Q.今まで公務員試験を受けていましたが全て受かりませんでした。受験先を公務員から民間企業に変更することは可能でしょうか?
これからでも内定が取れるか不安です。
坂本塾長の「気合い回答」
変更は可能、内定も取れる。ただし、消去法で選んだと思われたら、即落とされる。
景気が良くない時は、公務員志望者が増えます。しかし、ここ数年、採用枠は、削減傾向にあり、年々受験倍率が上がっています。よって、受からずに就職浪人している学生が増えているのが現実です。今回のようなことで悩んでいる学生は非常に多く、質問・相談がひっきりなしにあります。
■熱意は道を切り拓く! 受験チャンスは自分でも作れる!
公務員試験から、民間企業の試験への変更はもちろん可能です。まだ4年生の募集をしている企業は沢山あります。 ネットでも検索できますし、大学のキャリアセンター(就職課)で求人情報を探すことも強くお勧めします。興味がある企業には、たとえ募集していなくても、人事に電話して応募できないかお願いしてみましょう。辞退者が想定よりも多く出ていたり、欠員が生じている場合は、特別に受験チャンスを下さることがあります。就職活動ではダメモト精神が重要です。“熱意は道を切り拓く”と心得て、積極果敢にアプローチして下さい。
■筆記試験は、高得点で突破できる!
今まで勉強してきた公務員試験の筆記の勉強は、決して無駄にはなりません。しかし、いくつか注意点があります。
公務員試験の筆記試験は、民間企業のSPI試験や一般常識試験、適性試験の出題内容と重なる部分が非常に多いです。なので、公務員試験対策をしっかり行っていた方が民間企業の筆記試験を受けると、かなりの高得点が期待できます。ただし、問題の内容は同じでも、選択肢の設定の仕方等、出題の仕方が若干違います。そこで、少なくともSPIの問題集を一冊、仕上げておくことをお勧めします。
■面接カードの書き方とエントリーシートの書き方は違う
公務員試験で一般的に「面接カード」と呼ばれているものは、民間企業では「エントリーシート」と呼ばれています。しかし、気をつけて頂きたいことがあります。今まで、面接カードを何枚も書いているでしょうから、書き慣れた書き方(内容)があるとは思いますが、同じように書いてはダメです。
●面接カードとエントリーシートにおける最大の違いは志望理由欄
公務員試験では、志望理由は(公務員の配属の仕組みや仕事の特性上)、なぜ公務に就きたいかという理由が重視される傾向が強く、個別のやりたい仕事が具体的に書かれていなくても、それほどマイナスにはなりません。しかし、
民間企業の試験では、やりたい仕事に関する具体性が希薄だと、目的意識が低いと見なされ、大きなマイナス評価に繋がることが多いです。
志望理由欄は、志望企業でどんな仕事をしたいのかをしっかりと分析して、「やりたい仕事」を具体的に書きましょう。そして、自己PR欄は、志望理由欄に書いた「やりたい仕事」の遂行に役立つ「能力・資質」を書きます。志望理由に書いた「やりたい仕事」を軸にして、全体の構成を整えます。
■面接試験では、変更理由で大きく差が付く
公務員試験の面接の回数は1回もしくは、2回程度。(これに集団討論試験が加わる場合もあります。また、国家公務員試験で官庁訪問がある場合はもう少し増えます)。一方、民間企業の面接の回数は一般的に3回~5回です。民間企業の場合は面接重視なので、内定獲得のカギは面接対策です。
●面接での最大の注意点(変更理由)
公務員受験から民間企業受験に変更した場合は、最大の面接注意点をご説明します。それは、「変更理由」です。言い方に気をつけないと大変なことになります。たとえば、 『今まで公務員試験を受けていましたが、どうしても受からなかったので諦めることにし、民間企業の受験に切り替えました』などと、消去法的な志望理由言ってしまうと、面接官の評価はガタ落ちしてしまいます。
高評価を得るには「いろいろ探し続けてきたが、自分が心底やりたいと思った仕事が(遂に)その志望企業に見つかった」という主旨で、「どんな仕事がやりたいか、部署名、業務名、プロジェクト名、社員名などを挙げて、できるだけ具体的に述べること」です。言葉で上手く言える自信が無い人は、志望企業(志望業界)の新聞記事スクラップを持参して、志望理由を述べる際に取り出して見せると効果的です。
就活のスタート時点から、志望企業が明確に一つに定まっている人は滅多にいません。他の受験者だって、様々な業界、多くの企業の受験(不合格経験)を経て、その企業に至っているわけで、実は、似たり寄ったりの状況なのです。だから、今まで公務員試験を受けていたこと自体は何の問題もないのです。志望企業の仕事内容を徹底的に研究し、前向きな気持ちで受験してください。
キャリアデザイン研究所代表。大学非常勤講師(就職指導担当)。ES本・面接本とも売上1位。(有名書店・大学生協・売上ランキング)。全国の大学等で就職講座の講師を務める(実績:東京大学・京都大学・千葉大学・岡山大学・早稲田大学・慶應義塾大学・立教大学・法政大学・日本大学など62大学)。●大学時代に就職支援ボランティアをしたことがきっかけで、将来、就職コンサルタントになることを志し、証券、広告、新聞、教育業界で勤務後、独立。●著書68冊。『内定者はこう書いた! エントリーシート・履歴書・志望動機・自己PR 完全版』・『内定者はこう話した! 面接・自己PR・志望動機 完全版』(高橋書店)、『何をPRしたらいいかわからない人の受かる!自己PR作成術』(日本実業出版社)など。●ツイッターで毎日指導(@SakamotoNaofumi)。