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筆記試験の謎

就活を突破するには、いろいろな壁がある。エントリーシートや面接とともに、筆記試験を課す企業も多い。面接でぺらぺらとしゃべるのは立て板に水なんだけど、いわゆる机に向かっての「お勉強」は不得手っていう人も多いはず。しかし、その試験の問題がだだ漏れだったら……。

関東地方に住む大学4年のAさんは昨年4月のある日、各地から優秀な人材を集めようとしている、ある企業の筆記試験を受けた。英語や国語のほか、最近のニュースや一般常識に関する択一式や穴埋め式などの問題、作文などが出た。まあ、出来たかなという感触はあった。

その日のうちに、携帯電話の無料電話アプリのLINE(ライン)で、知り合いの大学4年生から連絡が来た。「どうだった? どんな問題が出た?」

実は、その彼も同じ企業にエントリーしていた。ただ、彼は数日後、別の会場で筆記試験を受けることになっていたので、「いちおう問題を教えて」とお願いされていたのだ。

英語や国語の問題はいちいち出た問題まで説明できなかったが、作文のテーマや時事、一般常識の問題は結構、覚えていたのでLINEで送り返した。「2人とも受かったらいいね」というエールのつもりだった。

すると、彼が試験を受けた日、LINEにメッセージが来た。感謝のメッセージかと思いきや、「問題、一緒だった(笑)」。どうやら、英語も何もかも最初から最後まで同じ問題が出たらしい。

これって、あとから試験を受けた方が断然、有利じゃん。ふつうは日が違ったら、違う問題を出すでしょう。その企業について調べた際、同じ試験が出るという情報はなかった。噂でそんな話が流れたら、後期の日程の試験を受ける学生ばっかりになるのでは。

幸いなことに、Aさんもその彼も筆記試験は無事突破し、その後の面接などもクリアして内定をもらえた。その後、久しぶりに会った時、「一緒でいいのかな」と顔を見合わせたのは、言うまでもない。

大学や高校の入試だったら大変なスキャンダルになるところだ。それに比べて、入社試験は面接やエントリーシートなどもあるから、筆記試験をさほど重視していないのかもしれないと、今では思う。

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