若い世代とともに大人も変わろう
NPO法人「Rights」代表理事 高橋亮平さん

18歳、19歳からの一票が投じられ始めています。ずっと選挙権年齢の引き下げを求めて働きかけてきたので、感慨深いです。でも同時に、不安もあります。今回は初めてということで注目されていますが、その後だんだん関心が薄れていってしまったらどうなるのか。「18歳選挙権って結局、何も変わらなかったね」ということにしてはいけません。だから、選挙後がとても大事だと思っています。
18、19歳の投票率は20代よりも高くなると思いますが、爆発的に高くはならないでしょう。どうしてかというと、十分に政治のことを考える時間がなかったからです。それは学校で教わる政治が、模擬投票を通じた選挙のしかた以上のものではないことが多いからです。
ある意味、学校現場も手探りです。これから主権者教育を根づかせていくなかで、主体的に考えて投票する人が増えていってほしいと期待しています。
これからは中学校に注目
私が若い人たちに気がついてほしいことは、政治にかかわることが、得をするということです。自分だけが得をするという意味ではありません。公園の遊具を選んだり、遊び方のルールを決めたりすることは政治です。住みたい街を作っていくことが可能になるからです。
政治にかかわることは、社会を自分が住みたいものに近づけていくことにもつながっています。貧しい人を助けたい、平和な暮らしが続くようにしたい、そうした願いをかなえることも、政治にかかわることで実現に近づきます。
記念すべき参院選は10日が投開票日です。若者の投票率が驚くべきものでなかったとしても、それを批判しないでほしい。そもそも大人の投票率が低いのですから。選挙に行っていない大人たち、政治にかかわっていない大人たちに、「若者もたいしたことないじゃん」という権利はありません。
18歳から投票できるようになったので、これからは中学の段階から準備をしていくことも大事です。注目しているのは生徒会です。学校生活のルールを自分たちで話し合い、決めていくことができれば、とても大きな政治の成功体験になるからです。
若い世代がどんどん、身近なところから政治にかかわるようになれば、社会も良い方向に変わっていきます。「どうせ自分の1票なんて」と思ってしまっている大人たちも、変えていってほしいと思います。(聞き手・北郷美由紀)