『やってみたら』に従うと隠れた能力を発掘できる
いったい何歳までが「女子」なのか。そんなアラフォー女性のモヤモヤした気持ちを、切れ味抜群の文章で一刀両断にした本が話題を呼んでいる。作者は、コラムニストでラジオパーソナリティー、作詞家としても活躍するジェーン・スーさんだ。
大学を出て、レコード会社やベンチャー企業などで約13年間、会社員を経験。その後、かつての同僚が立ち上げた音楽制作会社へ。最初は宣伝担当だったが、「作詞もやってほしい」と言われ、思いがけず作詞家デビューすることになる。
地道にやってきた活動があるからこそ、変化球が生きる。
さらに、文章を書くのが好きでネットに投稿を続けていたら、その文が雑誌編集者の目に留まり、コラムの連載が始まって著書も刊行。そしてラジオやテレビへも出演するようになっていく。
「あれよあれよという間にそんなふうに。私は『これがやりたい』というものがあまりないので、人に勧められるままにやってきました。『やってみた ら』と言われて実行に移す人は少ないと思うけれど、私はやってみる。案外、自分の未開拓の能力って他人の方がわかっていて発掘してくれるものです」
そしてやると決めたら妥協しない。どんな仕事も必ずもうひと踏ん張りする。「初めて書いた本も、後悔しないよう粘り強く取り組みました」
以前は、普通に生きていれば結婚、出産のレールに乗れると信じ、それが女性の幸せだと思っていた。「だから、普通に生きられない私はそれがコンプ レックスでした。でもアラフォーになり、強烈には結婚を望んでいない自分に気がついた。自分は自分。開き直りではなく、思い通りにならない自分の人生を受 け入れた感じ。そうしたら随分生きやすくなりました」
最近は仕事の領域がいっそう広がって、そのつど内容もスケジュールも変わる。「今後のキャリアプランすら流動的ですが、それが私の生き方なんだと思っています」。ただし、どんな仕事もまじめに取り組む。そこだけは会社員時代から変わらない流儀である。
(2月16日掲載、文:井上理江・写真:南條良明)
出典:2015年2月16日 朝日新聞東京本社セット版 求人案内面