政治って?① 学校の中にだってある

編集委員・松下秀雄

[ 更新日:2016.06.28 ]

政治って、なんでしょう。

政治家が、国会議事堂あたりでやっていること?

もちろん、それも政治。

でも、それだけでしょうか?

このあいだ、10代の若者たちが、もっと身近にある「政治」について話しあいました。学校の校則です。

「ぼくらの対話ネット」のメンバーは、全国の高校生や大学生ら80人余り。毎日のように、時事問題など議論のテーマを設け、関心のある人が、スカイプや、フェイスブックの音声通話機能を使って話しあっています。

6月24日の夜は校則がテーマ。51歳の私も参加し、スマートフォン越しに、同時に5人の若者と話しあいました。

髪を束ねるゴムの色

福岡県の高校3年生、安永彩華さん(17)が、中学校での体験を紹介しました。

中学では、生徒総会で校則の改正を話しあったそうです。その結果、短めの靴下をはくことなどが認められたと言います。

うん、自分たちのルールを自分たちで決める、それって民主主義の実践ですよね。意見を出しあい、折り合いを探る作業は政治そのもの。良いことをやっているなと、私は思いました。

ただ、聞いていると、生徒総会の結論を、職員会議が拒むこともあったそうです。髪を束ねるゴムの色がそうでした。「黒か紺」に限られていたのを、「茶色も加えよう」と話しあいましたが、認められませんでした。「黒や紺に比べて、茶色はベージュからこげ茶までバリエーションが多く、線引きが難しい」が理由だったそうです。

ふーん、ベージュじゃいけないのかな? そもそも色を決める必要があるの? 私が戸惑っているうちに、メンバーから質問が飛びました。

「茶色も認められるよう、闘わなかったの?」

安永さんはこう答えました。

「内申を握られているからね。通知表や内申点に響くから、できなかった」

なるほど。学校と生徒の力関係が、意見をいうのを難しくしているということでしょうか。

問題は「力関係」

安永さんは続けます。

「日本では、規則に疑問をもたなくなる教育をやっていると思う」

うん、そうですね。国連の「子どもの権利委員会」は、日本で学校や社会のルールをつくる時、子どもの意見が尊重されないのを心配している、という趣旨の指摘をしています。子どもは決められたルールに従っているということです。

理由はたぶん、学校と生徒の「力関係」だけじゃないでしょう。子どもたちを守ろうとするおとなの「親心」。トラブルやクレームを避けようとする「心配性」。それらが入り交じって、生徒たちが意見をかわし、みずから決める機会を奪っているんじゃないでしょうか。そんな政治体験、民主主義の体験をしないまま、おとなになる人を増やしているのでは。

それが、「政治は遠い」とか、「言っても無駄」という感覚につながっているんじゃないんでしょうか。

「対話ネット」の田中駿介共同代表(18)も、次のように話しました。

「いちばんの主権者教育は学校の民主化ですよ」

たとえば、こんなこと

もちろん、いまから学校の民主化にとりくんでも、この参院選の投開票日には間に合いません。さて、何をすればよいのでしょう。主権者としてふるまうために。

たとえば、こんなのはどうでしょう。

校則とか授業のあり方とか、身近な課題をひとつ選び、それと政治のかかわりを考えてみるというのは。どうしてこんなふうになっているのかを調べ、自分の体験と重ね合わせる。できれば、だれかと話しあう。

そうすれば、身のまわりから、政治を発見できるかもしれません。


「ぼくらの対話ネット」への連絡は田中さんのメールアドレス、magokoro.0709@gmail.com へ。

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