仕事力~働くを考えるコラム

就職活動

「現状から抜け出す力を探ろう」
パトリック・ハーランが語る仕事--3

就職活動

自分にラベリングしない

これからいくらでも学べる

子どもの頃から高校卒業まで、僕は母と2人で貧困を乗り越えてきました。学校の先生や友人の家族など大人のサポートもあり、貧しくても温かい体験に支えられてきたのです。僕の将来に関心を持ち陰ながら応援してくれた、その存在がとてもありがたかったですね。だから、大人は自分の周囲に目を凝らして、困って自信をなくしている子どもの力になって欲しいと思います。
 僕は今、社会に出る若い人たちにも伝えたいことがあります。「逆境で育ったとしても、決して自分を過小評価する必要はない」と。なぜって、まだまだいくらでも学べるからです。僕はアメリカで大学を卒業してから、福井県に留学していた友人に誘われて日本に来たのですが、無謀にも日本語を全く話せませんでした。英語講師をしながら役者を目指し、日本語を覚え、やがて現在の相方・吉田眞と出会って漫才コンビ「パックンマックン」を結成したんです。
 食べていけるかどうか先は全く分からなかったけれど、オーディションで「○○できますか?」と聞かれたら、必ず「できます!」と答えていました。やったことはなくても、「本番までにはきっとできるようになる」と自分に言い聞かせて。これが仕事の扉を開く言葉なんです。例えばあなたが面接で具体的な質問をされたら、パソコンはできません、企画書は書けません、セールスは経験がないから無理ですなどとは言わない。「こちらの会社に必要なことなら、習得します」と答えたらどうでしょうか。
 人には得意分野、不得意分野はあります。でも学習できない人はほとんどいない。覚えるのが早い遅いという差はあっても、「まだできない」というだけです。自分が今まで経験しなかったからといって、これからもできないわけではありませんよね。いつでも、学ぶ一歩から踏み出せばいいのです。

ランク付けに振り回されるな

世の中は時に意地悪で、人を様々にランク付けしようとします。偏差値や出身校、親の仕事や年収、家庭環境などなど。なぜそんなことが必要なのか僕は全く理解できないけれど、残念なことにいつの間にか、そういうものだろうと思い込んではいないでしょうか。若いうちはまだ多くの大人に出会っていないし、ロールモデルも少なく、視野が広がりにくいからやむを得ないかも知れません。
 ただ、そんなランク付けをそのまま自分のラベルとして貼り付けないで欲しい。自分の将来の仕事は、世間ではなくあなたが選ぶのだから。アメリカ人の僕が日本で漫才師になったようにね! 周囲の目は気にせず、自分が抱いているこれから進みたい分野を考えてみることです。どのような道筋でそこにたどり着けるのか。情報が見つかれば歩き方を選べるのです。
 僕は以前、日本語を覚えるために居酒屋で近くの人に声をかけては、2時間以上もたっぷり話し相手をしてもらって会話を勉強しました。案外大人は、若い人から質問されるのを嫌がらないものです。自分の人生を大切に生きるために、今を諦めないで欲しいと思います。(談)

パトリック・ハーラン ●お笑い芸人、東京工業大学非常勤講師。1970年生まれ、米コロラド州出身。ハーバード大学比較宗教学部卒業後、来日。97年に吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」結成。NHK「英語でしゃべらナイト」など多くの番組で注目される。BS-TBS「報道1930」ほか、コミュニケーションと国際関係などのコメンテーターとして出演多数。近著に『逆境力 貧乏で劣等感の塊だった僕が、あきらめずに前に進めた理由』がある。
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