「特派員メモ」とは?
世界を駆けめぐる特派員らが担当するコラム。異国の街を歩き、喜怒哀楽に触れ、心にとめたエピソード。取材のこぼれ話から、記者の素顔がのぞく。国際面に随時掲載。

ニュース記事にはならないけれど、読者に共有したい“心揺さぶられる出来事”がある
「特派員メモ」は、海外支局の特派員や、国際報道部の記者が日頃の取材でのこぼれ話や、心を動かされたことなどをつづるコーナーです。その時々で書きたいことがある記者がどんどん手をあげて執筆しています。
日常の暮らしで面白い発見や、疑問を感じたこと、心を揺さぶられた出来事はたくさんあるのだけれど、それだけでは新聞記事としては成立しにくい、でも書きたい! という時。また、記者が驚きや葛藤を感じながら外国の人たちと接して過ごしている様子を、読者の方と共有したい時。小さなお皿にのせて、そっとみなさんの前に出すような気持ちで書いています。

「スカートじゃダメなの?」取材中に感じたことの打ち明け話
私はベトナムの首都ハノイに拠点を置き、カンボジアとフィリピンの取材も担当していました。
掲載後に周囲から反応があった記事は、2018年5月に掲載された「スカートがNGならば」というタイトルの「特派員メモ」でしょうか。カンボジアのフン・セン首相に取材すべく、首相府で待機をしていた時に起きたハプニングに関するものです。
現地の担当官に「鈴木さんは取材できません」と言われたんです。首相の前ではスカートをはいてはいけないから、というのが理由。まわりの記者は男性ばかり。スカート姿の大使館員もいるのに、と理不尽さを感じながらも、なんとか親切な日本の女性官僚からズボンを借りてはき替え、無事取材ができたというドタバタ劇です。
国内でも海外でも、記者は決して、毎日きれいなスーツを着てスマートに取材をしているわけではなく、いろんなドタバタがあることが分かっていただけるのではないかと思います。後日、複数の方から「爆笑した」という連絡をいただきました。

新しい視点で物事を見るきっかけになる
「特派員メモ」に限らず、掲載されている国際面を読むと、海外ではこんなものの見方があるのか、と気がつくことがあります。私自身、「今までこう考えていたけど、あの考え方もいいかも」とか、「あの人がこの間言っていたあのこと、こういう思いがあったのかな」と、日常に生かせることもあるんです。
「特派員メモ」は見た目にもコンパクトで読んでいただきやすい欄ですから、どんな方にでも、お時間のある時に目をやっていただきたいです。そのうちに、心にとまる記事や、この人の書くものは好きだなあ、と思えるような記者との出会いがあるのではないかと思います。
そして、「特派員メモ」と一緒に読むなら、国際面の「世界発」をおすすめします。各国の記者が、じっくり取材した内容をぶつける、力のこもったコーナーです。行数はありますが、一つのトピックがすっと頭に入るのではないかと思います。気になるテーマだったら、ぜひ読んでみてください。
私は気になる話題が見つかると、その記事をスマホで撮影したり、切り取ってそこだけ持ち帰ったりしますよ。フィリピンの新聞に載っていた3コマ漫画からヒントを得て、取材をしたことも。新聞は思いがけない出会いを呼んでくれます。