「成長の糧は至る所にある」
木村 慎が語る仕事--2
つながった食とITの経験
汗を流したキャリアで次がある
インターネットを基盤に企業間商取引をデジタル化するサービス「BtoBプラットフォーム」。その提供会社であるインフォマートに勤務しています。私は新卒時、実家が食品の事業をしている影響で総合食品商社に就職しました。そして、そこの食品流通の現場を経て、当時勢いを増していたインターネットに引かれ、経営支援サービスを手がけるソフトバンクの子会社に転職。飛び込んでみたら、信じられないスピードで新しい仕事が次々と立ち上がっていく驚きの世界でした。
親会社はポータルサイトを運営し、固定電話や携帯電話の会社を買い、さらにはプロ野球球団を所有するというようなスケールです。加えてグループ会社も多岐にわたり、目まぐるしいほどの量の仕事が音を立てて動いているというのが実感でした。事業内容が日本初、業界初であることも多く、売り上げ目標も半端ではありません。今までの考え方を変え、自分の力で担当する仕事の売り上げを達成する覚悟が必要でした。
その会社では、若い人であるほど責任感からか他の目上の人にも厳しく、「こんなに恥ずかしい思いをした会議に出たことはない」とお客様と本気でやり合う場面に立ち会うこともありました。一緒に仕事をするなら、立場によらずお互いシンプルなパートナーとして向き合わなくてはうまくいかない。発注側と受注側でも同じで、その目線がなければ仕事を動かすことは難しいのだと、私はこの時、働き方の原点を一つ学んだ思いがあります。
時代の先端を走る仕事はやりがいがありました。やがて営業のリーダーも務めましたが、「食」からは距離ができたと感じてきていました。その頃私は、インターネットを使った競り下げ方式のリバースオークションを担当していました。ホテル・旅館、レストランなどからデータをもらうのですが、その分野の企業は必ずといっていいほどインフォマートという会社のサービスを利用しているのです。調べたら食品の仲介をITでやっている。まさに食品流通とインターネットの二つを経験してきた私のキャリアと重なり、この会社に転職しようと思い立ちました。
成し遂げたい仕事に出会った
すぐに同社のホームページで募集要項を見たら、当時の給料は期待を下回る水準だったのでちょっと迷いました(笑)。でも、人材会社に履歴書を持ち込んで紹介してもらい、「食品とITを組み合わせた企業間取引は得意です」と社長面接に臨んで、入社がかないました。2007年31歳、給料はこれからの自分の働きによって上げるぞと心に期しながら。
まずは新規顧客の獲得が最も重要で、足を運び体当りしてお客様を獲得していく社風でした。当社の食のマッチングシステムは、「買い手」である外食業者などに会員になって頂き、「売り手」である全国の農業、漁業、酪農、特産品などの生産者にも会員になって頂いて、サイト上で食品供給を成立させる仕組みです。買い手である飲食店、ホテル・旅館などはいい食材を探すことができ、生産者は自慢の品を使ってもらうことができるのです。
この仕組みは後に大きくブレークするのですが、私もやりたい仕事を見つけられたと熱が入りました。(談)