仕事で自分の器を磨け。より大きな挑戦のために
日本の農業を元気にする。その一念で2007年に東京・銀座で農業ベンチャーを立ち上げた飯村さん。
09年には銀座での米づくりや、表参道のビル屋上での農園など都会のど真ん中で農業プロジェクトを実施し、話題を呼んだ。翌年には有楽町に農作物の直売所を開設。都会の消費者と生産者をつなぐ重要な販売拠点として、今も注目を浴びている。
「最近はフルーツトマトをローコストで効率的に栽培できるプラントを開発し、プラントごと企業や自治体に販売する事業に力を入れています」
学生時代からいつか独立をと決め、バイトでは経営者感覚を身につけたくてリーダー職に就き、就職先でも「すべての業務が将 来のための訓練だ」と最大限の成果を上げる努力をした。そして30歳で起業。20代で培ったファイナンスや不動産活用のノウハウを生かし、地域活性化のコ ンサルティングを開始した。
「最初に地方の商店街再生に携わったのですが、手を尽くしてもうまくいかない。地元の人には『1次産業が元気にならないと 商店街の活性化は難しいよ』と言われました。私の親族も皆農家。その原点を思い出し、確かにそうだなと。もうかる農業の仕組みを構築して雇用を創出し、再 び活気づかせることが町全体を元気にすることにもつながる。そう気づき、農業ビジネスを始めたわけです」
瞬時に判断し、即行動。だがやみくもに走るわけではない。
「人の心を動かすことに注力します。そうすれば必ずいい結果が生まれると信じているところがあって。何をすれば人が喜んでくれるのか。それをいつも探しています」
仕事は自分を成長させてくれるステージであり、自分という人間の器がそのまま投影される場所だと考えている。
「だからこそもっと仕事で自分を磨き、器を大きくしたい。でないと大きなチャレンジもできないですから」
尽きないベンチャー魂が、日本の農業を動かし始めている。
(4月14日掲載、文:井上理江・写真:南條良明)
出典:2015年4月14日 朝日新聞東京本社セット版 求人案内面