安らぎを感じる

「数独」制作者と担当編集者のここだけの話。AIでは生み出せない面白い「数独」とは


朝日新聞社 文化くらし報道部
be編集部 編集長/山本健一


株式会社ニコリ
取締役/荒井奈緒さん

朝日新聞の土曜朝刊に折りこまれている別刷り『be』(以下、『be』)、朝日新聞デジタルなどに掲載されている「数独」。3×3のブロックに区切られた9×9のマスに、1〜9までの数字を、タテ、ヨコ、ブロック内で数字が重複しないように入れるだけ、というシンプルなルールで人気のパズルです。

数独

数独 例題

例題

数独 途中経過

途中経過

数独 答え

答え

出典:株式会社ニコリ

朝日新聞デジタルの「数独」にチャレンジ!→

今回、パズルの制作に協力いただいている日本で唯一のパズル専門出版社、株式会社ニコリの取締役 荒井奈緒さんと『be』編集長の山本健一が、朝日新聞とパズルについて語りました。

ブームの前から『be』に掲載されていた「数独」

写真 山本健一

山本:パズルが新聞や雑誌に掲載されることは、戦前からあったようです。朝日新聞でも、ずっと以前からパズルを掲載していましたが、いつからとなるとたどりきれませんでした。

なかでも人気の高い数独はニコリさんの登録商標で、「SUDOKU」としても、その人気は世界中に広がっていますね。

荒井:そうですね、登録商標は弊社が持っています。ただ、ルール自体は英語圏に昔からあった「ナンバープレイス」というパズルになります。40年ほど前に、弊社の先代社長・故 鍜治真起がアメリカの雑誌に掲載されているのを見つけて、「数字は独身に限る」、略して「数独」と名付けて日本に紹介しました。数独が海外でブームになったのはイギリスの新聞「タイムズ」が掲載を始めた2004年頃でしょうか。2005〜2006年には逆輸入的に日本でも人気が高まりました。

山本:『be』では2002年4月の創刊時から、ずっと数独を載せています。当初は「数字パズル」と呼んでいました。

その後、2013年から朝日新聞デジタルでも週1本、独自の問題の掲載が始まり、2021年6月からは毎日更新されるようにして、読者の皆様に数独を楽しんでいただいています。

解答の応募数は毎週3万通。読者の感想が励みになる

創刊時の『be』紙面

創刊時の『be』紙面

山本:『be』では、読者の皆様から数独を解くことで導かれる「答え」を応募してもらっています。インターネット経由が毎週2万通以上、はがきによる応募が約1万通にもなります。感想やイラストを書いて応募される方も多いです。

朝日新聞社が扱う数独は、その難易度によって1〜5段階の星をつけ、『be』には難易度の高い星5の問題も掲載しています。そのため、星5を掲載すると、「難しすぎる」という声もある一方、「待ってました」「朝食抜きで解く!」といったお声もあります。

荒井:『be』には、土日にじっくり楽しんでもらいたいということで、かなり難しいものも掲載されています。ただ、20年近い歴史がある掲載ですので、熟練した読者の方からは「より難しいものを」というお声もあると聞いています。「数独を解くのが楽しい」といったうれしい感想は、とても励みになりますね。

制作は手作業で。AIには作れない「面白さ」

写真 山本健一 荒井奈緒

山本:数独の制作について教えてください。

荒井:どこに数字を置くか考え「解くように作る」ことを大切にしています。解く人の気持ちになって、こういう手筋ならここの数字が決まるだろうと推理しながら数字を入れていく。数字がうまくはまっていけばいいけれど、はまらない場合はやり直しという手順で作ります。

山本:手作業で作っているのですね。例えば、AIなどで自動化することはできないのでしょうか。

荒井:よく聞かれます(笑)。数字を配置して数独のルールを成り立たせるだけなら、AIでもできるかもしれません。ただ、できあがった数独が「面白い」のかとなると別の話です。私たちは、制作者とは別の者が必ず解いて、面白いかどうかを見極め、ボツにすることもあります。「面白さ」は、パズル制作者として守るべき一線ですね。

山本:どういった問題を面白いと判断するのでしょうか。

荒井:私たちが「ブロッケン(ブロックで見る)」「レッツミー(列で見る)」「マスミ(マスに注目する)」などと呼んでいる「解き筋」が様々ありまして、どの解き筋を使って解くのかが見えすぎても見えなさすぎても面白くないと思います。それぞれの解き筋は、弊社の出版物などで説明しているので、それを見ていただければありがたいです。

山本:私も、解いていると「あっ、ここだ」と腑(ふ)に落ちたり、解き筋が見えたりすることがあり、そんな瞬間が面白いと感じます。荒井さんは、数独の人気はどこにあると思いますか。

荒井:答えが一つしかないこと、ルールがシンプルなことが大きいのではないでしょうか。弊社では様々なパズルを制作していますが、ルールのシンプルさでは数独が際立っています。

山本:私は、『be』の編集長兼パズル担当者になってから毎週解いています。最初は星三つまでしか解けませんでした。初めて星五つが解けた時の感動は忘れられません。

数独をきっかけとして朝日新聞が身近なものに

写真 beパズル

山本:2020年はコロナ禍による緊急事態宣言の影響で、家族の時間をより大切にする人が増えたといわれます。朝日新聞でも、荒井さんにご相談しながら、家族で楽しんでもらえる「家族でbeパズル」を掲載しました。続く2021年は、20年にわたり掲載されたなかから厳選したパズルで「傑作選」と「難問集」を作って、読者プレゼントを実施しました。

おかげさまで好評で、「書籍化して欲しい」というご意見もいただいています。さらに、『be』では紙面モニターにあたる「beモニター」を募集しているのですが、パズルに応募したことがきっかけでbeモニターに応募される方もいらっしゃいます。

荒井:読者と制作者をつなげやすいパズルには、そのような双方向性が生まれやすいと思います。弊社の先代社長は、「パズルを通じて読者とつながっているニコリは、何年も前からSNSをやっていたようなものだね」とよく言っていました。

山本:私たちも、読者の皆様の意見を大切にし、紙面作りに励んでいます。朝日新聞には、日々のニュースを伝える「報道」としての大きな役割がある一方で、くつろいだ楽しい時間を過ごせるようなコンテンツ、例えばご家族と一緒に「ちょっと解いてみようかな」と気軽に新聞を開いていただくためのコンテンツも必要だと思います。ニコリさんご協力のもと、楽しんでもらえるパズルをこれからも届けていきたいです。

応募はがきにはこんな
読者コメントも

今回、とても頑張りました!
数独を解くのが楽しくてしかたありません。
70歳の記念に応募しました。

icon 女性

数独が大好きで、本も買いました!
いつも楽しいパズルありがとうございます。
これからも期待しています!

icon 男性

今回は解くのに時間がかかりました。
ちょっと間違うとダブりが出てきて、難しくなってしまいますね(苦笑)

icon 女性

朝日新聞に掲載されているニコリの数独は、長年、多くの読者に楽しんでいただいています。数独は、土曜日の朝刊でお届けしている『be』のほか、火・水・木・金の朝刊、朝日新聞デジタルでは毎日、掲載しています。数独をきっかけに、ぜひ、朝日新聞を楽しんでみてください。

朝日新聞デジタルの「数独」にチャレンジ!→