Q.話がダラダラしていてまとまりがないと面接官に注意されました。私は面接が苦手です。話し方のアドバイスをお願いします。
坂本塾長の「気合い回答」
1質問1アピール。15秒程度(長くても30秒)で話すと会話が活性化して大変好印象!
今回は、面接合格のための『話し方のポイント』をレクチャーします。
■面接の受け答えの際、面接官の集中力が続く時間は、どのくらいだと思いますか?
受験者の大半は、多くのことをアピールしたいあまり、面接で長々としゃべっています。しかし、それは評価を大きく下げてしまう要因で大変危険です。
●面接官の集中力
面接官の集中力はどのくらい持つか。
それは、たったの15秒です。
15秒過ぎると集中力はガクンと落ちていきます。
面接官は、受験者が話し始めてから、15秒後には集中力が切れ、半集中状態になってしまいます。この状態になると受験者のしゃべっていることの半分しか頭に入りません。さらに30秒過ぎると上の空状態となり、1、2割しか頭に入りません。45秒過ぎると、もはや飽きてしまって、早く終わらないかな…と思いだします。60秒過ぎると、この受験者は話にまとまりがないぞ。時間の無駄遣いだ…とイライラ状態になります。
●以下、集中力と時間の関係をまとめます。
第1段階: 0秒~15秒 集中状態
第2段階:16秒~30秒 半集中状態
第3段階:31秒~45秒 上の空状態
第4段階:46秒~60秒 飽き飽き状態
第5段階:60秒~ イライラ状態
■しゃべり過ぎに気をつけよう
面接官の集中力・心理状態を考えると、(面接官側から1分間とか3分間などと時間指定される場合以外は)、15秒程度、長くても30秒以内に簡潔にまとめてしゃべりましょう。
受験者は、受かりたい一心で、あれもこれも盛り込んで、しゃべりますが、それは、大変な逆効果なのです。面接官の評価が下がる原因を自分で作っていることになります。
●不合格者の実例
不合格者の典型的な受け答え実例をご紹介します。
面接官:自己アピールをしてください。
受験者:はい、私のアピールしたいことは3つあります。1つ目は、行動力があることです。私は大学時代、テニスサークルに所属していたのですが、活動がマンネリ化していて、参加メンバーが減ってしまっていました。そこで私は渉外係として、他のテニスサークルに積極的に話を持ちかけ、練習試合を企画したり、試合の後は、交流会を企画したりして、サークルのメンバーが笑顔で楽しめるようなサークル運営をしました。その結果、メンバーからは、あなたのおかげでサークルがとっても楽しくなった、また参加したいと言ってもらえました。このように私は、行動力のある人間です。2つ目は、企画力があることです。先ほど申し上げました通り、テニスサークルでは、渉外係として、積極的に企画を考えました。企画をする際には、自ら出かけて下見をしたり、値段の交渉をしたりしています。私は人の笑顔を見ることが大好きで、そのための努力は惜しみません。3つ目は、継続力があることです。・・・・(以下同様に続く)
※面接官の心の声:話がダラダラ長いなぁ。もっと要領よく、わかりやすくまとめて話して欲しいなぁ。この受験者は仕事する時も、ダラダラ、要領悪くやるのだろうなぁ。がっかりだ。
【講評】
このように「私のアピールしたいことは3つあります」などと、並べ立てて言う受験者は非常に多いですが、とても危険です。話が長くなりすぎ、2つ目以降は、聞き飽きられて評価は下がります。(一方が長々と話すと会話が成り立たなくなってしまうものです。だから、コミュニケーション能力も低いと思われてしまいます)
読者の皆さんも100%の集中力で読めたのは前半だけで、後半から読み飽きてきたのではないでしょうか。
■一質問一アピール (会話は言葉のキャッチボール)
会話は言葉のキャッチボールと言われますが、まさにそのとおりです。
キャッチボールで投げるボールは一つです。けっして、一度に3つも4つも相手に投げることはありません。そんなに投げても相手はキャッチできないです。面接の受け答えも同じです。一度に3つも4つもアピールしても相手はしっかりキャッチ(理解)できません。一回の質問に対して、アピールすることは一つにしぼり、その一つをしっかりとキャッチ(理解)してもらえるように、わかりやすく伝えることが大切です。
●会話のテンポを良くしよう! (アピールできることも増える)
質問一回につき、一つのアピールを15秒程度で返答すれば、(一質問一アピール)。会話(言葉のキャッチボール)のテンポが非常に良くなります。そして、アピールできることも増えます。
●内定者の実例
では、内定者の典型的な受け答え実例をご紹介します。
面接官:自己アピールをしてください。
受験者:はい、私が一番アピールしたいことは、テニスサークルの活動参加者を2倍に増やしたことです。私は渉外係として、足を使ってがんばりました。
面接官:足を使ってがんばったそうですが、何をして、2倍に増えたのですか?
受験者:はい、他のテニスサークルの代表のところに挨拶にまわりました。ちゃんとした名刺と企画書を作り、練習試合の企画を売り込みに行ったのです。最初はそっけなく扱われて大変でした。
面接官:なるほど…。
受験者:はい、最初は冷たい対応されても、めげずに接しました。すると、だんだん話を聞いてくれるようになり、こちらの熱意と企画の面白さが伝わりました。このプロセスが面白かったです。
面接官:君は営業向きのタイプかもしれないねぇ
受験者:はい、ありがとうございます。私は足を使って行動するのは大好きです。今回も他のサークルとの企画が実現できて、活動が活性化し、参加者も増えて。私は行動することの大切さを心から感じることができました。
面接官:では、他にアピールしたいことはありますか?
受験者:はい、ピアノを15年間、継続していることです。幼少の頃は、椅子に紐で縛られて泣きながら練習したこともあります。どんなに辛くても負けずにがんばり抜いているうちに15年たちました。
面接官:椅子に縛られて練習?ずいぶん大変だったんだね。それはどういうこと??
受験者:はい、この厳しさから、忍耐力が培われたと思います。というのは・・・
(※以下同様に続く)
【講評】
不合格者の実例と比較すると、会話のテンポがとても良いです。
アピールすること(具体例)を小出しにして、面接官との会話を楽しみながら、進行させています。
■面接官との会話を楽しもう! (面接は仲間探しの場)
最後に根本的に大切なことを強調しておきます。 それは『面接官との会話を楽しむ』ということです。面接だからといって、特別なしゃべり方をするのではなく、面接官と『会話』をすればよいのです。つまり、『相手の言ったことに対して、15秒程度(長くても30秒程度)で返答する』。これはまさに普段の私達がやっている『会話』のあり方そのものです。
面接合格のために『根本的に大切なこと』は、『面接官との会話を楽しむ』という姿勢。しっかり自己分析・企業研究をして準備を整えたら、あとは、自然体で、面接官との会話を楽しみましょう!!
キャリアデザイン研究所代表。大学非常勤講師(就職指導担当)。ES本・面接本とも売上1位。(有名書店・大学生協・売上ランキング)。全国の大学等で就職講座の講師を務める(実績:東京大学・京都大学・千葉大学・岡山大学・早稲田大学・慶應義塾大学・立教大学・法政大学・日本大学など62大学)。●大学時代に就職支援ボランティアをしたことがきっかけで、将来、就職コンサルタントになることを志し、証券、広告、新聞、教育業界で勤務後、独立。●著書68冊。『内定者はこう書いた! エントリーシート・履歴書・志望動機・自己PR 完全版』・『内定者はこう話した! 面接・自己PR・志望動機 完全版』(高橋書店)、『何をPRしたらいいかわからない人の受かる!自己PR作成術』(日本実業出版社)など。●ツイッターで毎日指導(@SakamotoNaofumi)。