気持ちを言葉にし、行動すると次が見えてくる
食卓を演出するテーブルコーディネーターとして活躍する丸山さん。ホテルや企業のパーティー、ブライダル、空間装飾、さらには輪島塗のような伝統工芸とのコラボや地域活性化など活動は多彩だ。そしてその全てに共通しているのは人々の生活を豊かにすることである。
幼稚園の教諭時代に日々感動し、働くということのだいご味を知った。主婦になっても社会の中で感動し続けたいと、丸山さんは打ち込める仕事を探し て、体当たりで道を切り開いていく。子育ての傍ら、独学、あるいは師を求め、興味の向くまま籐(とう)工芸、陶芸、テーブルコーディネートなど多くを学ん だ。
「やりたいことがあればすぐに調べ、会いたい人がいればお手紙を書いて訪ね、自らの熱い思いを伝えてきました。言葉と行動力は大切。気持ちを言葉にし、行動することで多くの方が助けてくれ、願いがかなうだけでなく、次のステップまで見えてくるんです」
転機は30代初めに開いたクリスマスリースの個展だ。大手デパートの担当者が、売り場に置きたいと訪ねてきた。「もちろんお受けしましたが、当時はテーブルコーディネートを深めたいと感じていた時期で、思い切って自分のやりたいことはそれだと言ってみたんです」
それが奏功し、家具メーカーを紹介された。百貨店の豊富な食器を使って夢中でコーディネートに挑戦すると、そのメーカーの売り上げが大きくアップ。他の売り場からも依頼が相次ぎ、結果、百貨店の専属として起用されることになる。こうして仕事は広がっていった。
「テーブルコーディネートは企業や産地を活性化する有力なツールです。女性のお稽古事だけでなく、社会活動を支える力を持っています。男性中心の社 会ではその認知度がまだ低いですが、テーブルコーディネート力で日本を元気にしたい。女性の社会進出を促すためにも、使命感を持ってやっていきたいです」
未知のものとの出合いを恐れぬことが、自分を高めていく。
(2月23日掲載、文:田中亜紀子・写真:南條良明)
出典:2015年2月23日 朝日新聞東京本社セット版 求人案内面