「絆と誇りが、きっと働く原動力」
山根 弘行が語る仕事--4
複数のキャリアを目指そう
社会変化の速度は落ちない
エンジニアを様々な分野に派遣する会社で、私は「人財戦略」と「広報ブランディング」の仕事に携わっています。我が社の社員は新卒者を始め、メーカーなどに派遣されて10年以上のハイスペックエンジニアまで一人ひとりが異なるキャリアですから、それぞれが技術向上を図れるよう制度を充実させてきました。また、就業先も多岐にわたるため、派遣エンジニアを孤独にさせないサポートで伴走し続けています。
現代は、世の中のあらゆる製品やサービス、社会インフラなどに至るまでテクノロジーの力が欠かせません。あらゆる分野で必要とされていることもあって、エンジニアのスキルやキャリア選択は、100人いれば100人とも違うというほど多種多様です。そして進化が速い。それでも、マネジメント業務に移るより現役でいたいという人が少なくありません。では、派遣会社には何ができるのか。例えば、正社員派遣として働きながらフリーランスとしても活躍できる制度は作れないだろうかなど、私の仕事は多様な働き方を常に模索することでもあります。
また、若手社員がキャリアを積もうとしたとき、これだけ変化の速い時代に5年後、10年後のキャリアを早い段階で固めるのはリスクだと感じます。最初の3~5年で、何ができるか=canの幅をどれだけ広げられるかが大事になってくるでしょう。一つのスキルにこだわると、「自分はこれができます」と提示したときには既に必要性がなくなっている可能性があるからです。
できることを増やしていけば、その中からやりたい仕事の方向性も見えてくると思います。かつてのキャリア論は富士山型で、難しくても高い頂きを目指して登り、最後はゆっくり下って引退していきました。でも今は、長野と山梨にまたがる八ケ岳連峰のように、いくつもの山を登ったり下ったりして縦走する。そんなマインドセットが大切だと考えています。複数のスキルを手にして柔軟に働く将来を、あなたもイメージしてみてください。
働き方の価値観が人生を充実させる
使えるスキルを増やしていきながら、もう一つ大切なのは「何のために」という気持ちの柱かもしれません。地球環境や社会システムの良好な維持を目指すサステイナビリティー(持続可能性)という言葉が浸透していますが、これは未来をどう担うかということでもあります。とすると、若い人たちの課題になるのではないかと、「私たちは、地球のために働く世代だ。」を新卒採用向けの新聞広告メッセージとしました。
技術を習得し一生懸命取り組む毎日の中で、信念のようなものを一つ持つだけでも仕事へのやりがいになるのではないか。自分の生活のためだけではなく、社会の、誰かの、そして地球のために働いていくことの意味を感じてもらえたらと思ったのです。
この数年、働き方の価値観が、短い時間で大きく変化していることがSNSを中心としてリアルに伝えられています。
どう働くか、何を選ぶか、そして何ができるか。自分の仕事力を何のためにどう役立てていけるかを考えていきませんか。それは、自分自身の人生を充実させていくステップにもなると思います。(談)