「働くことは社会問題を解決すること」という意識で会社選びを
新聞を読んでいれば自ずと自分が関心のある問題に出会える
「自分のやりたいことが見つからない」と悩む後輩たちから、就職活動について相談を受けることが多いのですが、私自身ずっと「働くことは社会問題を 少しでも解決すること」だと考えて、自分のキャリアを意識してきました。そのため、後輩たちにも同じことを伝えています。つまり、やりたいことを探すので はなく、「どんな仕事をしたら社会に貢献できるか」という視点を持つことで、会社選びの選択肢が増えるのです。
私は小さいころから、母が外資系企業のマーケティング関連のセクションでバリバリ働く姿を見ながら育ちました。朝起きる と、母が、私に役立ちそうな新聞記事を切り抜いて食卓に置いてくれていたため、自然と新聞記事に目を通す習慣がついていて、大学も母が見つけてくれた新聞 記事を参考に選びました。
こうした経験もあり、就職活動にあたっては、より意識的に新聞に目を通すようになりました。そうして気づいたのが、「世の 中には解決すべき問題がたくさんある」ということ。新聞が報じるさまざまな社会問題のうち、自分ならどの分野に取り組んでいきたいか。またどの分野であれ ば力を発揮できるのかという視点で、気になる業界をさらに深堀しました。新聞を定期的に読んでいれば、そうした問題が変化する過程も追うことができます。
「高齢者福祉のために仕事がしたい」を出発点に業界を研究
新聞を読んでいて、気になる問題があれば、それが好きとか向いているかといったことを考える前に、まずは調べてみました。そうして調べた諸問題のう ち私が最終的に辿り着いたのが、少子高齢化時代を迎え、高齢者が抱える問題を解決するために仕事をしたいという思いでした。今後ますますマーケットとして 拡大するという、目に見える理由もありましたが、やはり身近な経験が影響しました。祖父が倒れ、祖母が介護をしている姿を目の当たりにし、改めて介護の現 場の大変さを知ったのです。大学の授業でも少子高齢化の問題が扱われ、新聞でも連日のようにこうした問題が報じられていたところに、自らの経験も加わり、 自分が働くことでこうした問題に取り組み、より暮らしやすい社会に変えていきたいと考えたのです。「新聞で繰り返し報道されること」こそが、いま私たちが 取り組まなければならない問題だということに気づいたのもこの頃でした。
自分の中でやるべきことが定まったあとは、どんな業界に進めばこうした問題に取り組むことができるかを調べ、製薬から医療 機器メーカー、福祉機器メーカー、人材など、関連業界の研究を行いました。そうして出会ったのが「パラマウントベッド」という企業です。私がこの会社で働 きたいと思ったのは、要介護者だけではなく、介護をする方にも配慮された製品づくりをしている点です。いま「老老介護」が問題になっています。そのため、 介護をする側の視点に立つという発想は目から鱗でした。
就職活動はひとりでやらない。自分を常に肯定してくれる人の存在が大切。
いま自分の就職活動を振り返って思うこと。それは、「就活はひとりでやらない」ということです。私はゼミの仲間と協力しました。就活はチームプレイ だと思っています。もちろんある意味みんながライバルですが、それ以上に情報を共有したり、相談することで精神的な面も技術的な面もフォローし合うことが できました。具体的には、自分が気づいていない自分の良いところに気づいてもらえたり、自分とは違う業界を目指す友だちの視点を参考にしたり。自分のこと を常に肯定してくれる人を得るのは本当に心強いものです。
私も3年生の8月までは、新聞に目を通してはいましたが、じっくりと読み込んでいたわけではありません。それ以前の記事は デジタル版を活用し、キーワード検索を行って過去の記事を調べて面接に望んでいました。下調べのおかげで、面接ではこちらからも積極的に質問することがで き、しっかりと調べているねと褒められることも多かったです。ある程度の知識がないと質問すらできませんから、やはり日ごろからたくさんの情報をインプッ トすることは大切ですね。
4月からいよいよ社会人。将来は海外でも通用するよう、さまざまな下積みをしながら頑張っていきたいと思っています。