仕事力~働くを考えるコラム

就職活動

「生涯学ぶと腹をくくろう」
中原淳が語る仕事--3

就職活動

仕事人生の長期化に備えよ

どんなスキルも古典になる

自分の人生の進路選択を他人に任せたり、偏差値の言うがままにしたり、自分で決断してこなかったりした。そういう人が学生にも社会人にも意外に多いと感じます。それでも迷った時や、いつか自分の決断が必要な時こそ他人から意見を聞き、フィードバックをもらうことが大切だと僕は伝えてきました。それは、これからの長い仕事人生を生きる支えでもあるからです。
 
もう「人生100年時代」が現実味を帯び、人生の分母が大きくなってきました。将来的には80歳ごろまで健康で働くような社会になるでしょう。今の自分の年齢から差し引いてみると、何とかしなきゃと思いますか、あるいは苦労せずに逃げ切れると踏みますか。僕は、「守り」に入ることが最もリスキーだと感じます。例えば現在は実力を評価されて仕事が充実しているとしても、時代の変化は本当に速い。かつて教育で身につけた知識や、会社で得た業務知識やスキルも一生ものではなく、何もしなければ残念ながら少しずつ「古典」になっていくのです。
 
実はそんな変化を社会人は情報として分かっているでしょう。「AI(人工知能)が来ている」「リモートで働き方は変わる」など世の中の変化として知ってはいるのですが、ではそれを受け入れるとなると「これまでの自分のあり方を変えなくてはならない」。それは面倒で怖いことだから、認める勇気がなかなか湧いてこないかも知れません。でも、時代に応じて自分のどんなスキルや能力を伸ばしていけるかを考え、学んでいけば、長い仕事人生を食いっぱぐれなく進んでいけるのではないでしょうか。つまり「食いっぱぐれない」ためには、「一つの知識やスキル」にしがみ続けるのではなく「変わり続けること」なのです。
 
ただ学生時代とは違って、社会に出てからの学びは自分と向き合って自分で決めなくてはなりません。今日までの成功体験は大切な資本ですが、更に時代の変化にアンテナを張り、新たに必要なスキルや知識をどう学ぶか。そしてそれを基に、一層面白い仕事をしていきませんか。

苦手でも、まず振り返りから

僕らの多くは自分と向き合うことが嫌だし、失敗した経験は忘れたいものです。でも、そこには「学びへのヒント」があります。思い出してください。例えば何度も繰り返してしまった失敗とか、つい避けてしまう課題とか。自分を高みから客観視すると足りない要素が見えてきます。意識してこれを習慣にすると「これから何が必要か?」と自分に問い続けられる。
 
「学び」はとても幅が広く、このように日々の仕事を振り返るのもその一つです。まず大切なのは、自分が良しとしているやり方と世の中の変化に、どんなズレがあるのかを自身が知ることです。自分が違和感を感じたことは何でも書き留めておく。年代の異なる人がごく普通にやっている仕事手順が、なぜ気になるのかでもいい。なじみのない場所に行ってみる、チャレンジしてみる。大人が最初にするべきは、行動なのだと思います。その上で自分のズレを客観視してみてください。
 
会社や組織が用意してくれる研修などに加えて、自分の学び軸も探ることです。(談)

なかはら・じゅん ●立教大学経営学部教授。博士(人間科学)。1975年北海道生まれ。東京大学教育学部卒業。大阪大学大学院人間科学研究科で学び、米マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学准教授などを経て現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発、組織開発を研究している。著書『働く大人のための「学び」の教科書』ほか多数。新刊は『サーベイ・フィードバック入門―「データと対話」で職場を変える技術』。
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