大震災から5年、18歳の一票

岩手県大槌町出身の大学1年生

高木桜子さん
[ 更新日:2016.07.05 ]

東日本大震災の時、岩手県大槌町の中学1年生だった高木桜子さんは、いま18歳。学生の自活と自立を支援する東洋大学の奨学金制度を利用して東京で暮らし、学んでいます。参院選での初めての一票に込めた思いを聞きました。

わが家は両親と5人兄妹の7人家族です。震災では幸い全員無事でしたが、堤防のすぐ前にあった家は流されてなくなってしまいました。私と一番上の兄は今、東京にいますが、ほかの5人は仮設住宅で暮らしています。

大学では国際地域学部で学んでいます。まちづくりとか国際協力、観光など、自分の頑張り次第でやりたいことがいろいろできる学部です。私は人とかかわるのがすごい好きなので、いろんな人に会える東京に来て、自分を成長させようと思いました。中学、高校時代は吹奏楽部の演奏会で人を楽しませたり、自分も楽しい気持ちにさせてもらったりしたことがありました。明るい性格を生かして、将来はいろんな人が楽しめる観光とかをやってみたいと思っています。

昼は大学で働き、夜は授業

朝6時半に起きて、ご飯を食べて8時半には家を出ます。午前9時から午後5時までは東洋大学の入試課で働いています。その後、夜9時まで授業です。家に帰るとすぐ寝てしまいます。

大学の制度で、学費の半分は奨学金で支給してもらえるんですよ。残り半分と寮費、生活費を自分でまかなっています。わが家の収入源は父の仕事だけだったので、なんとか自分でやりたいと思っています。

夜間の学部なのでいろんな年齢の人に会えるし、留学生もたくさんいます。仕事場には大人や先輩もいます。楽しいし、毎日いろんな刺激を受けます。新しくできた友だちとは毎週のように遊びに行っています。温泉とか近くのレストランとか。大槌には山はあるけど、それ以外ほんとになにもないので、レストランで食事するだけでもけっこう遊びに行ったなという感じになります。

大人とかかわっているという意識

震災があって、私はいろいろな人とかかわるようになったんです。吹奏楽の関係でも支援の関係でいろんな人と会いました。なんて言ったらいいんだろう。自分もちょっと、大人と関わっているんだという意識があります。いつまでも子どもじゃないなという感覚。

東京オリンピック招致の時、震災が忘れられているような気がして、「あれ、そっちかよ」って少し寂しかった。オリンピックよりも被災地のためにお金を使うべきじゃないかという意見もあったじゃないですか。そのとき初めて「ちゃんと政府が動いてほしいな」と思うことがありました。

初めてとなる参院選では、実家に戻って期日前投票をしてきました。日本に住むみんなが気持ちよく生活できるような政治をしてほしいなと思います。だから、どの候補がどのようなことをしているかを見ようと思いました。

私は震災とかいろんなことにかかわり、いろんなものを見て少しずつ大人になってきました。18、19歳が投票できるということは、国づくりに参加する年齢になったということだと思います。だから、国の政策や、自分の生活を豊かにすること、親たちのこともしっかり考えていきましょう。(聞き手・吉沢龍彦)

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