仕事力~働くを考えるコラム

就職活動

「シュートなくして、ゴールなし」
川淵 三郎が語る仕事--2

就職活動

失笑を買っても発言を

会議でトレーニングしよう

青年時代は自分の意見をはっきりと言えなかった。そんな私に、思ったことは言いなさいと叱ってくれた人がいて、お陰で社会人になってからは、どんな状況でも一言は発言しようと自分に課すようにしてきました。ただ、判断に迷っている場合もあるし、私だって非難されればやはり少なからず傷つくこともあり、仕事に強くなるには、そこを越えていくことが大事だなと思いますね。

例えば、若い人が会議に出て発言する機会を与えられても、意見がないことはないが、こんなことを言うとどう思われるかと考えてひるんでしまう。人は、なるべく良いことを言おうとすると余計に発言できなくなってしまうからです。でも、誰もがひざをたたくような良い意見を言える人なんて会社の中にもそうはいないものですよ。

だから、あなたが10か20の発言をして、そのうちの一つでもなるほど面白いことを言うなと思ってもらえればそれで十分。一発必中の意見なんてまず出てこないと上司は経験でよく分かっていますから、「あいつ、頑張って発言して可愛いところがあるな」と別の評価をしてくれたりするでしょう。

目を伏せて無口のまま会議を終わらせるのではなく、下手でも、的確でなくても、そして注意を払ってもらえなくても、数を撃っているうちに発言できるようになっていく。おそらく、同じ会議の席で何も発言しないくせに、終わってから発言者を非難する人もいるでしょう。でも放っておきなさい。会議で必ず1回は発言すると意思を持って臨めば、それだけで必ずあなたの成長の糧になりますから。

ただし、100発ぐらい続けてダメな発言しかできなかったとはっきり自覚したなら、それは明らかに勉強不足だということ。移り変わりが速い世の中では、会社が何を目指していくべきか。若くても未熟でも、これからはいろいろな世代の意見がどうしても必要なんです。

上司の、上司たるゆえん

もう一つ加えておきたい。若いあなたもいずれ部下を持つようになるでしょうから、一人ひとりをどう観察しているかが、上司の、あるいはリーダーとしての値打ちだと心に留めておいて欲しい。例えば、いつもおとなしくて臆病に見える人が会議で何か発言したら、「よく言ったな」と一言サポートする。そんな、わずかな努力とか変化を見ているのが上の人間の力量です。

私も、サラリーマンとサッカー部の監督といった二足のわらじを履いていた時、そして後にJリーグを率いることになった時も、一人ひとりを観察する大切さを思い知りました。何となく元気がない、顔色がさえない、あれ、目を合わせないで行っちゃったな。そんな気配があったら「今日どうしたの?」と聞いてみる。また、会議で勇気を出した部下のことはちゃんと褒める。

それができていない上の人に、ついていく必要はあまりない。こういうことを歯にきぬ着せずに言うから、私は今でも「言い過ぎだ」とお叱りを受けてしまうのだけれど(笑)、嫌われようと非難されようと、発言で少しぐらい失笑を買おうとも、自分の意見は声に出しましょう。(談)

かわぶち・さぶろう ●日本サッカー協会最高顧問。1936年大阪府生まれ。61年に早稲田大学卒業後、古河電気工業入社。64年サッカー競技で東京オリンピックに出場。その後サッカー日本代表監督などを経て91年Jリーグ初代チェアマンに就任。2002年に日本サッカー協会会長就任、08年から現職。日本トップリーグ連携機構会長、日本バスケットボール協会エグゼクティブアドバイザーなど肩書多数。著書『独裁力』『「J」の履歴書』ほか。
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