就職活動

就活実話

ES提出の裏技

エントリーシート(ES)の提出が締め切り時間にぎりぎり遅れたものの、会社の担当者の厚意で何とか受け取ってもらったという「強者」がいると、前回の話でお伝えしたが、今春晴れて第一志望の企業に就職する都内の大学生Bさんも相当な強心臓の持ち主である。

Bさんもエントリーシートを書き上げるのがいつもギリギリだった。そこで存分に利用したのは、郵便局の配達システム。速達でも届くのは翌日という思いがちだが、「即日配達」できる場合があるという。「会社がある住所を集配・配達エリアとしている郵便局の窓口へ直接、届けるんです」。

郵便物を自宅近くのポストに入れた場合、いったん集配業務をしている郵便局に集められ、それが配達先の集配郵便局へと送られ、そこから宛て先へと配達される。輸送時間を考えれば、速達でも即日は難しい。ところが、わざわざ会社近くの集配業務の郵便局へ足を運べば、郵便局の方もそこから配達するだけだ。「○○郵便局は××時までに届ければ、その日のうちに配達してもられるという情報を仕入れておいたので、その日の朝までかかってESを書いても心配しなくて済んだ」と豪語する。

だったら、ESを直接、会社に届ければいいじゃないかとも思うが、ESの受付は郵送に限り、直接持ち込みは認めないと書いている会社も多い。そこで面倒くさいが、電車に乗って目的の郵便局まで出かけるというややこしい手段を駆使したというわけだ。これも、就活がほとんど近場で完結するという都内の大学生ならでは、の「特権」だが……。

そのBさんが、一度だけ焦ったことがあった。ESを郵便局へ持ち込んだ時間が遅れ、窓口で押し問答になった。何とかなりませんかとお願いしたが、窓口の人は時間を過ぎているからダメだとガンと首を縦に振らない。その時、Bさんは裏技として、荷物扱いで即日配送してもらうことを思いついた。

「荷物なら今からでも今日中に届けらるんじゃないですか?」「ESは受け付けられません」。ESはいわゆる「信書」の扱いだ。信書とは、領収書や証明書、申込書、願書、履歴書、住民票などの書類。ESもその一種なので受けられない。  困ったBさん、「ESじゃなくて単なる『作文』ということで」「やっぱり受けられません」「そこを何とか」……。そんな押し問答のあと、窓口の後ろのドアが開いて上司らしい人が出てきて、Bさんをじろっとにらんだ。すごすごと引き揚げるしかなかった。

仕方なくBさん、その足で会社まで出かけたら、すんなりと受け取ってくれた。肩透かしを食らった気分だった。

「郵送しか受け付けないと書いていても直接受け取ってもらえることがあるから、ESがギリギリになったら試してみて損はない」とBさんは言う。しかし、郵便局の即日配達にもリスクがあるのは確か。もしものために知っておくのはよいけれど、やっぱり早めに出したほうが身のためです。

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