ハーバード大、
ロイター通信を経て身につけた、
異なる意見を踏まえる思考術

タレント/REINA

    PROFILE

    タレント。アメリカ・ニュージャージー州出身。ハーバード大学院を卒業。CIAやFBI内定者でもあり、インターポールや ロイター通信で働いた経験も持つ。
    5カ国語を操り、中東テロや欧米・北欧政治に精通。 その他には心理学も得意分野とし、鋭い切り口で様々な番組において多くの人を驚かせている。

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    アメリカも日本と同じ。
    「大学生は新聞を読むべきだ」といわれている

    アメリカでも、受験や就職活動のために学生は新聞を読んだ方がいいといわれています。私が新聞を読むようになったのは、ブラウン大学3年生のとき。アメリカ大統領直属の情報機関である米国中央情報局(CIA)のリクルーターに「CIAの諜報員になりたいなら、まず新聞を読みなさい。NYタイムズ、ワシントンポスト、ウォール・ストリートジャーナルを」と言われたことがきっかけです。

    「興味あるニュースや自分と同じような意見ばかりを読むのではなく、幅広いジャンルのニュース、自分と真逆の意見も読み、知識に取り入れれば、違う視点で物事が見えるようになる」というのが彼らの考え方でした。新聞の他に読むべき本のリストもあったのですが、そこに載っているのはCIAに対して批判的な本ばかり。今の私の「逆の意見も取り入れ、それを踏まえて自分で考える」というマインドセットは、そのようなプロセスを経て身についたと思いますね。

    私が大学に入学したのは2006年で、すでにデジタルで情報を仕入れるのは当たり前でしたが、ハーバード大学院に入った2011年、NYタイムズとワシントンポストを自宅に配達してもらうようになってから、紙の新聞が好きになりました。ネットの情報はいつ記事が更新されるか分からないし、とても広告が多くて雑然と感じるのに対し、紙の新聞は、開けばそこに整然とした記事がある。紙の新聞から感じる静的な世界や、時が止まったような感じ、それも好きなところです。

    世界各国の新聞、そして日本の新聞の特徴は?

    それぞれの国の新聞を読み比べるのも楽しいです。旅行が好きでバックパッカーをしていた高校生の頃から、紙の新聞にはそれぞれの国の特徴がよく出ていると感じています。

    私は通信社にいた頃イラクで働いていたのですが、イラクの新聞は、日本の新聞と同様に国際ニュースが比較的少ないという特徴がありました。しかしながら隣国のイランについての報道は多く、また食べ物に関する記事も多いという印象でした。そして特徴的なのはイギリスですね。読者の傾向を鑑みて記事を作るのではなく、新聞が読者を先導する。各新聞社が常に、その新聞社らしいニュースの伝え方、扱うニュースの幅といったものを探っている感じです。

    アメリカから日本に移住してきて感じた、日本の新聞についての第一印象は「読みやすい」というものでした。見出しも黒地に白抜きなどの工夫がされているし、文章もわかりやすく、「これなら毎日読めるな」と思いましたね。それと日本語では、たとえば「明後日」は3文字で済みますが、英語なら「day after tomorrow」といった具合。文字数が全然違うからか、フォントサイズが大きく、記事ボリュームも少なくて気軽に読めます。

    日本の新聞にも各紙それぞれ特徴がありますね。朝日新聞は、私の印象としてはリベラルで、NYタイムズに近い新聞だと思っています。日本の新聞界においてはバランサーとしての役割を担っているのではないかと感じています。

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    「朝日新聞」で日本を学びました

    実は日本に移り住む前から、私にとって、朝日新聞は思い出の詰まった新聞でもありました。5歳くらいからほぼ毎年、夏休みは岐阜に住んでいる母方の祖父母の家に遊びに行っていたんです。早起きの祖父は早朝から朝日新聞を一読し、私が好きそうな記事や、祖父が好きだったのでしょう、政治の記事を赤ペンで囲んで、私に読み聞かせしてくれました。子どもだったので政治の記事はさすがに難しかったんですが、そこで知らない日本語や漢字も教えてもらったんです。その時に感じた紙とインクの匂いの記憶があるので、日本の新聞の匂いは今も大好きですね。

    そうした“日本語や日本の文化を知るきっかけ”だった私にとっての新聞へのスタンスは、大人になってからも変わっていません。日本に来た時は「私はアメリカ人だから、このままの自分でいい」と思っていたんですけど、タレントや会社役員として人前で話すことが多く、視聴者や聴講者の感覚や価値観を身につけないといけないと思うようになりました。そんな時に頼るのは、やっぱり新聞です。特に投稿欄は役立ちます。私にとって、「日本人が何を考えているか」を知るのに役立つと同時に、多様な意見に触れることができる貴重な場でもあります。私のマインドセットである「逆の意見も取り入れ、それを踏まえて自分で考える」を実現する為にも欠かせないですね。

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    「なぜ新聞を読む?」
    その理由を突き詰めれば読み方も変わる

    ひとつの新聞を一読するのがゴールではなく、「新聞から何を得るか」が大切です。私のように、就きたい仕事から逆算して、「世界について知りたい」と思い、そのために新聞を読む。読む理由、“WHY”があると「国際ニュースについて集中的に読もう」といった感じで、読み方もわかってくるでしょう。夢や目標に近づくためのツールとして新聞をちょい読みすればいいと思います。

    実際、私も全部読んでいるわけではありませんし、毎日読んでいるわけでもありません。気になるニュースがあった時に、お店で複数紙買って帰宅し、お風呂上りなど、夜の時間帯にクラシックをかけてビールを飲みながらゆっくりと読んでいるんですよ。2時間くらいかけて読んでいます。私にとってはリラックスタイムであり、日本語勉強のための時間でもあるので、辞書と一緒に(笑)。“WHY”に向け、新聞をどう読むか自分で決めるのが、その人にあったいい読み方だと思います。