仕事力~働くを考えるコラム

就職活動

「現状から抜け出す力を探ろう」
パトリック・ハーランが語る仕事--4

就職活動

人とつながる練習を続けよ

質問する機会を意図的に

自分にラベリングをするなと、僕は前回お伝えしました。偏差値や出身校、親の仕事や年収、さらには家庭環境など、世の中は何かとカテゴリー分けをしたがるものです。でも、そんなことからあなたは自由でいて欲しい。自分が今まで一生懸命生きてきた環境は、無意味な区分けとは関係ない。だから振り回される必要はありません。大人になったこれからも、まだまだ学べるからですね。
 大学を卒業して日本に来てからもう27年余りになりますが、僕は日本の人のこまやかな優しさに助けられてきました。ありがたかった。それと同時に、とても謙虚で、人に迷惑をかけないように生きるということを大切にしているとも感じます。だから多くの方は、自分が困っていても甘えられない、声をかけられない。助けてくれる人はきっといるのに、困ったままでじっとしているのではないでしょうか。
 僕は、暮らしや仕事の場面で「手を貸してください」と言える力を身に付けて欲しいと考えています。そうなるための、人とつながる練習はどうやったらいいのか。実際に、東京工業大学の授業でかつてコミュニケーション学を教えていた時、僕が出した課題のうち学生たちがダントツに「難しかったけれど成果があった」と口をそろえたのは、「知らない人2人と会話をしなさい」というものです。条件はキャンパス内で1人、キャンパスの外で1人、そしてそのプロセスと結果をリポート提出せよでした。
 ある学生はスターバックスに行って、他の席が空いているのに「相席よろしいですか?」と見知らぬ人に声をかけ、リポートを書かなくてはならないのでと助けを求めたそうです。すると、その相手が我が社へ就活においでと誘ってくれたと。泣ける後日談付きでした。力を貸してくださいと言われると、相手は意外に喜んで「自分にできることなら」と心を開いてくれるのですね。自分をオープンにして困っていることを言葉にするのは、ためらいがあるかも知れないけれどやってみる価値はあります。

苦しい時は言葉にしよう

ではなぜ聞く勇気が出ないのか。恥をかきたくないという理由の他に、こんな質問は聞く価値があるのかという自己過小評価が潜んでいると思います。それに対する僕の持論は「唯一のバカな質問は聞きそびれた質問だけ」です。日本にはいいことわざがありますね、「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」。湧き上がってきた疑問は、その時解決すれば自信になっていくはずです。
 僕は長く貧しさに苦しんだし、コンプレックスも強かった。一方で物事をポジティブに捉えようという負けん気も相当だったんです。今は様々な試練を乗り越えられたと思っていますが、それでもごくたまに仕事で失敗すると結構引きずります。そんな落ち込みから立ち直るには、言葉にして友人に「やっちまった」と打ち明けてしまうのが早いですよね。
 つらい現状から抜け出すには、縮こまらないこと、抱え込まないこと、そしてささいなことでもいいから人にSOSを出すことだと実感しています。互いに関心を持ち合うという気持ちを忘れないでいきましょう。(談)

パトリック・ハーラン ●お笑い芸人、東京工業大学非常勤講師。1970年生まれ、米コロラド州出身。ハーバード大学比較宗教学部卒業後、来日。97年に吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」結成。NHK「英語でしゃべらナイト」など多くの番組で注目される。BS-TBS「報道1930」ほか、コミュニケーションと国際関係などのコメンテーターとして出演多数。近著に『逆境力 貧乏で劣等感の塊だった僕が、あきらめずに前に進めた理由』がある。
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