仕事力~働くを考えるコラム

就職活動

「自分の本気を探し続けよう」
錦織 一清が語る仕事--4

就職活動

年齢はブレーキだろうか

まだジタバタしていいと思う

若い頃からテレビや舞台に出演する多くの仕事があり、さらに俳優や演出をする機会も頂き、僕は恵まれてきたと思います。また、自分の思い込みや殻を破ってくれる一流の演出家を始め素晴らしい方々に出会い、仕事に取り組む心構えを鍛えられました。そして僕は、見えを張らずに自分をさらけ出せば強いということを学び、走り続けてきたのです。
 今は50代半ばを過ぎ、独立して舞台演出やソロの音楽活動に力を注いでいますが、ただ、この年齢になると仕事への向き合い方は自分で探さなくてはならないと感じますね。どんな分野でも50代は責任のある仕事が少なくないから、「自分はこうでなければ」と踏ん張って重圧に悩む場合もあると思う。一方で「自分はこのままでいいのか」と次の道を模索しながら立ち止まる人にも度々出会います。
 僕の中でも別の声が「自分に期待し過ぎてないか」と言ってくる。これ以上できないことに悩むなんておごりじゃないのか、格好つけてるんじゃないのかと。でもそれは仕方がない、誰でもそうやって仕事で成長しなきゃと生きてきたから。けれどそのルートが行き止まりだと感じたら自分の思うままにジタバタしてもいいのではないか。メインストリートを歩く可能性がなくなったら、行ってみたかった細い裏道を探してみればいいと思うんです。
 かつて僕が演出した役者さんが「今回の役柄は僕にはハードルが高い。この芝居不安なんです」と言ってきたので、「お前はハードルを跳ぼうとしてるけど、そんなに高いハードルならくぐってもいいんだよ」と答えました。みんなと同じように格好良く走る必要はないのだから、君のやり方でゴールを目指してみたらと伝えたかった。人はできない理由をいくつも探しますが、言い訳よりゴールすることこそ最優先。「この年で今更みっともない」などとブレーキをかけなくていいと思っています。

悔しさは力に変えられる

弱ってきた自分をさらけ出すのは怖いし、恥ずかしい。必死になっている姿を人には見せたくない。それはとてもよく分かります、僕もずっと葛藤してきたから。実は、いつか映画のフィルムに残る俳優になりたかったんです。所属していたジャニーズ事務所では華々しい映画スターになった仲間が少なくありません。でも僕には代表作となるような映画への扉が開かなかったから、正直に言えば悔しい思いが今も胸にあります。
 けれど今になってそんなことを嘆いても仕方ありません。その代わり舞台への扉が開き、出演から演出までたくさんのチャンスがもたらされ、幸運なことに現在の仕事につながっています。だからこそ、これからいつになるか分からないけれど、映画を超える1本の演劇を作れれば良い人生だと思える僕がここにいます。やれることはやってきたからもういいかと、自分をラクにして逃げるのはずるい気がするんですね。
 きっと誰にでも自分だけの「やり残し」があるのではないですか。何と言われようと「悔しいまま」の仕事や夢は、年齢をものともしないパワーを秘めている気がします。僕は、そんな思いを実現したい方々の応援団長でいたいと思っています。(談)

にしきおり・かずきよ ●シンガー、俳優、舞台演出家。1965年生まれ、東京都出身。12歳で(株)ジャニーズ事務所に所属後、アイドルグループ「少年隊」として一世を風靡(ふうび)。99年つかこうへい演出「蒲田行進曲」への出演などを機に舞台演出にも携わる。2020年末に事務所から独立。ソロシングル「Cafe Uncle Cinnamon」が発売中。演出する舞台「フランケンシュタイン-cry for the moon-」が東京では22年1月7日(金)~16日(日)に開催予定。
関連記事

ご購読申し込み

試し読み申し込み

学割申し込み

朝日新聞デジタル

お引越しされる方

学情ナビ

朝日新聞採用

PAGE TOP