仕事力~働くを考えるコラム

就職活動

「恐れず新しい景色を見たい」
黒木瞳が語る仕事--3

就職活動

挑戦のスイッチを押そう

人生は一度だから、私は動く

高校生の頃、宝塚歌劇団の公演に感激し、私は宝塚音楽学校に入学。やがて念願の宝塚の舞台に立ち、人に喜びと元気を送るエンターテインメントの力を痛感しました。退団後は俳優の世界へ。映画、ドラマ、舞台、加えて司会やバラエティーなど、声をかけて頂いたら「やります!」とできる限り挑んできました。経験を経ることで自分自身を知り鍛えられると考えたからです。
 演じるとは、私が知らない多様な人生を役によって生きること。そのやりがいと奥深さに引きつけられ、いつも演じたい作品を探す意識を持ち続けてきました。
 そして東日本大震災の時は特に、エンターテインメントの世界にいる私にできることは何かを考えました。直後に現地を訪れると本当にひどい状況でした。「私にできることはありますか?」とボランティアの方に聞くと、「ただ、この状況を見て感じてください」とおっしゃった。その言葉がずっと胸に残り、感じることで自分に何ができるのかを考える力となりました。
 やがて桂望実さんの小説『嫌な女』に出会います。いとこ同士で反発しながらも、相手の生き方に影響され自分らしさをつかんで前を向いていく主人公がリアルでした。演じてみたい、この物語は前を向く勇気を表現できると映画化の提案に動き、運良く賛同を得て脚本家の西田征史さんと脚本作りを始めます。でも実現には山あり谷ありでした。1年、2年と時間が過ぎていく中で、西田さんが「作品を最も理解している黒木さんが監督をしたら」と提案してくださった。
 監督なんてとんでもない、私は演じるだけで精いっぱいだと思ったのですが、人生の節目に必ず相談する方に会いに行くと、「今日の景色と違う明日の景色を見たかったら、一歩前に進んだら?」という言葉をかけて頂いた。人生一度きり、失敗を恐れず初めての挑戦を大切にしよう。そう考え、監督に挑むことにしました。
 この11月に公演予定の舞台「甘くない話」も、私の舞台初演出の作品。挑戦への思いも込めていますが、人が支え合うことの大切さを伝えられたらと考えています。そして、サスペンスなのにコミカルな要素も加えて新鮮な驚きを展開していきたいと思っています。

新しい試みで自分を育てる

役者を天職と思って走ってきた私がメガホンを握る、また企画や演出を手がけるというのは決して簡単ではありません。役者は自分の役柄を監督と相談して作り上げ、これでいけると納得できたら撮影で集中すればいい。普段の私から役にパッと切り替え、その時間が終われば自由になれる仕事です。
 一方、監督や演出家は寝ても覚めても作品のあらゆる部分を考えているのです。頭の中で自分だけが描いている作品を現実のものにするには全ての判断をしなくてはなりません。例えて言えば役者は一人の生徒で、監督や演出家は担任の先生でしょうか。
 エンターテインメントの世界は総合芸術です。一人欠けても作品は成り立ちません。新しい人生の景色を見ながらの試練は、私にとってとてもいい刺激となっています。(談)

くろき・ひとみ ●俳優、演出家、映画監督。福岡県生まれ。宝塚歌劇団を経て俳優に転身。97年映画『失楽園』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞。舞台企画・演出を手がける「甘くない話 ~ノン・ドサージュ〜」が東京で11月3日(水・祝)~7日(日)、大阪で11月13日(土)に公演予定。「人それぞれの悩みを抱えながら、それでもたくましく生きていく甘くない話。元気になれる作品です」(黒木さん)。
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