スペシャルインタビュー梅本 龍夫 さん 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科 特任教授

就職活動
就職活動

「自分探し」より「他人探し」を。
いかに自分の「編集方針」を磨くかが鍵

今年20周年を迎えたスターバックス コーヒー ジャパンの立ち上げプロジェクトの総責任者を務めた経営コンサルタントで、現在は立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科で特任教授を務める梅本龍夫先生。新聞5紙を購読するなど、独自のメディアからの情報収集スタイルをお持ちということで、キャリアを考える就活生の皆さんにお勧めしたいメディアとの付き合い方をお伺いしました。

個人がメディアになる時代。自分の編集方針を確立しよう

ある時代まで、メディアの運営や編集はいわゆるマスメディアが独占しており、大多数の人たちは読者や視聴者といった立場で、情報を受け取っているにすぎませんでした。しかし、インターネットの発達により、一人ひとりが世界とダイレクトに繋がることができるようになったいま、私たち一人ひとりがメディアになりえる時代が到来したといえます。

こうした社会では、「自分」というメディアの編集方針、つまりいろいろな情報の真偽を見極めながら収集し、つなげていく力をいかに確立していくべきかを考える必要があります。長年一方的にマスメディアからの情報を受け取ってきた世代と比べ、まさに個人メディアの時代を生きる大学生の皆さんは、この編集能力を正しく身に付けることで、社会を変える可能性すら持っていると信じています。

「キュレーター」といったほうが分かりやすいでしょうか。学芸員という意味がオリジナルですが、無尽蔵に公開されている膨大なコンテンツの中から、確固たる軸や価値観というフレームワークに沿って、価値あるコンテンツを見極め集めていく人のことです。

よき編集者なりキュレーターになるための近道は、よき編集者を見つけることです。そうした役割を担うことができるものの一つが新聞です。もちろんある特定の新聞をまるごと手本にする必要はありません。できれば複数の新聞の1面を読み比べ、自分にとって役に立つと感じる記事を見つけていくことから始めてみましょう。そうした繰り返しの中で、自分の編集方針が確立されていき、それが自分の価値観や判断基準へとつながってゆくでしょう。

「自分探し」という言葉がありますが、自分の中には何も見つけることができないことがほとんどです。そんな時はぜひ「他人探し」をしてみてください。自分にとって本当に大切な人を見つけると、その人との関係性の中で自分自身の価値観や判断基準が出来上がってくるものです。

問題解決能力を養うために、新聞記事を活用しよう

私は2011年の震災以降、新聞5紙を購読しています。各新聞は自らの立ち位置が明確で、主義・主張が違います。同じ出来事に対しても、記事にスタンスの差が反映されるため、なるべくフラットな状態で情報をインプットしたいと考えているからです。

学生の皆さんが複数紙を購読することは難しいと思いますので、主だったできごとがあった時などに、図書館で各紙の1面だけでも読み比べてみることをお勧めします。各新聞社によってどのような立場を取っているかが分かるようになると、新聞を読むことが楽しくなっていくはずです。

皆さんが慣れ親しんでいるインターネットのニュースは即時性に優れているため、事実を知るには良いでしょう。一方で新聞は、事実の報道はもちろん、社会における事件や出来事の構造をしっかりと解説しているため、より社会に対する理解を深めることができます。例えば最近でいえば、欧州で起こっている一連のテロ事件は、同じ沿線上にあるわけで、その起点となっている問題を知らなければ、その事件を理解したことにはなりません。

いま盛んに「問題解決能力」について、その有無が問われています。問題解決能力のベースになっているのは、いかに社会に対して問題意識を持てるかということです。例えば、インターネットで配信される記事を見て、なんとなく内容が表面的だなと感じることがありませんか? その時は皆さんをワンステップ成長させるチャンス。ぜひ、新聞の社説や有識者のインタビューなどを読むことで、課題となっているものは何で、どう解決すべきかを、そこから考える訓練をすると良いでしょう。最初に問題が設定され、それをきちんと実証して結論付けている記事を読み続けることで、論理的思考を鍛えることができます。

そうした自分で考える力を持った人材こそが社会で活躍できる時代です。そのためにもまずは、新聞を上手に読みこなしている人に出会い、自分の編集方針を大学時代に固めていくことで、本当の自分を見つける第一歩を踏み出してみませんか。

梅本龍夫(うめもと・たつお)
1956年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。電電公社(現NTT)入社後、社内留学制度を利用してスタンフォード大学ビジネススクール修了(MBA)。ベイン&カンパニー、シュローダーPTVパートナーズを経て、サザビー(現サザビーリーグ)の取締役経営企画室長に就任。同社の合弁事業、スターバックス コーヒー ジャパンの立ち上げプロジェクトの総責任者を務める。2005年に退任し、同年アイグラム、2011年にリーグ・ミリオンを創業。サザビーリーグ退職後もコンサルタントとして10年間、同社が展開するブランドの企画などに携わってきた。現在、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任教授。
関連記事

PAGE TOP