朝日新聞活用法:音読、書き写し、色分けで受験力を高めよう
大学受験指導に新聞を積極的に活用している「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」の著者で、坪田塾(名古屋市東区)の坪田信貴塾長。活用方法とコツを詳しくうかがいました。
最近の高校生は、雑誌やマンガも読まなくなり、活字嫌いが増えたと実感している坪田先生。文章を読み取る基本的な力がついておらず、教科書を読んでもしっかり理解できない生徒もいるといいます。そこで読解力アップのために新聞を活用しているそうです。
坪田塾ではまず、新聞の1面から記事1本を切り取り、ノートに貼るところから始めます。ほかの記事が目に入らないようにするためで、視覚的に読みやすくなります。次に見出しから声に出し、漢字の読み方や単語、文節ごとの意味を確認しながら音読します。見出し、リード文、本文を一度読んだら、付箋を貼って、何が書いてあるのか自分の言葉で書きます。自分の言葉で要約する練習を続けることで、少しずつ文章を読み解くことができるようになります。
新聞といっても、全国紙、地方紙といろいろある。坪田先生が朝日新聞を勧めるのは出題実績と文章の質を評価しているからだといいます。
塾生には、朝日新聞を読むことを勧めています。大学入試出題実績のデータを見ても、圧倒的に朝日新聞が使われているからです。
「天声人語」は、作文の指導に最適な良文です。「天声人語」もスクラップし、書き写します。文章に慣れていない塾生には、全文は長いので、段落ごとに区切って書き写させるようにしています。
次に何も見ずに、もう一度同じ箇所を書きます。原文と自分の書いた文章を見比べると、句読点の位置が違うことなどに気付き、文章の書き方の勉強になります。
新聞は一人で読むのではなく、記事について会話をすることが大切だと、坪田先生は強調します。
今の生徒には動画が親しみやすいので、坪田塾では、時事問題対策としてテレビのニュースを見るように言っています。自分が興味を持ち話ができそうなテーマを選んできてもらい「昨日見たニュースでは、どのようなことを言っていた?」など塾生と会話をしながら、新聞を実際に開いて同じテーマの記事を探します。実際の入試では、動画ではなく活字で出題されるので、必ず活字の新聞で時事に触れるように教えています。
家庭で新聞を活用する場合は、読み方を教えて、家族で記事について話をする時間を作ると良いと思います。読み方から丁寧に教え、記事を噛み砕くようにフォローしないと理解することが難しいからです。家庭での新聞活用は、学力向上のためにお勧めです。
記事を読む時には自分の考えを持ちながら読むことを坪田先生は勧めています。感じたことを記録し、読み返すことで成長を実感できます。
「天声人語」を使った小論文対策として、自分が良いと感じる、自分が良くないと感じる箇所で、色を分けて塗ります。この作業は、自分の意見形成の準備になります。作業をした日付も記事の隣に書き、スマホやノートに保存することで、後で、記事を読んだ当時の自分の感情を振り返ることができます。振り返ることで、文章力の成長を客観的に見ることができるので、塾生にとっては、成長の証しになります。多くの生徒は、模擬試験の結果が一時的であっても悪くなると、モチベーションが下がってしまいます。しかし日記や記録があると、冷静に自分の成長を確認でき、モチベーション維持に役立ちます。
私も寝る前に、日記を書くようにしています。後で日記を振り返ることにより、もう一度人生を楽しむことができます。「自分がその時何を考えたのか」、ぜひ学んだことを記録してほしいと思います。
これまでに1,300人以上の子どもたちを個別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。「地頭が悪い子などいない。ただ、学習進度が遅れているだけ。なので、遅れた地点からやり直せば、低偏差値の子でも1~2年で有名大学、難関大学への合格は可能となる」という信念のもと、学生の学力の全体的な底上げを目指す。