「人類の課題に挑んでみたい」
岩元 美智彦が語る仕事--4
地下資源を争わない未来へ
子どもがときめくリサイクルを
私の会社では、約15年を経ていくつもの独自リサイクル技術を開発しました。①古着や廃棄繊維をバイオ燃料に変え、②携帯電話の金属率を高め、③ポリエステルを多く含む繊維から再生ポリエステルを作り、④プラスチック製品を再生します。どれも大変難しい挑戦でしたが、これらの技術を基に本格的なリサイクル社会へと進む試みを日々続けています。
リサイクルは正しい方向だと、ほぼ世界で認知されていると思います。それでも個人ができることは限られ、循環型社会はまだ理想論だと考える人も少なくありません。それは、リサイクルをしたくとも行動に結びつきにくいからではないでしょうか。そこを突破するために、私は一人ひとりが楽しいと思えるようなリサイクルのきっかけを提供したい。例えば古いTシャツ1枚から新しい1枚が作れ、バイオ燃料で飛行機を飛ばすことができ、携帯電話の金属からメダルだって作れる。だから参加しませんかと。
リサイクルをしようと思ったらすぐに行動できる社会にと、小売業の店頭に置く回収ボックスなどの仕組みも充実させてきました。運営サポートしている事業では、子どもたちも、使い終わったプラスチック玩具を回収ボックスに入れたらまた新しい商品になると知ってくれています。おかげで毎年数百万を超える数が集まってきます。私が様々な企画を実施する目的は、ただ衆目を集めるためではありません。気持ちを動かして行動を誘い、リサイクルが習慣や文化になっていくことを目指しているのです。
今は「DNA企画」という新たな試みを考えています。当社がリサイクルした生地は、独自技術の再生品であることをリーダーで読み取れるようにしたいと思っています。これをさらに応用し、例えばスターが着用した服の一部をリサイクルするとそのDNAを持つ服が作れます。購買者はそれをスマホで読み取って動画サイトに飛ばし、スターのレアな姿を見られるなんてどうですか。
すべきことを一心不乱に
もう十数年前のことですが、インドの小学校でリサイクルの意味をきちんと話したら、子どもたちが本当にたくさんのおもちゃを持ってきてくれて回収の行列ができたんです。
行動する大切さを伝え続けたいと感じた経験でした。リサイクルの技術がさらに発達し回収も進めば、将来は石油などの地下資源を使わず地上にあるものから資源を作れるようになるでしょう。そうなれば限りある資源を奪い合う必要もなく、世界の平和につながっていくと思います。私はよく、石油を一滴も使わない未来にできると熱弁を振るうので、時には大風呂敷を広げる変な人間だと誤解されます。
でも今まで、半信半疑で聞かれるような企画を実現してきました。また、CO2を減らし循環型社会を作らなければと協力を求め、たった一人で訪れた大企業や行政機関の中に、荒唐無稽に聞こえるような話にも動じずに受け止めてくれた、侍のような仕事人たちがいます。私は「地球環境防衛軍隊長」を名乗っていますが(笑)、各地にいる彼らも応援団です。