天声人語

毎日 朝刊一面に掲載。

100年以上連載が続いている看板コラム。テーマは時事ネタから季節の話題まで実にさまざま。

読者アンケートの声
  • ・読みやすくて今のキーワードがわかる。(37歳 主婦 女性)
  • ・知り合いとの話の種になる。(25歳 会社員 男性)
  • ・50年近く前の受験勉強のときから、天声人語は必読でした。それが今も続いている。(69歳 無職 男性)
  • ・ピリッとした一言に期待している。(29歳 パート・アルバイト 女性)
  • ・ニュースを別の角度から見ることが出来る。(47歳 会社員 男性)

天声人語 - 共通1次、涙の記憶

遠藤周作さんが、自分の小説を使った某大学の入試問題を解いてみた。「主人公の心理を選べ」。四つの選択肢から一つを選ぶのだが、遠藤さんには四つとも正解に思えた。人間心理はそれほど単純なものではないはずだ、とかつて月刊誌で嘆いた▼当欄を含む小紙の記事や論評は毎年のように入試に出題される。光栄ではあるけれど、一抹の戸惑いも否定しがたい。自分たちの記事が試験会場の受験生を悩ませる様子を思い浮かべると、心苦しくもある▼わが身をふりかえれば、三十数年前、入試の国語に苦しんだ。「筆者の意見はどれか」式の設問で深読みの迷路にはまりこんだ。センター試験の前身である共通1次試験の時代だ▼先日、図書館でその年の問題を見つけた。怖いもの見たさで挑んでみる。有島武郎(たけお)の小説、高見順の随筆、古文に漢文――。既視感を覚えながらも設問の森に迷い込む。量の多さにも驚く。採点すると、高校時代と重なる間違いを繰り返していた▼共通1次を衣替えしたセンター試験はいま、まさに見直しのさなかにある。新たに記述式を採り入れるという。機械的なマークシートだけよりは望ましいと思うものの、公平な採点をだれがどう担うのか課題はなお尽きない▼〈冬空の青の薄さは頼りないわたしの気持ちセンター試験〉荒木陽一郎。冬将軍のいすわるなか、あすセンター試験が始まる。良問、難問、奇問のハードルに不安を覚える瞬間がきっとあるだろう。自分を信じて走りきってほしい。

楽しみにしている記事がある。 いくつになっても、尽きない楽しみを、紙面でもデジタルでも

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