なんで受験勉強  新聞がいいの?

2021年1月から「大学入学共通テスト」が実施されます。新しい入試が重視しているのが「思考力」「判断力」「表現力」。どうやって対策をすればいいか心配という方にまずおすすめなのは、受験勉強新聞です。学校や予備校での勉強に加えて新聞を読むことで、実践で役立つ力を身につけましょう。

  1. Point 01
    読み解く力が身につく
    新しい入試では、複数の資料を読み解き、必要な情報を探し出す力が求められるようになると言われています。日頃から新聞を読むことで、長文を速く正確に読む力が身につき、グラフや表の読み解きにも慣れることができます。
  2. Point 02
    情報感度が高まる
    難関校の小論文では、新しい話題を取り上げて出題するケースが多い ので、社会に関する情報感度の高さを求められます。幅広いジャンルの最新情報を網羅している新聞を読むことで、自然と小論文対策に!
  3. Point 03
    自分の意見を持てるようになる
    新聞にはコラムや社説、読者投稿欄などがあります。日常的に様々な人の意見に触れることが「自分ならばどうだろう?」と考えるきっかけとなり、問題意識を深めて自分の意見が持てるようになることでしょう。

新聞するなら、朝日新聞!

新聞記事が入試問題として出題されているのをご存知ですか?中でも朝日新聞は2020年度も大学入試出題数No.1!小論文を中心に、多くの記事が問題に採用されています。

全国紙5社の出題実績でNo.1!

他紙と比べても圧倒的な出題数!大学別や記事別でも、朝日新聞が40%以上を占めてNo.1なんです。※大学通信調べ 2020年6月15日現在

小論文を中心に様々な科目で出題!

2020年度は朝日新聞から252大学501問題541記事が採用されました。小論文をメインに、国語や英語、政治・経済、世界史などの科目や面接で出題されています。※朝日新聞社調べ 2020年7月15日現在

出題例(2019年度入試から)

大学
東京学芸大学
学部学科
E類教育支援専攻
ソーシャルワークコース
(一般入試・前期)
課題
小論文

設問
社会福祉における「異文化理解」について、あなたはどのように考えるか、1000字以内
(句読点含む)で述べよ。

承諾番号:19-4462

天声人語とオピニオンははずせない!

名物コラム「天声人語」がNo.1!
オピニオン面からもよく出題されています。※朝日新聞社調べ 2020年7月15日現在

朝日新聞 掲載紙面別比率

実際に出題された天声人語の一例

承諾番号:20-3594

Inetrvew受験と人生に役立つ 新聞

現代文の予備校講師の枠を超えて博識なタレントとしても活躍中の林修先生。教育メディア・朝日新聞EduA(エデュア)編集長の市川裕一が、今後ますます必要になる力や「+新聞」がなぜ効果的かをお聞きました。

新しい大学入試、求められる力とは

大学入試改革の目玉である「大学入学共通テスト」ですが、林先生のご専門である国語について言うと、どう変わる、あるいは変わらないとみていますか?

今回の共通テストや大学入試改革は、その先の2022年度から高校に導入される新しい学習指導要領への移行を意識したものですよね。高校の授業で現代文の選択科目が「論理国語」と「文学国語」に分かれるのですが、共通テストにおける「論理的文章」はいわゆる評論だけではなく、法律の条文のような「実用文」が出る可能性も高いようです。2回行われた試行問題を見ると、そこで求められているのは、「実用文の処理ができる」ことと「複数の資料を総合的に理解する」ことのように思われます。複数の資料は、例えば実用文+図・グラフなのか、あるいは実用文+従来の評論なのか、それとも他の組み合わせなのか。試行問題は量が多すぎて平均点も低かったので、どう整理して1問20分程度で終わる問題に収めるのか。

速く読む力、読み解く力がないと解けないですね。

試行問題を見た限り、あの量だと確かにスピードが必要ですね。また、単に気づくかどうかという「宝探し」に近いものもあって、アカデミズムにおける本質的な思考力を測る問題としてどうなのかという思いもあります。しかし一方で、社会に出ると、「ここに書いてあるのになんで気づかないんだ!」、といわゆる「仕事の出来ない人」がよく責められていますよね(笑)。社会の実務においては、複数の資料を要領よく処理することが必要で、仕事ができる人はそれがうまいですよね。ですからこれまでに比べて、社会的な実務能力にはつながる問題だとは思っています。

問われる力というのが、アカデミズムで求められる力とはちょっとズレがある、と。

18年の国際的な学習到達度調査で、複数の資料を処理する能力が日本の子どもは低いという結果が出ました。また、生徒会の規約や駐車場の契約書などの実務的な文章を理解する能力が低く、実際に社会生活に影響が出ている層がいるのも否定できない事実です。そういう「一定の能力」を試す試験であることは間違いないようです。

国公立大の2次試験では、記述の比率が高いですよね。その点では、暗記だけでは太刀打ちできない読解力、思考力、記述力も鍛えないといけないことに変わりないでしょうか。

そうだと思います。たとえば、20年度の一橋大で、「~なぜそのように言えるのか、文章全体及びこの後に予想される論理展開を踏まえて説明しなさい」という出題がありました。今までの形式から大きく外れずに論理的な思考力を問うことができる、よく工夫された、参考にしたい問題だと思いました。こんなふうに国立の上位校も大学入試改革の動きを見据えて少しずつ動いてきています。

しかし、そもそもの話として、どういう試験であれば論理的思考力や表現力をきちんと測定できるかについては、明確なエビデンスは、非常に少ないようにも思うんです。どういうインプットが、どういうアウトプットとして出てくるか、人間は基本的にはよくわからないブラックボックスで、解明されている点は案外少ない。こうやればこうした能力が身につくと主張する人にエビデンスを伺うと、単に経験則に過ぎない、さらにはサンプルが極端に少ないことがあまりにも多いんですよ。あくまでも僕の仮説ですが、論理的思考の土台には数学的な力があると考えています。要素の抽象化、情報の配列、そうした数学的な情報処理能力です。文章を読んで頭の中で整理する、その時に数学的な力がないと整理の仕方がよくないように思うんです。ですから僕は、優秀な理系の学生に、優先的に現代文のスタッフをお願いしてきました。それでいままで、非常にうまくいってきたのですが、実はエビデンスはなくて、仮説の実証を続けているんです。(笑)(続く)

読解力を高めるために。授業で伝えていること

読解力をどう測るかは確かに難しいですね。ではその読解力を高めるにはどうしたらいいかという観点からすると、どう考えていらっしゃいますか?

時々、不正解の答案を書いた受験生から「これって筆者はこういうことを言っているんじゃないですか。だから僕はこう答えたんです」と言われることがあります。そんな時に、他の9人の答案を名前は隠して見せながら、「君以外の9人は皆こう書いている。筆者は、10人いて1人しかわからないことを書いたのかな。それとも9人が同じように受け取ることを書いたのかな」と対応することがあります。もちろん、1人しか正解しない問題もありますが、多くの人が、「普通」こう理解するという方向で理解できる確率が上がることを、「読解力」が高まったということが多いのではないでしょうか。ですから、僕が授業で伝えるのは、明確な構造を備えた文章に向き合い、決して自己中心的な理解に陥らず、多くの人が「普通」こう理解するだろうという理解の仕方を示し、その「普通」の基準を明らかにすることです。そうは言っても何をもって「普通」とするかが曖昧なときもあるし、「読解力」とやらは簡単には向上しないんですがね。

確かにそうですが、実用文ならそういうことは起きにくいと思うのですけれど。

逆に言えば、実用文でそれが起きる人は本当に直さないといけない。冷蔵庫に熱いフライパンを入れるようでは困りますよね(笑)。ちょっと解釈の幅が揺れる題材でやってきた教育や試験を、むしろ解釈の余地を残さず一義的に理解できる(理解すべき)素材で教える方に、いま舵(かじ)を切ろうとしている。そして、ひとつではなく複数の素材をバランス良く処理する能力を重視することにもなりそうです。共通テストに対応できるようになれば、近い未来においては志望校に近づくし、遠い未来においては実務能力を高めることにもなるから前向きに取り組んでください、と授業ではアドバイスしています。

人と違う解釈や読み方をするって、ひょっとして天才じゃないかとも思うのですが。

その可能性がゼロだとも言い切れませんが、仮に「天才」だとして、そういう「天才」を圧殺してきたのが、日本の近代教育ですからね。急に救済に転じるんですか?(続く)

入試によく出る新聞記事は、実用文そのもの

我田引水のようですけれど、実用文という点で新聞記事というのはけっこう重要なんじゃないかと。

おっしゃるとおりですね。新聞の記事は、社説以外は、基本的にファクト(事実)とオピニオン(意見)のうちファクトに徹しているものが多く、実用文に満ちていますから。

読解力を高めるために新聞を使えるのではないかと私たちは考えています。様々な記事だけでなく、図と本文と両方合わせて見てもらうという意味でも教材として有効なのではないかと。

それもその通りだと思います。実際、これまでにも入試に多数の新聞記事が出ていて、例年、出題数では朝日新聞が一番多く、日本経済新聞も多い。すでに実用文は入試に出ていたんですよ。

新聞記事というのは基本的に短く簡潔に、わかりやすく書かなくてはいけないですからね。

ひとつのメッセージを伝えるために、簡潔に書かれた文章の代表と言ってよいでしょう。それを読めるかどうかが試験で問われるのは、特におかしな話ではないですよね。先にも述べましたが、きちんと組み立てられた文章を通じて、一人の人間が伝えようとしたことがちゃんと捉えられるかどうか、文章をベースにしたコミュニケーション能力がおそらく「読解力」と言われているんだと思うんです。

予備校も受験生たちに新聞を読むよう勧めている、と聞きました。

「最近の事件で興味を持ったことはありますか」などと時事問題について面接などで聞かれる、というのがひとつ。より根本的には、昔に比べて本を読まなくなったと言われる若者に、頭の中により多くの文字情報を通過させ、処理する機会を増やしてほしいからです。そこからは本人の意欲の問題で、単純に「こんなことがあったんだ」で終えるのか、「他に似たことが起きていないか」「どうしたら解決できるんだろう」などと検索網やいろいろなツールで深く掘り下げるのか。そこは本当に本人しだいで、そういう格差もますます拡大しています。

探究力しだいだということですね。それに関して言えば、朝日新聞は複数の意見を紹介することを大切にしています。「正解」はないけれど「違い」はある、そんな複数の視点を養うという意味でも、新聞を読むことには意味があるのではないかと。

いまの受験生たちは高い同質性の中で生きているように思うんです。だからこそ、自分と違う価値観を持つ人たちがいるということ、特に遠い他者の存在を知ることは大切ですよね。たとえば、近年のセンター試験はかなり古い小説の出題が続いています。20年度は戦中でその前は戦前。僕はこれを意図的だと思っています。つまり、遠い他者に対する想像力を働かせることができるか、言い換えれば、自己中心的な理解に陥っていないか。自分とは違う考えを持った人をいったんは受容することは、最終的に賛成しないとしても多様性の時代には必要なことですから。そんな力が、文章読解を通じて広く身についてくれればさらにいいと思いますね。

聞き手:市川裕一。
朝日新聞の教育メディアEduA(エデュア)の編集長。1989年朝日新聞社入社後、出版部門で長年にわたり書籍編集者、週刊誌記者・デスクを務めるかたわら、東京経済部で新聞記者も。2016年教育総合本部へ移り、20年4月から現職。

User Voiceどうやって   新聞すればいいの?

朝日新聞を受験に活用した親子に、実際にどんな風に読み、どんなところが役立ったか、親御さんがどうサポートしたのかをお聞きしました。とっても貴重なリアルな声、ぜひ参考にしてください。

H・Tさん
Y・Tさん

Y・Tさんは公立高から一橋大学商学部に現役合格して在学中。予備校には通わず、学校の勉強と独学で早稲田大などの併願を含めて合格を手にした。父H・Tさんは公務員。

受験で親ができることって?

予備校には通わなかったとのことですが、ご両親は受験勉強をサポートしたのでしょうか?
H・Tさん

いや、私も妻も勉強するよう言ったためしはないですね。押しつけてもあまりうまくいかないだろうなと。

勉強しろと言わない…なかなかできることではありません(笑)。
H・Tさん

唯一、受験を意識してすすめたのは天声人語ですかね。僕自身も受験の時、高校の担任から天声人語を読むようすすめられていたので。文章のまとめ方がやっぱりうまいですよね。

すすめられて読んでみました?
Y・Tさん

はい。朝ご飯の時に1面を見て天声人語を読み、あとはテレビ欄も見ていました。それから夕食後に、すべての面を15分くらいでバーッと見るようにはしていました。

学校でも新聞を読んだ方がいいと先生に言われてました。私は新聞を好きで読んで文章が感覚として身についていたからか、天声人語や一橋の出題に硬い内容があってもぜんぜん苦にはならなかったです。

文章に慣れるようになったきっかけ

新聞を好きで読んでいたということですが、読み始めたきっかけは?
H・Tさん

娘が小さいころからリビングに新聞を置いておいて、いつでも手に取れるようにしていたりしたぐらいです。「しつもん!ドラえもん」をきっかけに、だんだん自分で新聞を読んでいる姿を見るようになりました。

新聞が学習に役立つという実感があったのでしょうか?
H・Tさん

一番基本的なのは、字を覚える、漢字を書けるようになることかな、と。文字をじっくり読まない時代になって、字も書かなくなりましたよね。スマホで検索して書いた字が同音異義の違う字だなんてことも(笑)。それは結局、字の印象が残っていないんだと思うんです。新聞を毎日眺めて、実際に目で活字に触れる習慣って大事だと思います。そして何かを表現する時には書く力が要りますが、たくさん読んでいないと書けないと思います。

大学入試改革でも表現力や読解力が重要視されていますからね。

新聞が役立つのは、国語や小論文だけじゃない

受験において新聞が役立ったことは何ですか?
Y・Tさん

英語の長文読解や和訳には、結局、決められた字数の中でまとめたり言い換えたりする日本語力がいると個人的には思っていて、まとめ方や語彙(ごい)は新聞で自然に学んでいたのかなと。文章を読むというのは全ての受験教科にあることなので、文章に慣れるということが、私が新聞で一番役に立ったと思っているところです。

文章への慣れが全ての受験教科に役立った、と。
これから受験する後輩たちにおすすめしたいポイントはそこですね。
Y・Tさん

それだけでなくて、英語の長文とか化学とかの問題に、新聞の知識で「これ知ってる、いける」というのがあったのは、読んでいてすぐ役立つことでした。センター試験で政治・経済を受けたんですが、塾では時事対策講座とかあるようですけれど、私は新聞を読んでるからいいかなと。文章に慣れることを含めて、新聞はすべての教科をカバーしていると思うので、読んだほうがいいかなって思います。

問題が、知っている知識かそうでないかの差は大きそうですね。
ところで進路はどうやって決めたんでしょうか?
Y・Tさん

小さい時はパティシエになりたくて、それから警察官、盲導犬訓練士、通訳…興味はコロコロ変わりましたね(笑)。でも高校でNPOをいろいろ調べるうちに、社会的な活動を支えるには商学やビジネスの知識がいるのかなと考え始めました。

そんな関心の幅の広さは、新聞に接していたこともあるかもしれないですね。
Y・Tさん

あるかもしれませんね。大人の世界に触れるきっかけになったと思います。

H・Tさん

新聞って、「広く浅く」という部分も大事だなと思うんです。読んで何かに興味を持ったら、そこからは自分で深く突っ込んでいけばいい。土曜日の読書欄でも、紹介されている本に興味があったら私はそれを買います。そこが自分で深く入っていくことになっていると思います。子どもにもそんな機会になればと思っています。それから先は、子どもの人生ですから。任せていくしかないな、と(笑)。