史上5人目の中学生棋士、藤井聡太さんが、昨年12月のデビュー以来、先輩棋士を次々と破る快進撃を見せています。将棋界に衝撃を与えている中学3年生の日課は、新聞を読むこと。普段、どんな記事を読んでいるのか、新聞で何が身についたのかを聞きました。
史上最年少、14歳2カ月でプロ入り
藤井さんは昨年10月、史上最年少の14歳2カ月でプロ入りしました。愛知県瀬戸市在住で、名古屋市内の中高一貫校に約1時間かけて通っています。自宅で朝日新聞を購読しており、普段は帰宅後に読むことが多いそうです。一面から社会面に移り、大体全てのページに目を通しています。
よく読むコーナーは、国際面の「特派員メモ」。「海外の人たちの日常がよく伝わってくるから」。最近では、病気やけがの体験談をつづった「患者を生きる」でアルコール依存症を取り上げたシリーズも印象に残ったそうです。小説を読むのも好きなため、気に入った時は新聞小説も読むと言います。
スマートフォンは持っていますが、よく使うのは将棋関係のアプリ。「パソコンも将棋の研究に使うことがほとんど。テレビもあまり見ません」。そのため、ニュースに触れるのは、主に新聞だそうです。
塾には行かないままの受験
藤井さんは中学受験をして今の学校に入りましたが、受験を決めたのが6年生の12月と大変遅く、塾には行かないまま受験に臨んだそうです。
短い準備期間で合格できた理由について、母の裕子さんは「新聞を読んで得た知識が大きかったのではないか」と言います。
好きでやっているうちに強くなれた
将棋界でさらなる活躍が期待される藤井さん。なぜ、そこまで将棋に打ち込み、強くなれたのでしょうか。
「自分でもそこまで勉強したという実感がないのです。好きでやっているうちに強くなれたと思います」。最後に、新聞を読むことと将棋を指すことの共通点を聞きました。「新聞には色々なニュースが隣り合わせになって載っているので、どれが大事なのかを考えるようになる。将棋も、局面のどこが急所なのかを見極めることが大切。その点が似ていると思います」
(朝日新聞記者 村瀬信也)
2002年愛知県瀬戸市生まれ。棋士養成機関「奨励会」を4年で卒業し、16年10月、史上最年少の14歳2カ月でプロ入り。デビュー戦で、62歳上の加藤一二三九段を破った。