人のために挑むことが自分の成長にもつながる
入社して1年3カ月、28歳にして靴・バッグの修理チェーンを展開するグローバル企業の社長に就任した迫さん。業績の悪かった東南アジアの事業をわずか4カ月で前年比約130%まで伸ばした実績が高く評価され、抜擢(ばってき)された。
学生時代は貧困など社会問題の解決に関心を持ち、学者になって社会に貢献しようと考えていた。だがある時「社会の仕組みを現実的に変えているのは企業だ」と気づき、一般企業への就職を選択する。
実行力と、リーダーとしての覚悟。この二つが事業を成功させる上でとても重要なのだと、2社目に勤めたベンチャー企業で学んだ。
「次々にアクションを起こし、途上国に雇用を生み出す会社でした。その行動の速さから本気度を感じた。そして経営者に は、私利私欲を捨ててエネルギーの全てを事業に注ごうという覚悟があった。リーダーが覚悟を示せば、スタッフも純粋に、自分がやるべきことに突き進めるの だと教えてもらいました」
同社に約5年勤務した後、現会社へ。若いうちに別の場所で経営ノウハウを蓄積したいと考えての転職だった。
現在、社長2年目。社員の頃から一貫しているのは徹底した現場主義だ。事業の種は現場に転がっているからと、毎週各地の店舗を訪ねる。
「僕自身、若くて成功体験が少ないので、現場に教えてもらわなければ実情を踏まえた展開ができません。問題があればそ の場で改善し、いいなと思うアイデアは即採用します。実際、女性向け靴磨きサービスは、あるスタッフがお客様に必要だと思ってやっていたことをメニュー化 したものです」。その柔軟さこそ若きリーダーならではである。
「上から指示したり命令したりするボスではなく、先頭に立ってみんなを引っ張るリーダーでありたい。理想ですね」
昔は自分の成長しか意識していなかったが、今は会社のことしか頭にないという。「人のために挑戦し続ける人間でいたいのです」。結果的にそれが自己の成長にもつながっていく。
(6月8日掲載、文:井上理江・写真:南條良明)
出典:2015年6月8日 朝日新聞東京本社セット版 求人案内面