就活も、今後の人生も。
「ちょい読み」で“解像度”を上げるんです。

アナウンサー/本間智恵さん

PROFILE

テレビ朝日アナウンサー。東京都出身。2008年にテレビ朝日に入社後、「題名のない音楽会」、情報番組「ワイド!スクランブル」、政治討論番組「激論!クロスファイア」(BS朝日)などで、幅広く活躍している。

写真 本間智恵

毎日続けるということは、それだけで自信になる

自分で新聞を購読し始めたきっかけは、就職活動でした。大学3年の春に参加した朝日新聞社主催の就活イベント「朝日就職フェア」で、「最近気になっているニュースは何?」と聞かれて何も答えられなかったんです。当時はテレビも新聞もまったく見ていなくて、遊んでばかりのダメな大学生でした。自分の甘さを思い知った私は、その場で朝日新聞を契約。毎朝、新聞を持って大学に通うようになりました。

新聞を開くのは通学のバスの中で、毎日30分くらいです。怠け癖があるので、読んでいない新聞が積み上がると「このお金で飲み会に行けた!」と考えるようにして、1面だけでも読むようにしていました。

アナウンサー試験のために特に活用したのが「天声人語」。もともと小さい頃に親から読むように言われていたのですが、アナウンサーを目指してからはさらに音読をするようになりました。使われている用語を「なんとなく知っているつもり」にならないよう、口に出して意識することで意味合いをしっかり理解できるようにしたんです。他にも、1面のニュースについて意見をまとめて、30秒でしゃべるという練習をしていました。これは、採用試験で時事問題についての話題を振られた時のため。

とはいえ、新聞を読んだだけでいきなり30秒しゃべるのは無理でした。どうしても書いて覚える必要があったので、スクラップブックを作っていました。記事を切り抜き、ノートに貼り付けて自分の意見を書き、繰り返し読むんです。試験直前に確認もできて、スクラップブックは“心強い味方”になりました。

もちろん、新聞を読んだだけで就活をクリアできたわけではないのですが、「少なくとも、自分から情報を得る努力はしていたんだ」という自信になりました。毎日続けることって、それだけで自信になるんです。記事への感想をまとめたスクラップは、お守りのように思えたりもして、採用試験の会場に持ち込んでいました。

写真 本間智恵

様々な視点からの意見が詰まっている

当時は紙の新聞を読んでいましたが、今はデジタル版を読んでいます。アナウンサーの原稿も縦書きなので、WEB記事よりも紙面ビューアーで読んだほうが落ち着きます。スクラップ機能も便利ですよね。一つのテーマを考える時は、過去記事検索をして全部スクラップしてから読んでいます。ニュースを知るとっかかりはテレビですが、内容を深く掘り下げるには新聞が一番。いつも辞書のように使っています。

仕事柄、政治面は必ずチェックしていて、職場で各紙を読み比べます。新聞のいいところは、一つの物事に対するいろいろな視点に出会えること。紙面を見れば「私はこう思っていたんだけど、こんな考え方もあるのか」という発見があります。政治に関しても、社のスタンスはあれど、新聞は事実をしっかりと分析して伝えてくれています。

番組でアナウンサーが自分の意見を言うことはほとんどないのですが、たまに話を振られ、意見を求められることもあります。テレビ朝日のアナウンサーとして偏った発言にならないように、多くの人の意見を紹介するようにしていますが、どうしても言いたいことがあるときは、自分の意見を言うこともあります。

写真 本間智恵

「その日」がまとまっている1面の「ちょい読み」から

「ちょい読み」するなら、おすすめはやっぱり1面を読むこと。1面にはその日のもっとも大切なニュースがまとまっているからです。疲れた時は「天声人語」。柔らかい話題から始まって、それから政治や時事問題につながっていくという展開が面白いんです。アナウンサーはしゃべるのが上手だと思われているかもしれませんが、実は話の始め方や本題へのつなげ方に苦労しています。そういった話の構成の勉強にもなります。

新聞を読むのが難しい、読み続けるのが難しいという人は、自分の将来のことを思うといいかもしれません。なぜなら、私たちの未来を決める「政治の話題」がしっかり載っているから。政治って自分とはかけ離れたところにあるものに思えるけれど、世の中の様々なこととつながっているんです。

私たちの未来の生活を決めるのに、今の政治は大きな役割を担っています。その政治のことを知らなければ、これから社会がどうなってしまうのか、暮らしがどうなってしまうのか分かりません。将来大変なことになってから嘆くのでは遅いんです。連日の紙面を順々に追っていくと、いろいろな出来事がつながって、世の中を見る“解像度”が上がりますよ。