この病気の患者が自分や家族だったら。そう考えることで得られるものがあります。

担当記者に聞く、「ちょい読み」/患者を生きる

自然と視野が広がっていく
「ちょい読み」をしてみてください。

記者/佐藤建仁

PROFILE

2004年入社。2011年から東京、大阪本社の科学医療部に在籍し、東日本大震災後には被災地の医療支援について、熊本地震、広島土砂災害などでは、専門家の現地調査に同行して取材した。現在は「患者を生きる」のほか、医療系の取材を主に担当。不規則な食生活がたたって、健診で指摘された「隠れ肥満」にどう立ち向かうか、目下の課題。

「患者を生きる」とは?

病気やけがに直面した患者が、どのように苦難を乗り越えようとしてきたのか、治療への向き合い方や心の動きを伝える連載。どのような治療法があるのかについても伝える。毎週月曜〜金曜朝刊掲載。

写真 佐藤建仁

病気やけがをしてから、人はどう生きるのか

「患者を生きる」は2006年から続く連載で、4000回を超えました。患者さんの視点に立った語り口で、病気やけがをしてからの人生を時系列で通常4回にわたり追いかけることで、その病気やけががどういうもので、どんな治療法があるのかを伝えていきます。

読み物として感情移入して読んでいただけるように工夫しているのが特徴ですが、それだけではありません。医療記事として最新の治療法や情報を正確に伝えることにも主眼を置いています。したがって、患者さんだけでなく、必ず主治医にもお会いし、当時の診療録(カルテ)を見返していただきながらお話を伺い、記事を作っています。科学医療部の医療系チーム約10人がローテーションで担当しています。

写真 佐藤建仁

患者の気持ちに寄り添うことで得られるものがある

様々な病気やけがの方を取り上げていますが、みなさん体の痛みや心の葛藤を抱えながらも、前向きに立ち向かって生きていこうとしている方ばかりです。なので、同じような境遇の読者の方が、この記事からエネルギーを得られていたらうれしいです。

また、登場する患者さんを、自分や家族に置き換えて読んでいただくことで、病気やけがになった時にどのように向かい合えばいいのかのヒントになるのではないかと思っています。

また、あまり知られていない希少な難病や、外見だけでは病気と理解されずに苦しんでいる患者さんもいらっしゃいます。そういう病気やけがの情報を世の中に伝えることで、より理解が進んで共生しやすい社会になればいいと考えています。

写真 佐藤建仁

「隣の記事」を読むことで、視野が広がる

私の読み方も、基本的には「ちょい読み」です(笑)。平日は1面からじっくりと読む時間はないので、スマホなどで朝日新聞デジタルの紙面ビューアーをざっと見て、気になったところを拡大して読んでいくようにしています。そうそう、デジタルなら、「患者を生きる」の一つの連載を途中の回から読み始めても、記事検索や関連リンクですぐに初回の記事を見つけて初めから読むことができますよね。それはデジタルのいいところだと思います。

「患者を生きる」は生活面に掲載されていますが、隣には、社会や生活に密接した課題の記事が載っていることがあります。このように、新聞の紙面は同じページに多様なテーマの記事が載っていることが多く、視野が自然と広がっていくのが良いところだと思います。なのでぜひ、お目当ての記事の隣の記事も見てみてください。

新聞は、日によっては、辛いニュースや事件など、気持ちが沈むような記事が目に入ることもあると思います。「患者を生きる」は、そうした日々の目まぐるしい動きからちょっと視点を引いて、登場する患者さんのお話を通して、自分の生き方を考える機会にもなると思いますので、ぜひ読んでいただけたらうれしいです。