熟慮の末の優柔不断。悩み抜いて決断は柔軟に
テレビCMや映画、アニメ、ウェブ、ゲーム、キャラクターの企画開発など、加太さんが代表を務める制作プロダクションは幅広い事業を展開している。特に映画においては興行収入10億円を超すヒット作を次々に送り出し、常に注目を浴びる存在だ。
「世の中を動かす仕事に携わりたい」と大手広告会社に営業職で入社。そのうち8年は、一つのたばこ商品のマーケティングから宣伝プロモーションまで広告全般を担当した。
転機は10年目。「もっと自分の力を試したくなり、変化と挑戦を求めて他の商品担当に変えてほしいと上司に願い出たんです。でもかなわず、これを機に現在の会社への転職を決意するに至りました」
当時、同社は創業したばかりで、前社長はメイン事業のテレビCM制作から、他のメディアコンテンツにも挑戦しようと意気込んでいた。加太さんは彼の思いを何とか具現化したいと、映画やアニメなど新規事業の開発を担った。
「CMでも映画でも成功かどうかは、結果が出るまで分からない。ただ、『やりたい』という人がいて、少しでも成功の見込みを感じることであれば、完 成までの道のりを何とか成立させてあげたい。自分に大きな夢がない分、夢をかなえたいという人のフォローが好きなんでしょうね、きっと」
社長を引き継いで約5年。想像以上に責任が大きくのしかかる。「でも、背負うものがあって、それを乗り越えようとすることで人は成長できるわけですから、ありがたいポジションを与えてもらったと思う」
どんな仕事も楽しめるという自信がある。例えば難しい課題に直面しても、頭を抱えて悩んだりせず、むしろ面白がってどうしたら良いところに着地できるかを考える。
とはいえ物事を安易に決めたりはしない。熟慮の末の優柔不断。ギリギリまで悩み、いったん決断してもその場に合わせて柔軟に対応する。そうやって進んできた。逃げず、あきらめず。だからこその今がある。
(3月16日掲載、文:井上理江・写真:南條良明)
出典:2015年3月16日 朝日新聞東京本社セット版 求人案内面