「どんな学びも人を支える」
初野 正幸が語る仕事----3
大人が学び続ける尊さ
受講者の立場になって考える
生涯学習のマーケティング業務を担いながら感じるのは、近年は簡単に人に相談して解決しにくい課題が増えつつあるということです。当社では「子ども発達障がい支援アドバイザー」など、悩んでいる個人に寄り添い、知識や実践法を習得できる講座も提供しています。自宅で学べる通信教育の利点が生かされていると思います。
ただ、学生の頃と違って仕事や家庭のある社会人は学ぶ時間が圧倒的に少ない。そんな中で数万円という受講料を投じて頂いている。私はその意欲にいつも心を動かされるのです。受講者からの体験談や感想を読ませて頂くと、こんなに頑張って当社の講座で学んでくださっているのかと本当に頭が下がります。大げさかもしれませんが、その先には一人ひとりが目指そうとしている人生がある。応援したい気持ちが心から湧き上がってきますね。
でも正直に言えば、営業や開発の部門にいた頃の私は、どれだけたくさんのお客様に受講して頂けるかということばかり考えていたように思います。それが大きく変化したのは40代後半、指導部門へ異動してからです。
営業部門が「一人でも多くの受講者を獲得したい」と考えているのに対して、指導部門や講師は「一人でも多くの方を合格へ導きたい。そのためには受講意欲の高い受講者を獲得してほしい」と、相いれない考え方の違いが存在していました。
講座数は150近くあり、それぞれの受講者数は講座によって数百人から数万人と全く異なります。それに対して指導担当や講師陣は、講座内容の理解と進化に努め、続けられないと諦めそうになる受講者を励まし、ゴールとなる修了や合格まで親身になって伴走していました。長く営業部門にいた私は、その実状にすら気づけていなかった。受講者への指導サービスにもっと力を注がなくてはと痛感したのです。この指導部門で5年。受講者の立場になって考える大切さを体感できました。
ハイブリッド講座の大きな可能性
社会人はとにかく時間がありません。なんとか勉強に向き合う時間があっても、テキストを読んで理解できないと簡単にやる気を失ってしまう。メールでの学習フォローや質問回答もご用意していますが、利用しない方もいるのが実状です。
一方、動画学習は分かりやすく、見た後は分かった気になるものの、実際は知識が定着していない、といったことも多い。定額制の学び放題サービスにはそういった課題があると感じます。動画と紙、それぞれの良さを生かした講座ができないか。そこで現在、動画を主軸とし、知識の定着には要点をまとめた紙のテキストやワークブックをつけた「ハイブリッド講座」を増やしつつあります。
通信講座にはいつでも学べる便利さがある一方で、一人で学びに向き合っているもどかしさもある。挫折することなくそれぞれが目指すゴールにたどり着くまで、実際にお会いする機会はなくてもできることを惜しみなく提供する姿勢で臨みたい。
受講した方から「合格して人生が変わりました」「心の張りになりました」とお便りを頂くと、ささやかでもお客様の人生に関われたのだとうれしくなりますね。(談)