はあるんですか?

大井田:子育て中の人ってそれぞれの立場でみんなすごく一生懸命なんです。だから、いろんな立場の人がいるという前提で、誰かが傷つくような表現は避けるようにしています。何回も記事を読み直して、「この表現は適切か」という確認は入念にしていますね。

コンテンツ作りから見えてきたママたちの本音

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----ご自身も子育てをしているからこそ、様々なママたちの悩みや課題を解決するコンテンツを作りたいという思いがあるのでしょうか?

大井田:はい。家事や仕事や子どものことが重なって本当に忙しいと何も考えられなくなってしまうんですね。そんなときこそ、タスクや課題を一つ一つを分解すると、やることが見えてストレスも軽減されるんです。この分解したときのタスクや課題を見える化する企画は日頃から意識しています。

----エムスタを運営している中で見えてきた、ママたちの本音ってどんなものがありますか?

大井田:職場での人間関係とか、子どもの夜泣きとか、頼る人がいないとか、本音にも色々あるんですけど。一番は、「本当は何に困っているのかを夫に理解してほしい」ということだと思います。

「帰りが遅いなら、朝に子どもの世話や家事をやってくれたらもう少し余裕ができて、家族みんながもっと楽しく過ごせるのに」、といったことを本当は言いたいのかもしれない。けど、忙しすぎて自分でもそこまで気づけなかったりするので、本当に言いたいことを言えてないママも多いと思います。

「○○の支えがあれば、もっとやりたいことができるのに」、と思うママは多いのではないでしょうか。やっぱり今家庭の状況や働き方も多様化しているのでロールモデルを見つけにくいんですね。うちはうち、私は私、という形で子育てをすれば、余計なストレスも減ると思います。お互いが本音を言えるようなコミュニケーションを心がけているのは素敵ですよね。

----「俺は稼いでるんだから」という価値観の夫もまだまだ多いですよね。

大井田:ママが一番困っていることって、子どもの成長や職場復帰後の期間によって変わっていくので、夫は妻の心境をアップデートして把握することが大切だと思います。「この人に言ってもわかってもらえない」って思われたらピンチですからね。

あと、職場に復帰したばかりのママがいたら、周囲の人たちは積極的に話しかけてあげてほしいと思います。ブランクがある方や時短で働くママって、周りとコミュニケーションとりたいんですけど、飲み会にも行けないから孤独だったりするんですよ。そういうときに周囲から些細なことでも話しかけられるとすごく嬉しいんですよね。

ロールモデルがない時代の子育て論

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----これからの子育てのあり方について、どうお考えですか。

大井田:育児ってついつい大人都合で考えてしまいがちですが、「子どもにとってそれってどうなんだろう」、っていう視点を持つことが大事だと思っています。例えば、今の待機児童問題を見ても、子どもを保育園に詰め込んだら、子どもは思いっきり遊べない。保育士さんも忙しすぎて人が足りない状況で事故が起きてしまったりする。だから、「その状況って子どもにとってどうなんだろう」、という視点を忘れてはいけないと思います。

あと、この間育児も家事も1人で担う「ワンオペ育児」を取材したときに、仕事が終わっても、家族が待つ自宅に足が向かない「フラリーマン」っていう話があって。家に帰りづらい状況もわかったし、フラフラしてもいいとは思うんですけど、「妻と交代でフラフラすればいいのに」、と私は思ったんです。1人で後ろめたくフラフラするんだったら、「今日は堂々と俺はフラフラさせてもらいます。そのかわり明日はあなたどうぞ」、みたいに交代制にした方がいいと思うんですよね。そうしたらみんながハッピーだし。

----おっしゃる通りです。

大井田:もはやサポートとかお手伝いとか、そういう時代ではないと思うんです。一緒に家庭で生活をしていくことが大事で、全部半々じゃなくて納得できるやり方を探すことですね。結局、職場でも家庭でも、「お互いさま」になればいいなと私は思っていて。子どもがいる、いないに関わらず、それぞれみんな大変だし、予定もありますよね。子どもがいて、いつも早く帰らないといけない立場でも、遅くまで仕事ができる日もあるかもしれません。全てのママが常に「配慮」されたいわけではないんですよ。

「今日は私ができます」、「今日はよろしくお願いします」、みたいな形でお互いさまになれば、後ろめたさを感じることはなくなると思います。

----最後に、子育てママ代表として一言お願いします。

ママたちってどうしてもひとくくりにされがちなんですね。だけど、今の時代って家庭の事情も様々なので、ママたちって単純にひとくくりにはできないと思っています。働いているのか、働いていないのか。働いていたとしたら、時短なのかフルタイムなのか。子どもが何人いるのか。周囲に親や親戚、ママ友など、サポートしてくれる人がいるのか、いないのか。ロールモデルが見つけにくいからこそ、各夫婦間でコミュニケーションをとって、お互いが本当に納得できるやり方を探ってほしいと思います。

----貴重なお話をありがとうございました!

(取材・編集:サムライト、執筆:額賀一)

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