海外ボランティアの自己PRの添削例
朝日新聞社主催・就職フェア(2013/6/29)でおこなった『ESコンテスト』の講評です。今回は第27回で、『海外ボランティアの自己PR』に対するアドバイスです。 改善方法を参考にしてください。
海外ボランティアの自己PRを添削しました。
グローバルな事業展開を行っている企業、および、行う計画がある企業の採用試験では、海外ボランティア経験は、高評価を得やすい自己PRネタです。書き方次第で、営業職、事務職はもちろん、商品企画職でもトップクラスの評価が得られます。添削前の内容と添削後の内容を比較して読んでください。『ビジネス感覚の高さを表す内容を軸にする』と印象が一変することがわかります。
[添削前]
【ここがダメ】
漠然とした内容で合格ラインには届きません。文末に「商品を作りたいです」と書いていますが、商品企画職志望の場合は、合格ラインは(営業職・事務職よりも)大幅に高くなります。これでは、ビジネス感覚の高さが感じられず、説得力もないので、合格は極めて困難です。商品企画職を志望するならば、数種類以上の企画案を提示する(面接で言える)くらいでなければ、熱意も能力も伝わりません。また、新聞やビジネス誌、統計書などで市場動向の調査も行い、データも引用しないと説得力がなく、ビジネスとして成り立つことが感じられません。
[添削後]
学生時代、インドでボランティアを行った際、貴社の商品に対するニーズの潜在的な高さを感じました。帰国後、インド人の考え方、習慣、現地の対抗商品を研究し、新聞やビジネス誌でインドの最新の市場動向の分析も行い、商品案を10考えました(企画書を面接に持参します)。インド人の知り合いにアンケート調査を行ったところ、対抗商品よりも好評でした。現地でシェア1番の○○社は、○○億ドルの年間売上高(※朝日新聞○月○日朝刊○面の記事)ですが、それを上回る売上高達成に貢献します。
【改善のポイント】
① 見出しに「商品案を10考案」と書いて、ビジネス感覚の高さをアピールした。2、3の商品案を考える就活生は多いが、二けたの10となると滅多にいないので大きな差別化になる。
② 見出しに「インド人へのアンケートで好評」と書いて、実行力の高さ、人脈形成力の高さをアピールした。(帰国後、インド人の知り合いにアンケートを取ったということは、インドでの知り合いと継続的にコミュニケーションを取っていることになり、人脈形成力の高さのアピールになる)。メールやフェイスブックで企画案を見てもらえばよいのだから、やる気さえあれば簡単にできること。アドバイスもしてもらえば、企画内容をレベルアップすることができる。
③ 本文中に「現地でシェア1番の○○社は、○○億ドルの年間売上高(朝日新聞○月○日朝刊○面の記事)」と書いたが、客観的なデータの引用をすると、文章の説得力を高めることができ、かつ、ビジネス感覚の高さのアピールにもなる。
■海外ボランティアの自己PRで高評価を得るアピールポイント
以下、海外ボランティアの自己PRで採用担当者の高評価を得る主なアピールポイントをまとめます。
(海外留学や海外旅行の自己PRでも、これらのアピールポイントにすると高評価が得られます)
1.ビジネス感覚の高さを表す内容
→ 現地での経験、および、帰国後の研究・分析を通して、
商品案やビジネスモデルを考えたことをアピールポイントにする
2.人脈形成力の高さを表す内容
→ 現地で形成した重要人物との知り合い、または、知り合いの人数の多さ、
そして、帰国後もコンタクトを取っていることをアピールポイントにする
3.実行力の高さを表す内容
→ 現地の人と実行したプロジェクトで活躍したことをアピールポイントにする
→ 現地で会社訪問をしたことや現地の人に対して企画実行したことをアピールポイントにする
4.語学力の高さを表す内容
→ TOEICなど、語学の試験のスコア等が大きく上がったことをアピールポイントにする
→ 現地でスピーチやプレゼンを成功させたことや授業等での高成績をアピールポイントにする
●志望職種によるアピールポイント1~4の選び方 (企画職、事務職、営業職)
今回は、商品企画職の志望者なので、1を軸としたアピールポイントの文章にしました。しかし、事務職の志望者でしたら、4を軸にしたアピールポイントでも高評価が得られます。営業職の志望者でしたら、1、2、3、4、どのアピールポイントを軸にしても高評価が得られます。自分の経験内容と志望職種によって、アピールポイントの軸を使い分けてください。
キャリアデザイン研究所代表。大学非常勤講師(就職指導担当)。ES本・面接本とも売上1位。(有名書店・大学生協・売上ランキング)。全国の大学等で就職講座の講師を務める(実績:東京大学・京都大学・千葉大学・岡山大学・早稲田大学・慶應義塾大学・立教大学・法政大学・日本大学など62大学)。●大学時代に就職支援ボランティアをしたことがきっかけで、将来、就職コンサルタントになることを志し、証券、広告、新聞、教育業界で勤務後、独立。●著書68冊。『内定者はこう書いた! エントリーシート・履歴書・志望動機・自己PR 完全版』・『内定者はこう話した! 面接・自己PR・志望動機 完全版』(高橋書店)、『何をPRしたらいいかわからない人の受かる!自己PR作成術』(日本実業出版社)など。●ツイッターで毎日指導(@SakamotoNaofumi)。