
伊藤健心さん(15歳 高校生)
1人目は、横浜市に住む高校1年生の伊藤さん。小学生の頃「驚くほど国語が不得意だった」という彼が、なぜ新聞を読むようになり、どのように読んでいるのか聞いてみました。
お母さん大激怒、がきっかけ

伊藤さんは今高校1年生ですよね。
「驚くほど国語が不得意だった」と伺いましたが、本当ですか?

はい。小3の時から中学受験のために塾に行ってたんですけど、小4の模試で国語の偏差値が40になったことがあったんです。めっちゃ怒られました。

お母さんに模試の結果を知られて、ですか?


そうですね。結果が出る日に母が塾に迎えに来てくれたんですけど、帰りの車がやばい感じで。
ふつう、今日の授業どうだったとか、なんか話すんですよ。でも、1回も話さなくて。やっちまったな…って感じでした。
家に帰ってからは、母が鬼にしか見えなかったです…。どうすれば成績が上がるかっていう話になって、「毎晩新聞読め」ってなりました。
読んでみたけどわからない!

いきなり読み始めて大変じゃなかったですか?


きつかったですね。とりあえず最初は1面から全部読もうとしたんですけど、難しい漢字とか結構あるので、大体10ページくらいで断念するんです。文章読むのが嫌いだったし本とか新聞とか全然読んでなかったんで、「政治とか意味分かんねえな、よく分かんないこと書いてんな」って思いながら読んでましたね。
苦手だった国語の成績に変化が……

分からないものを毎日10ページも読み続けるのって大変じゃなかったですか?

3カ月くらい続けたんですけど、時間がかかって塾の宿題が間に合わないことがあったので、母が「ちょっと削ってみる?」って。それで毎日、天声人語だけ読むことになりました。最初はとりあえず、意味を全部理解して、母に口頭で説明するっていうのをやりました。明らかに間違ってたら「はい、もう1回」って言われます。最高5~6回やったこともあります。

「天声人語」だけ読むようになって、「衝撃」を受けたそうですね。

「天声人語」って、途中で全然違う話になって、それを踏まえて最初と最後の話がつながったりするじゃないですか。それがすごいなって。「天声人語」だけになって初めてちゃんと意味を考えて読むようになって、文章のつくりが分かるようになったんです。それから、だんだん国語の成績も上がっていって、志望校に合格できました。国語は得意科目になりましたね。
「ちょっと」の積み重ねでも力がつく

すごい努力です!
今はどう読んでいますか?


今は家に帰ってすぐ1面見て、興味あったら他のページ。全体で5分くらいですかね。国語の授業で漢字と語彙のテストがあるんですけど、今のところ全然勉強しなくても合格できてるんで、それは新聞のおかげかなって思います。
受験がきっかけで新聞読んでるやつけっこういますよ。先生が時事ネタ持ってきて誰かに当てる授業があったんですけど、知らなかったら恥ずかしいので読んでおかなきゃ、ってなってました。その授業で、自分で言うのも何ですけど、他の人が答えられなかったニュースを完璧に答えられたこともあって、周りも「うえーい」って盛り上がってました。

読み続けるコツや、受験生へのアドバイスってありますか?

僕も面倒くさいのは嫌いなので、その日のコンディションや気分によって読み方は変えていいと思います。ガチガチになって何ページも読まなきゃってなると、やらされてる感があるので、苦痛だったら1面だけでもいいし、記事一つも無理な人は写真とちょっとした説明だけでもいいと思います。その積み重ねで国語の力はつくと思います。
それに、少しでもいいから読む習慣を続けていけば、「自分ってえらいな」って思えてうれしくなるし、僕は読むのが楽しくなりました。

ありがとうございました!
最初はよく分からなくても、毎日続けることで自分なりの読み方を見つけられて、発見や成果があるってことなんですね。


WRITER PROFILE
いぐっちー
2011年、朝日新聞入社。無駄に大きなカバンを担ぎ、「ちょい読み」を求めて日本中を駆け巡る。
趣味は探検、徹底的な事実確認。
受験生におすすめ!
中学受験だけでなく
大学受験にも朝日新聞!!
2020年度の入試では、全国252大学の501問題で朝日新聞の541記事が使われました。
中でも多かったのが以下の3つのコーナーからの出題です!

※朝日新聞社調べ。2020年7月15日現在。全国の大学と短期大学にアンケート調査。回答数 982。朝日新聞、朝日ウイークリーなどの朝日新聞社発行の新聞と電子媒体(朝日新聞デジタル)を対象とした